オタクノ作る時間

外に出ることを好まない学生による、映画やノベルゲームの批評を主とした非営利ブログです。

厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!

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回は筆者が厳選した、隠れた名作ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを7本紹介する。なお、これから挙げるタイトルの中には「隠れてなくね?普通に名作だわ!」と、お怒りになるかもしれないタイトルも含まれているが、それは承知の上で、さらに多くの人に遊んでもらいたいと考えているからこそ紹介する(実際有名な作品でも、友人達にタイトルを確認してみると、みんな知らないんだよな〜)。というわけで、始めよう。

 

 

 

1.『セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜』

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初に紹介するのは、日本一ソフトウェアから発売されたPSP用ソフト。5年前の事故により、15分しか記憶を保てなくなった少女の「高校時代の記憶」を巡った物語であり、このストーリーとシンクロした珍しいゲームシステムが搭載されていて、これがすごい。

人を選ぶゲームだと思うので万人にはオススメできないが、パッケージから感じられる夏独特の空気や夕焼けの切ない雰囲気に惹かれる人や、考察が好きな人には強くオススメする。ライターさんの提示する物語論が興味深い一本で、ハマる人はとことんハマる隠れた名作だ。

今では中古でPSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。

 

 

  

『極限脱出3部作』

2.『極限脱出 9時間9人9の扉

3.『極限脱出ADV 善人シボウデス

4.『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』

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限脱出シリーズ(あるいはゼロエスケープシリーズ?)はチュンソフトから発売されているアドベンチャーゲーム。タッチスクリーンを駆使し、謎の施設からの脱出を目指そう。

タイトル通り、オーソドックスな脱出ゲームとしての思考パズル的な楽しさがあるのだが、このシリーズの肝となるのはそこではない。プレイ体験の裏に、恐ろしく巧妙かつ大胆に練られたシナリオが隠されているのだ。

3作品あるため、相当なボリュームをプレイする覚悟はいるが、シナリオの先に待っている結末には必ず満足できるはず。3部作全てが面白いアドベンチャーゲームとしてオススメする。

今では3DSかVITAを持っていれば全作プレイできるため、旧機種は必要ない。1作目と2作目のセットも発売されたので、今から遊ぶならそれがオススメだ。

 

 

 

5.『ルートダブル -Before Crime * After Days-』

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?なんだこのクオリティ…? とクリアして唖然としたのがこのゲーム。質というものが人気と売り上げに直結するわけじゃないことは理解しているものの、ルートダブルほどもっと評価されるべきゲームはないと思う。

1つの物語を視点を変えて見せる語り口や、各章の間に挟まれる次回予告など、とにかく“読ませる”文章がプレイヤーの手を止めない。様々なキャラクターの思惑が錯綜するシナリオと魅力的な舞台設定、ゲームシステムと直結したマルチエンディング方式による没入感など、とにかく褒めるところが多すぎる。誰がやってもある程度は満足できる作品に違いない。

今ではなんと、XBOX360PS3Windows・VITA(ダウンロード版のみ)、IOSAndroid(予定)でプレイできる。もはやプレイ環境が整ってない人の方が少ないのではないだろうか。

 

 

 

6.『ダブルキャスト

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れは「ノベル」ゲームかと言われるともはや違うのかもしれないが、間違いなくアドベンチャーゲームではあるだろう。全編がアニメーション(!)という驚異的なゲームであり、さらにその品質も非常に高い。

丁寧なアニメーションで描かれる女の子との同棲生活を楽しもう。

やるドラシリーズ処女作にして最高傑作でもあり、今プレイしても充分に楽しめるというか、今だからこそプレイしてほしい仕掛けが満載。記憶に残るシーンに満ちた名作である。
今では中古でPS1版 PSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。ん?ドアノブが照れている…⁉︎

 

 

 

7.『デイグラシアの羅針盤

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後に紹介するのは同人ゲームの秀作。カタリストさんが手がけた『デイグラシアの羅針盤』だ。個人的に今最も応援しているゲームであり、作り手さんたちに一方的な親近感を感じている。

深海に取り残された主人公達の脱出サスペンスであり、練られたシナリオが秀逸な一本。非商業ゲームゆえの素材の少なさやチープさは感じられるものの、非常に丁寧に作られた作品であり、なんだか好感が持てるのはなぜだろう。筆者はここに同人ゲームの本気を見た。メアリー・セレスト号」「正解のないノベルゲーム」といったワードに反応した人はプレイしてみてほしい。

対応OSはWindows 7 / 8 / 8.1 / 10 。一応XP、VISTAでも動作する可能性があるそうだ。CPUはPentium以降でメモリは256MB以上必要らしい。気になる人は公式サイトで体験版が配布されてるので動作確認してみてほしい。

 

 

 

 

上、厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!でした。一つでも手に取ってくれれば書いた意味があるし、嬉しいなあ…。

では、読んでくれてありがとう。

『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』 シリーズ初心者の感想。みんな、今すぐプレイしよう!

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今回は当ブログでは初のRPGを紹介する。なんというか、筆者的には「やっとか…」といった感じだ。当初はジャンル差別なくゲーム全般を扱うブログにするつもりだったのだけど、気がつけばノベルゲー専門ブログのようになっていたからなぁ…。

まあそれはさておき、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』をクリアした感想を書くことにしよう。なお、この記事の対象としては、未プレイ者と既プレイ者の両方を想定している。ネタバレは極力しない方針なので、ここまで来てくれた人は読んでいってほしい。

…では始めよう。

最初に感想を端的にいうと、大満足であった。評価の高さから非常に期待が高まっていたのだが、その期待を余裕で超えてきた。なんというか、こんなに面白いゲームだとは思ってなかった。ゲームバランス、デザイン、音楽、ボリューム、パッケージ、その全てに隙がなく完璧で、圧倒されました。というのも、プレイする前まではRPGというジャンル自体が好きではないのに加え、あまりにも評価が高いので「信者の声が大きいでしょ?笑」とか、「なんかあれでしょ? オサレなんでしょ?笑」といった負の先入観で舐めていのだ…。すいませんでした! 反省しています! 今では私も立派な信者の1人です!

 

↓みんなもここからペルソナの世界へ入ってほしい!

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©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

それで実際にプレイした感覚としては、『サクラ大戦』や『ガンパレード・マーチ』に近いと感じた。もちろん舞台や世界観などは全く違うのだが、ゲームシステムは共通点が多いと思う。つまり基本的なゲームスタイルは、日常を過ごすシミュレーションパート(とでも言えば良いのかな?)でスキルを上げ、そのスキルを活かして戦闘パートで敵と戦うというものである。あるいは、日常部分で得た信頼や友情が戦闘に役立つシステムとでも言い換えようか。

主人公は田舎の叔父の家に預けられた高校生で、ゲーム開始時に名前を決めることができる上に、音声もほとんど収録されていない、言わばプレイヤーのアバターである。転校先の高校で主人公(プレイヤー)は仲間たちと友情を育み、共に敵と戦うことになるのだが、筆者が気に入ったのは、子供と大人の中間である高校生達が主人公だというところだ。大人たちに危険なことをするなと釘を刺され、親の目から隠れて事件を追うという少年探偵団的な要素。放課後のフードコートに集まって、事件について話し合うというシチュエーションが、友達と秘密基地を作った少年時代を彷彿させて胸が高まった。なんというか、幼い頃に感じた台風や地震の時などの何とも言えないワクワク感のような、非常時に流れる、ある種の祭的な雰囲気が良い。

 

↓フードコートが特別捜査本部なのだ!

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©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

そしてこのゲームの主題となるのは、そんな彼らが 「自分と向き合うこと」だと思うのだが、このテーマを描くためにこそ主人公たちが高校生なのだろう。「社会が求める自分」と「本当の自分」とのギャップに悩む高校生たちの姿は愛おしく、気がつけば応援している自分がいた。また、そんな彼らが自分と向き合うことで成長していく姿は、筆者のようなモラトリアム人間には特にグッとくる。分かりやすすぎるくらいの王道展開ではあるが、豪華な演出と大ボリュームで展開されるために、この上なく面白いものに仕上がっている。全てのキャラが生き生きとしていて掛け合いが面白く、楽しい時間が過ごせるはずだ。勧善懲悪、こういうのでいいんだよ!

そしてさらに良かったのが、「この時間は二度とやってこない」ということがきちんと描かれているところ。これはもう言ってしまえば、青春ものの肝だと思うのだが、ここでもしっかりと押さえられている。ゲーム内時間が1日過ぎるとカレンダーが表示されるという演出が時の流れをプレイヤーに常に意識させて、林間学校に文化祭といった楽しいイベントがすぎるたびに、「この時間はもう二度とやってこないのだ」と感じさせて切なくさせてくる(それはゲームをクリアしてしまうことに対する寂しさでもある)。確実に進んでいく限りある時間の中で何を選択し、どんな行動をするのかという、機会費用という言葉の意味を痛感させられるほどの自由度の高さが、プレイ体験をかけがえのないものにしているのだ。また主人公は春には東京に戻ってしまうという設定も、今しかない時間を強調する。成長することによる若さと純粋性の喪失…あの時間はもう二度とやってこないんだなあ…。あぁ、切ない…(なんだか高校最後の文化祭を思いだしました)。

 

↓青春だなあ…

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そしてそんなストーリーを盛り上げるのが音楽だ。今作の音楽は素晴らしい。遊び始めてすぐに気に入ったのは音楽だった。オープニングからオシャレでかっこいいし、女性ボーカルによるボーカル曲がフリーロームで流れたりして、常に耳が幸福感に包まれる。戦闘音楽も爽快感があるし、音楽はこのゲームの完成度を2倍以上にしていると思う。筆者は即効でサントラを買ってしまった!

 

↓プレイすると購入不可避!

「ペルソナ4」オリジナル・サウンドトラック

「ペルソナ4」オリジナル・サウンドトラック

 
ペルソナ4 ザ・ゴールデン オリジナル・サウンドトラック

ペルソナ4 ザ・ゴールデン オリジナル・サウンドトラック

 

 

次に戦闘パートの、いわゆるRPGとしてのゲームシステムについて。筆者がRPGが好きではないのは、ターン制によるテンポの悪さやシステム的に敵の攻撃を避けられないといった理不尽さ、それに起因する爽快感のなさが理由なのだが、ペルソナ4はそれらを可能な限り回避している。

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©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

上述した爽快な音楽とテンポの良い演出はプレイヤーにダレ場を与えないし、相手の弱点を突くことで仲間と一斉に攻撃を仕掛けた時の気持ちよさは他では味わえない(他のRPGはあまりやってないけど 笑)。たとえば『サクラ大戦』はシミュレーションパートは楽しいんだけど、戦闘パートはダラダラと爽快感がなくて苦痛だった(いや、好きなゲームではあるのだが…うむ…)。しかし、『ペルソナ4』は全くそんなことはない! 爽快感に加えて難易度も程よく、試行錯誤によって「勝てなかったアイツに勝てた!」という感動を味わえる! この時点でRPGの弱点は回避している! レベルを上げて物理で殴ればいいゲームとは違うぞ!

 

そして全体的なデザインについて。キャラクターデザインはポップさと可愛らしさの中間点として馴染みやすさと芸術性を兼ね合わせてると思うし、悪魔絵師こと金子一馬さんが描くペルソナやシャドウ(スタンドや敵キャラみたいなもの)は正統派ファンタジーに現代的な要素を加えたような感じでカッコいい。音楽ともマッチしている絵柄ということができ、他のゲームにはない独特な世界観を醸し出している。以前は筆者も「なんかあれでしょ? オサレなんでしょ?笑」と小馬鹿にしていたわけだが、実際にセンスが良いのだ。オシャレなのだ。それを誰が否定できるだろうか? というか、否定したくもない。演出や音楽、デザインなどが全て明確に同じ方向に進んでいるから世界観にブレがなく、完成度が高いのだと思う。

 

↓菜々子ちゃんは天使です…

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©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

総じて、ゲームとして楽しく、ジュブナイルものとして楽しく、様々な要素が膨大なボリュームを持ち、オシャレなデザインや音楽が彩る、爽快なバトルシステムが魅力の神ゲーでした。とりあえず一周するだけでも約60時間という恐ろしいボリュームなので、やり込めば200時間くらいは遊べるかもしれない。筆者ももっともっとやり込もうと思っている。食わず嫌いや先入観で舐めてる人は迷わずプレイしてみてほしい、VITAユーザー必携の一本だ。

 

ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation (R) Vita the Best - PS Vita

ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation (R) Vita the Best - PS Vita

 

画像は全て、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation®Vita the Best』から引用しました。

 

『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』感想。

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この世の果てで恋を唄う少女yu-no』は、アドベンチャーゲーム史に残る傑作として名高い作品である。筆者はノベルゲーム・テキストアドベンチャーゲームに慣れ親しんでいるので、ある意味この作品は一般教養、プレイ必須のものであると認識していたのだが、pc98とセガサターンでしかリリースされていなかった(過去形)ため、今まで触れることができないでいた。しかし2017年3月16日にPSVITAPS4にてリメイク版が発売され、さらには1996年に発売されたPC-9801版が楽しめるDLCカードが初回特典として封入されているとのことで、ようやくオリジナル版をプレイすることができた(リメイク版でも良いんだけど、やっぱりオリジナルからプレイしたいので)。

しかし念願叶ってプレイした『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』ではあったが、筆者にとっては非常に退屈なゲームであった。どれくらい退屈だったかと言うと、普段はどれだけ退屈なゲームでも一応最後までプレイする筆者がクリアする前に投げてしまったほどだ。だからこの記事はクリアすらしていない ゆとりゲーム世代の誹謗である。うーん、さすがに20年前のゲームは古過ぎたか…。

まずこのゲーム、主人公に好感を持てない。目上の人にもタメ口だし、全体的に態度が悪い。悪いやつではないんだけど、割と自分勝手なので、見ていてイライラする。主人公との共感ができなければ楽しめないタイプのシナリオなので、この時点で筆者にとってはかなりのダメージであった。

そしてヒロイン勢にも魅力を感じられず、もとがアダルトゲームということもあるのだが、貞操観念が乱れまくってるキャラは理解不能で、唐突かつ不自然なエロシーンに辟易し、なんだか全部が気持ち悪い。特にライターさんの力が入っていると思われる主人公の義母のキャラに(絵柄が古いということも相乗効果で)全くもって魅力を感じられなかったため、彼女に関するルートは本当に苦痛だった。

 

 

※ここからネタバレあり

 

 

本作を象徴するゲームシステム、並行世界を具現化した「A.D.M.Sシステム」はフローチャート上に任意のタイミングでセーブを行い、他ルートでの記憶を引き継いだまま時間軸、世界軸を自由に行き来するというシステム。このシステムが画期的である(あった)ことは筆者も認めるところで、20年前によくやったものだと感心した。

しかしさすがに荒削りで練られておらず、かなり不便である。画面クリック総当たりという、言ってしまえば面倒なシステムに(分岐がわかりづらい)、フラグ建て必須のこのシステムを追加していることで、ゲームの難易度が非常に高くなっている。何度もセーブとロードを繰り返すこと自体がこのゲームの要であることは理解できるのだが、その面倒さを超えるほどの魅力をシナリオが持っていないため、単純に苦痛でしかないわけである。しかもシナリオ上は記憶を引き継いでいるはずの場面でもゲーム上は何事もなかったように進行してしまうので、没入感は低い。同様の構造を持つものとしては『極限脱出ADV 善人シボウデス』なんかのほうが完成度が高かったように思う。

なんいうか、システムの古さゆえの操作性の悪さとか、全体的な時代感。そういうものを苦手としてしている筆者のようなプレイヤーのためにリメイクされたんだから、そもそもそっちをプレイするべきだったわけである。だがもういいや…疲れたよ…もうゴールして良いよね…?

 

というわけで、久しぶりのレトロゲーにワクワクしたのもつかの間、プレイを断念してしまった『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』でありました。同じようなゲームなら『スナッチャー』とか『ポリスノーツ』、『御神楽少女探偵団』なんかのほうが好きだな〜。

 

ちなみに筆者は達成率50%くらいで断念しました。そこまでしかやってないくせに批判するなと言われたら、すいませんとしか言いようがない。

『カオスチャイルド らぶchu☆chu!!』ネタバレ抜きで感想を。

科学アドベンチャーシリーズ最新作『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!(かおすちゃいるどらぶちゅっちゅ)』をクリアしたので感想を書く。

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このゲームは『カオスチャイルド』のファンディスクであるため、このページに来てくれている人の大半は『カオスチャイルド』のファンで、なんなら既にこのゲームをクリアしている人も多いと思う。しかしまだクリアしてない人のことを考えて、ここではネタバレ無しの感想しか取り扱わないこととする。それからこのカオスチャイルド らぶchu☆chu!!』は完全にゲームクリアむけのゲームなので、アニメしか見ていない人は買っても話が分からないと思う。アニメ版を観て興味を持った人はこのページを読んでも意味はないので、とりあえずゲーム本編をクリアしてほしい。

 

それでは…

カオスチャイルド』は筆者が大好きなゲームなので、アニメ化とファンディスク(本作)の発売がアナウンスされた時は本当にうれしかった。でもアニメ版は、放送前から1クールしかないとわかってガッカリしたり、実際に放送が始まってからもあまり出来が良くないと感じて、喜べなかった(もちろん良いところもあったのだが)。アニメ化に失敗したな~と残念に思っていた時に最後の希望として残っていたのがこの『CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!』で、こちらは結果的に満足のいく出来であった。ほっと胸をなでおろす思いである。

このゲーム、正真正銘のファンディスクなのだが、少しだけ続編の要素もある。だから単なる非正史ストーリーとしてではなく本編の延長線上にあるものとして楽むことができる。しかしそれもまあ、言ってしまうと蛇足ではある。『カオスチャイルド』自体が完全に本編一本で過不足なく完結していたため、続編の要素があってもこのゲームが話として必要であるとは思えない。しかしもちろん、ファンにとってはそれが必要であり、“嬉しい蛇足”なのである。もう一度あのキャラクター達に出会えただけで楽しかったし、この手のファンディスクとしてはじゅうぶん納得のいく一本だった。というか、ファンディスクとはそういうものだろう。

オープニングから良い意味で酷い(妄想爆裂)演出で笑わせてくれるし、お馴染みの阿保剛の音楽も重々しかった本編の音楽をポップにアレンジしてあり、それだけで笑える。もちろんストーリーもギャグ全開で笑わせてくるし、行き過ぎた下ネタを大真面目に声優さんたちが演じている様は、ちょっと凄いものがある。特に主人公を演じた松岡禎丞さんはその熱演でプレイヤーを全力で笑かしにかかってくるので、大したものだと思った。めちゃくちゃ笑いました。頑張り過ぎです。カオスチャイルドのキャラと“らぶっちゅっちゅ”できるシナリオは非常に楽しく、陰惨な本編とのギャップで救われる思いになる。この下ネタがこのゲームの魅力の9割である。

しかしあえて不満を言うと、好きなキャラクター達が和気あいあいとしてて笑えるものの、ちょいちょい度を過ぎてると思えるほどの変態的妄想が出てきて筆者は少し引いた。なんというか、プレイヤーそれぞれの性癖があると思うので、笑えるポイントが違うのは仕方ないと思うのだが、筆者は主人公のロリコン的妄想は気持ち悪く感じた(笑)。年上好きなので赤ちゃんプレイとかは爆笑したんですがね!

あとこれも不満要素なんだけど、明らかにイベントシーンの絵師が本編の人と違うので違和感がある。そしてキャラクターに関しても、このキャラがこんなことするかな?と感じるシーンが少なくなく、絵の違いとセットでプレイヤーに“二次創作感”を感じさせてきたりもする。うーん、ちょいちょいパチ物感がするのがなんともなあ…。『カオスヘッド』のファンディスクのほうは違和感がまったくなかったのだが。

 

~まとめ~

総じて、大変楽しいファンディスクだった。『カオスヘッド』のファンディスクの不満点を解消してあって(新たな不満点もあったが)、満足のいく一本であった。ここにかいてあることには不満点が目立つかもしれないが、全然楽しいゲームなので、『カオスチャイルド』のファンは迷わずプレイしてほしい。

 

では、読んでくれてありがとう。

 

『かまいたちの夜2』クリア後の感想。

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先日、PSP用ソフト『かまいたちの夜2 特別篇』をクリアしたのでその感想を書く。しかしまずはその前に、前作である『かまいたちの夜』に対する筆者のスタンスを軽く述べておこう。前作『かまいたちの夜』は筆者にとって無二の特別なゲームであり、ノベルゲームという媒体の可能性を信じさせてくれた特別なゲームだった。プレイヤーが、自分の手で推理をしなければ被害者がどんどん増えていくという閉鎖空間におけるサスペンス体験はゲームならではのものであり、小説でも映画でもなし得ないエンターテイメントは筆者にとって非常に衝撃的なものだったのだ。ましてやこのゲームはまだまだサウンドノベルという媒体が確立していなかった頃の作品。というか、この作品がサウンドノベルを確立したのである。昨今のノベルゲームも全て『かまいたちの夜』の影響を受けていると断言できるし、そしてそのどれもが原点を越えているとは思えない(マルチサイトやフローチャートを用いたものなど、進化形は生まれたが)。大げさにいうと、初めて作品世界に干渉できるエンターテイメントがノベルゲームという形で成立したのだと思った。まさに原点にして頂点である。

で、今回取り上げる、その続編の『かまいたちの夜2』はどうか? 結論として、こちらは平凡なホラーサウンドノベルになってしまっているという印象だ。プレイする前から賛否両論であるということは知っていて、ある程度ハードルを下げて臨んだつもりだったのだが、覚悟していた以上に微妙な出来であった。

確かにプレイを開始してしばらくの間は、前作に比べて格段に進化した演出やお馴染みのシルエットなど、非常に楽しめていた。前作と同じ最高の音楽と、読ませることが上手い演出。ダラダラと紙芝居を見せられるだけのノベルゲームもたくさんプレイしているから、やはりチュンソフト製のテンポの良さというか、基礎のレベルの高さには唸らされた。

しかしメインなる「わらべ唄篇」を終える頃にはもうガッカリしていた。密室サスペンスの要素は薄いし、容易に特定できる真犯人には拍子抜け。前作のような緊張感はないし、前作での醍醐味、「プレイヤーが物語に介入している感」が全然しなかったのだ。本当に、話を読んでいるだけというか、自分の手で被害者を減らしている感がしない。これでは平凡なノベルゲームである。『かまいたちの夜』という冠でこの出来は非常に残念だった。

前作と同じテイストを避けたことは良しとしよう。吹雪の中のペンションから、江戸川乱歩横溝正史っぽい孤島を舞台にしたのも良かったと思う(雰囲気は抜群)。前作がサスペンスだとするとこっちはスプラッタ、視覚的な残虐表現や生理的嫌悪感をかきたてられる演出は見事である(本気で気持ち悪くなる)。ただ、テイストの変化を抜きに考えても、前作の高みには決して達していない。退屈なシナリオが多くて、夢中になったシナリオはごく僅かであった。しかもその大半がギャグシナリオだというのも、この手のジャンルとしては致命的ではないだろうか。要するに、シナリオが良くない。

 

実プレイは約15時間。腹を抱えて笑えるギャグはあるが、ホラーゲームでギャグが一番楽しめたって、それはダメだろう。妄想篇や惨殺篇など、本編とは関係ない部分のほうが面白かったし、かまいたちの夜として失敗していると思う。音楽良し、演出良し、システム良し、シナリオ悪し。独創的な続編形態など、作り手さんの意気込みは買うけれど、あまり良いゲームとは思えなかったなぁ…。

 

などなど、偉そうに書いたが、値段ぶんは楽しめた。決してクソゲーではないが、前作と比べると残念なゲームである。

 

『最果てのイマ』クリアしたので感想を。

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 ―――彼らはいつも7人だった。

特殊能力を持つ少年「貴宮 忍」。彼には、幼いころから心を許している友人が7人いた。
放課後、町外れの廃工場が彼らのたまり場。彼らにとってその場所は、誰にも邪魔されることのない空間。
家庭でも世間でもない安息の場所であり、《聖域》だった。
人と人は傷つけ合う。どんなに親密でも衝突は避けられない。
しかし、 たとえ接触が傷つけあいだとしても、それは相手が実在することの証拠となる。
だからこそ生身の絆はかけがえのないものとなるのだということを……
7人の間で繰り広げられる、理解と共感、反発と衝突。そして思春期の淡い恋愛感情。永遠に続く友情。
そんなまどろみのような幸せの中に、ずっといられる―――はずだった。

Amazonより)

 

最果てのイマ』は2005年にザウス【純米】よりPCゲームとして発売された18禁のアダルトゲームで、シナリオゲーの名作『CROSS†CHANNEL』で知られる田中ロミオさんがシナリオを手掛けている。筆者はこの度、『CROSS†CHANNEL』で楽しませてくれた田中ロミオ作品であることとパッケージの雰囲気、そして「ジュブナイルアドベンチャー」というジャンルに惹かれて購入してみた。なお、プレイしたのは全年齢向けに性描写がカットされたPSP版なので、PC版とは多少仕様が違うかもしれない。だからPC版の感想としてはこのページは機能しないと思うが、とにかくクリアした感想をここに書く。一応、ネタバレに関することは書かないつもりではいるが、このゲームについて語るには多少なりともその構造部分について触れなければならない。そのため、まったく新鮮な気持ちでプレイしたいと思っている人は、ここでこのページを去ってもらいたい。実際、筆者も前情報を入れてからプレイしていたら印象はかなり違ったものになっていたと思う。

 

それでは…

このゲーム、「難解」という一言に尽きる。筆者はこれまでいろいろなテキストアドベンチャーゲームをプレイしてきたが、このゲームの難解さはその中でも断トツで一番だった。というか、いまだにどういう話だったのかイマイチ理解できていない。だからある意味、以下に記述する筆者の感想は的外れなものなのかもしれないということをここで忠告しておく。というのも、このゲームは基本的には、とある廃工場に集まる男女八名の青春ものではあるのだが(そういうものを期待して購入したのだが)、実際それはごく一部の要素でしかない。だから筆者のようにジュブナイルアドベンチャー」という触れ込みに期待して購入した人たちは驚き、あるいは失望を味わうと思う。「難解」と上述したように、このゲームはそんな軽い気持ちで挑むべきゲームでは全くなかったのだ。

 

ジュブナイルアドベンチャー」としてプレイし始めた序盤の10時間、筆者は、典型的な青春ものの型どおりに魅力的なキャラクター達の掛け合いが続き、センスの良いやりとりやギャグに溢れるこのゲームを期待通りに楽しんでいた。豊富なイベントCGや声優さんたちによるフルボイス、そしてあくまで物語を支えるべく静かな存在感を発揮するBGMはなかなか魅力的だった。しかしその中で時折「…ん?」と引っかかる世界設定が垣間見える。何かがおかしいというか、何かの伏線であろうことをある程度察しながらプレイし続けると、少しずつダークな色を見せ始め、胸を締め付けられるような小学生のイジメシーンなど、読んでいてしんどい要素がでてくる。そして中盤以降はジャンルが変わったのかと思うほど鬱的・病的な雰囲気が強くなっていき、終盤・後半部分は序盤の常識という常識をことごとく覆していく展開のオンパレードだった。

この構成は同作者の『CROSS†CHANNEL』と似ており、あっちも「実は主人公たちは~~~だった」というある種のどんでん返しがあったわけだが、本作においてはそれがやり過ぎだったように思える。ちょっと序盤と終盤で物語上のギャップがあり過ぎる。だれがハードSFになると予想できたんだ? ある意味詐欺に近いだろう。序盤の物語に終盤の展開は必要ないように思えるし、終盤の物語において序盤は不必要に長い。要するに、地続きの物語としては無理があるように思えた。

また地の分が非常に硬く、不必要に硬い表現を多用しているのも読みづらくてしんどかった(これについては一応道義づけがされているものの、だからといって難点にならないわけではない)。過剰な蘊蓄や設定の解説は物語のテンポを致命的に悪くするし、真の意味で中二病といえるほどのシナリオ(これは良い点でもあるが)は筆者には合わなかった。なんというか、作者の自己満足でしかないように思えたのだ。個人的には『CROSS†CHANNEL』で感じた田中ロミオという作家性の悪い部分が非常に多く詰まったゲームであるなという認識でいる。

 

クリアまで約40時間、大ボリュームの壮大なSF物語だったけれど、筆者は苦手な部類だったようで、最初の20時間以降は苦痛だった。しかし快適なゲームシステムや豊富なイベントCG、設定が凝りに凝られた物語は、相性が合う人にはこの上なく楽しめるゲームになるとは思う。またゲームという媒体でしか成立しないエンターテインメントとして成立しており、よくこんなゲームを創ったな、と感嘆する。だから、「筆者には合わなかった」という一本だった。めちゃくちゃ濃い作品であることは間違いないので、楽しめなかったのは筆者の知識・認識不足が原因かもしれない。

 

なんどか笑ったシーンもあるし、序盤の掛け合いやキャラクターはかなり楽しめたので、筆者にとっても駄作ではないが、うむ…何とも言えないゲームだ。というか筆者がプレイしたのは全年齢版なのに、普通にどぎつい下ネタ(生理ネタには爆笑した)やディープキス(なんとチュパ音まであり)、ロリ的にアウトなシーンもあったんだけど、ちゃんと審査したのだろうか…? 『CROSS†CHANNEL』の時も思ったが、田中ロミオ作品は(良い意味で)本当に病的な感じがして凄いと思う。

というわけで、読んでくれてありがとうございます。

 

lemuridae.hatenablog.jp

 

 

『この世界の片隅に』 今さらながら感想を。

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昨日、異常なまでに評判の良いアニメーション映画『この世界の片隅に』を観てきた。今や世評も定まり、一部では昨年度ナンバーワンの評価もされているこの映画。筆者の期待値も上がりに上がっていたのだが、結果 期待を裏切られることもなく非常に楽しむことができたため、今回はその感想を書くことにする。なお、公開から既に数ヶ月たっているので、もうネタバレしても良いだろう。この記事にはネタバレが含まれるため、未見の人はここで帰ってほしい(というかほぼ、見た人向けのページである)。

 

それでは…

実はこの映画、評判が良いのは知っていたんだけど、劇場はスルーして円盤の発売を待とうと思っていた。というのも、上映館数があまり多くないこともあり、筆者としては、ちょっと遠出しないと観ることができないのだ。それに戦争映画って観賞後に落ち込んでしまうしな〜と思ったりして、なかなか重い腰をあげる気にならなかった。だけども数日前、この映画の監督を務めているのが、あの二丁拳銃ガンアクションアニメ『ブラックラグーン』と同じ、片渕須直さんであるという事実を知り、その作風の広さに驚愕するとともに興味を惹かれたため、劇場に足を運んでみた。結果、今まで観に行かなかったことに後悔し、同時に劇場で観ることができて良かったと思った。

 

この映画って、本当になんか独特な作品だと思う。今まで観てきたどの戦争映画とも違って、なんというか、ほのぼのしてるし、コメディだし、ゆるい。主人公の すずさん はほわ〜っとしてて可愛いし、なんか戦時中版けいおん!って感じ。すずさんの、大状況にいながらもマイペースさを持ち続け、それゆえに世の中を客観的に見ている感じが、自伝漫画における水木しげるみたいだな〜と思いながら観ていたら、中盤で腕を失ってしまうシーンがあって、本当にビックリした。失った手が、利き手かそうでないかで凄い差が生まれるんだな~と。想像力を奪われるということは残酷なことである。

 

凄いな~というか、本当に敬意を抱かざるを得ないのが、この映画で描かれる人たちがみな、どれだけ悲惨な状態でも、今現在を精一杯楽しんでいるところ。能天気というかなんというか、押しつけがましさがないぶん、より視聴者に委ねてくる部分が多い。道端の片隅にある雑草をあんなに楽しそうに料理してるシーンなんて見たことなくて、笑っちゃいけないんだろうけど笑ってしまう。クソまずい米の炊き方をしたり、嫁ぎ先の苗字を知らなかったり、二言目には「あちゃ〜」って言って頭をかいてるゆるい女の子が、時代という大きなうねりの中で追い詰められ、片隅にすら居場所を与えられない世界の残酷さと、奪われるものの悔しさ。敗戦という言葉の重さと、筆者とほぼ同い年の女の子が頑張る姿、その強さ、女性の強さに何度も泣かされました。何気ない日常から見える世界の姿と、決して涙を見せなかった主人公を、あのゆるいほのぼのした女の子を、地べたに這いつくばらせて泣かせるあのシーンは、ああ!やめてくれ!ってなって、筆者はボロボロ泣いてしまった。

 

実際に すずさん みたいな人がいたのかはわからないけど、非常にリアリティがあり、キャラクターのその後が知りたくなる良い映画だった。見る前は重苦しい映画なんだろうと思っていたけど、実際には(重いシーンもあるものの)テンポよくゆるいシーンが続く見やすい映画でした。二時間越えというアニメーション映画としては長い上映時間も苦ではない。確実に日本映画史に残る一本だと思うので、必見である。空襲や大砲の爆音の怖さは劇場ならではのものだと思うので、筆者は公開している間にもう一度は観に行こうと思う。

 

というわけで、読んでくれてありがとう。