オタクノ作る時間

外に出ることを好まない学生による、映画やノベルゲームの批評を主とした非営利ブログです。

新サクラ大戦(仮題)に向けて、サクラ大戦の魅力を語る!

2018年4月14日、15日の2日間にわたって、東京で開催されたセガファンのための祭典「セガフェス」。数々のプロジェクトが発表されていく中、筆者を驚かせる衝撃の発表があった。

サクラ大戦始動

そう、あの「サクラ大戦」が、10年以上の時を経て帰ってくる。太正桜に浪漫の嵐が、ふたたびやってくる。それを知って筆者は歓喜した。椅子から立ち上がった。爆音でゲキテイを聴いた。

なぜならサクラ大戦が大好きだからだ!

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というわけで(どういうわけで?)、今回このページでは、実年齢がサクラ大戦シリーズとほぼ同い年の筆者が、サクラ大戦がいかに素晴らしいかということを伝えるべく、頑張って文章を書こうと思う。なぜそうしようと思ったのかというと、新作の発表で思い出したように、なんとなくプレイしていなかった「サクラ大戦5」を購入――PS2を引っ張り出してプレイしてみると、これがまあ面白いじゃないですか! となったこともあって、久しぶりにサクラ大戦について何か書きたくなったのだ(笑)。だからそのうちサクラ大戦5のレビューもこのブログにて掲載すると思う。

また、考えてみれば現在10代〜20代の我々にとって、サクラ大戦に出会うきっかけはあまりないだろうということもあり、セガさんがサクラ大戦を復活させる今、筆者もそれを支える一助になれれば嬉しいと思い、もっともっといろんな人にサクラ大戦を遊んで欲しいと思ったのも、この記事を書くきっかけの一つである。

f:id:Lemuridae:20180626193252j:image久しぶりのサクラ大戦……これが非常に面白い!

 

それではさっそく、「サクラ大戦」というものがどういったものなのかというところから話を始めよう。

サクラ大戦セガから1996年に発売されたセガサターン用のゲームソフト。現実の日本の大正時代を思わせながらも、蒸気機関が現実以上に発達したスチームパンクな架空の世界「太正」時代を舞台に、主人公が歌劇団に扮した特殊部隊を率いて魔と戦うゲームである。歌劇団に扮した、と書いたように、楽曲や舞台が非常に大きいウェイトを占める作品であり、実力派の声優さんによる力強い歌曲や芝居が魅力となっている。

はーしーれー!こーそくのー!てーいこーくかげきだんー!

って有名すぎるあの曲は、幅広い世代の人々の耳に残っていると思うのだが、どうだろう? 筆者にとってはカラオケに行くと熱唱不可避の名曲である。あの曲を聴いてもらえば、このシリーズのノリやイメージが一気に伝わると思うのだが、曲は文字にできないので、文章で伝える努力を続けよう。

このゲームは、アドベンチャーゲームのパートと戦略シミュレーションのパートの2つがあり、その両者を交互に繰り返しながら物語を進めていくものである(ペルソナをやったことがある人がいれば、あんな感じだとおもってほしい。あれはかなりサクラ大戦に近い)。アドベンチャーパートでヒロインとコミュニケーションをとって結束を強めることで、戦略シミュレーションパートで優位にゲームを進めることができるといった内容になっている。

2つのパートのうちの大部分を占めるのはアドベンチャー部分であり、これはほとんど恋愛ゲーム的な内容なのであるが、ギャルゲーが嫌いな君、安心してほしい。その魅力はそこのみに終始しない。恋愛要素は要素の一つに過ぎず、みんながどうしても燃えてしまう、戦隊ヒーローものやロボットものの熱い要素、ど直球に正義を示すメッセージ、大正浪漫や時代劇を思わせる華やかな空気、帝都物語に影響を受けたであろうオカルトな雰囲気もあり、さまざまな「王道」を詰め込んだエンターテイメントの極みといった内容になっている。また、要所要所でいわゆる「ミニゲーム」が挟まれており、これの出来がなかなか良くて、繰り返してプレイしたくなる魅力を放っている。テキストを読むだけでも飽きることはないのだが、適度なタイミングでゲーム性を加味することによって、だれることなくプレイすることができるようになっているのだ。このアドベンチャーパート、最高の世界がそこにあることを約束する。

そして次に、2つのパートのうちの残りのほう、戦略シミュレーション部分について語ろう。うむ、正直これは今の目線で見ると辛い。なんといっても1996年のゲーム性なので、今やるとかったるいというか、あまり爽快感はない。決められたマスを進めて敵に攻撃をかけるという昔の戦略シミュレーションに定番のあれだ。あまり長いステージとかだと、繰り返しプレイするのが正直面倒くさい(笑)。しかし劇的につまらないというわけではないので、これからプレイする人にはこの部分に関しては我慢してほしい。それに、戦闘中のキャラクターの掛け合いには光るものがあって、特にその真骨頂である「合体技」は、シリーズを重ねるごとにシュールを通り越したカオスなものになっていき、抱腹絶倒できるので見逃せない。

コペルニクスガリレオも、2人の前では天動説!

こういった意味不明のノリを全力で押し出してくるので、笑いながらサクラ大戦の虜になることは間違いないと思う。筆者は合体技が大好きだ。少しでも惹かれるものを感じたのなら、たぶんあなたはサクラ大戦に向いていると思う。ぜひプレイしてみてほしい。

f:id:Lemuridae:20180626193503j:image(C)SEGA 2011

 

……と、まずは一作目のゲーム性について語ってみたが、まだまだ読者の皆さんに魅力が伝わったかどうか、自信がない。筆者がこう書いても、こう思う人が多いと思う。

そんなんいっても、サクラ大戦って古くさいし、キャラクター可愛くないじゃん

ぐさっと刺さる言葉である。それ以上言わないで欲しくなる。…しかし認める。確かに今の目線で見ると、キャラクターデザインなどは古びており、「このキャラクター、可愛いか?」と思うようなキャラもけっこういる。というか、筆者も高校生だった初プレイ時、「2人くらいしか可愛いキャラがいねーじゃん」と思っていた。

しかし、しかしだ!クリアした頃には

みんな大好き! みんなキャラが立っていていいやつばっかり!

そう思っていた。田中真弓の声でも可愛いなーって思えるって、すごいことだと思いません?(ごめんなさい、田中真弓さん)

だからそんな心配は、実際にプレイしたら吹き飛んでいると思う…よ? 確約はできないけど。

 

さて、少し脱線したので話を戻そう。実際、今語った「サクラ大戦」が、当時どれほど評価されたのかを知ってほしい。エンターテイメントの極みである「サクラ大戦」は、アドベンチャーゲームとしては今ではほぼ不可能なレベルである、50万本近い売り上げを達成。まさしく時代を表す一本となったのである。

その人気はとどまることなく、その後、4本のナンバリングシリーズのリリース、テレビアニメ化、OVA化、劇場映画化、声優による歌謡ショウ・舞台化(これがまた本格的すぎて笑うくらいの)、2回の武道館ライブ、ドラマCD、漫画、パチンコ、他作へのコラボ参戦……と、例を挙げればきりがないほど巨大なコンテンツとなっていく

これには音楽の田中公平さんの貢献も多く、主題歌の「檄!帝国華撃団」のCDアルバムはCD全盛期当時のオリコン15位を記録しているし、シリーズの1度目の完結編とも言える「サクラ大戦4」のCDアルバムは、NHKのゴールドディスク大賞を受賞している。もちろん武道館ライブも避けて語ることはできず、コンテンツとして昨今でいうアイマスラブライブと同等か、それ以上の勢いを持っていたと思うのだが、後追いの筆者はリアルで体験したわけではないのであまり多くは語れない。

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まあとにかく、サクラ大戦は巨大なコンテンツなのだということは事実なので、このムーブメントに参加すると楽しみがどんどん増えると思う。後追いの筆者も武道館ライブとか、その舞台裏のドキュメントとか、非常に楽しく見させてもらいました。

 

続編の「サクラ大戦2」も前作を超える売り上げを達成。たぶんこの頃がサクラ大戦シリーズの全盛期かな? 57万本も売れている。驚愕である。

舞台を巴里に移し、ヒロインを一新するという冒険に出た「サクラ大戦3」も新たな魅力を持っており、最高傑作という人も多い。筆者も新しいキャラクターに馴染めるか不安だったが、あっという間に新キャラを好きになった。もう最高である。

1作目から続投してきた主人公、大神一郎の最後の主役となる「サクラ大戦4」はボリュームこそ少ないものの、それまでのシリーズのヒロインがいっせいに集うという、アベンジャーズのような「夢のよう」感があり、またシリーズが一度ここで締められるというストーリー上、それまでのシリーズをプレイしてきたプレイヤーは涙を避けられない一本。クリアした後、高校の卒業式の後よりも喪失感を味わったのは本当の話だ(笑)。

そして現行最後のナンバリングタイトルである「サクラ大戦5」は筆者が今プレイしているのであるが、主人公もヒロインも舞台も一新した作品。正直、上記の1〜4に比べると評判は良くないのだが、遊んでみるとこれがちゃんとサクラ大戦している。うん、不満も分からなくないんだけど、全然楽しいゲームです。筆者は他の作品と同様にハマっている。

そしてそして遂に、前作から10年以上の時を経て、この2018年に新作の発表がされたわけだ。正直、生誕20周年だった2016年に何のアナウンスもなかったので、「これほんとに、サクラ大戦は終わったんだなぁ」と思っていたので、シリーズの復活は本当に本当に嬉しいばかりである。てかHD機のサクラ大戦とか楽しみすぎね? やべーよな、ほんとに。

 

 

さて、肝心なことを書き忘れていた。というか、早く教えろやとここまで読んでくれている読者のあなたも思っているだろう。

お前がサクラ大戦が好きなのはわかった。で、結局どれからやればいいんだよ?と。

結論から言うと、とりあえず始めてみたい人にはPSP版がオススメ。1作目と2作目がまとめてプレイできるので、安い。しかもPSストアで購入できるため、ちゃんとセガさんにお金を払うことができる。 ヴィータでやるのがベストだろう。

SEGA THE BEST サクラ大戦1&2 - PSP

SEGA THE BEST サクラ大戦1&2 - PSP

 

 全シリーズやりたいという人はドリームキャストを買うしかないドリームキャストを買って、全シリーズを中古で揃えよう。…しかし湯川専務には申し訳ないが、ドリームキャストはあまり流行ったハードというわけではないので、手に入れるのは大変かもしれない。こればっかりは仕方ない。サクラ大戦5はPS2だけど…PS2はみんな持ってるでしょ?

ま、やっぱりPSP版からプレイするのがオススメです。たぶんそれをクリアした頃には、筆者のようにどっぷりサクラ大戦の世界にはまり込んでいると思うので、とりあえずハマるところから始めましょう。そうすれば自分で調べるなりなんなり、気がつけば全部やってると思う。

 Windows版は最近のOSでは動作が安定しないのでオススメしない。

 

と、いうわけで、ここまで読んでくださったあなた。とりあえず動画サイトで「サクラ大戦」と検索するところから始めよう。百聞は一見にしかず、音楽と映像でその素晴らしさがわかるはずだ。

以上、サクラ大戦について書かせてもらいました。読んでくれてありがとう。

『ひぐらしのなく頃に粋』二度目の紹介(今度はクリアしてますよ)!

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みなさんごきげんよう。毎度言っているような気もしますが、久しぶりの更新となりまして、お久しぶりです。当初は週一更新が売りのブログだったのに、気がつけば月一かどうかも怪しくなってきました……

 

さて、こういった挨拶はウザいだけだと思うので、さっそく今回の趣旨をお話ししましょう。今回このページは、筆者が遂に『ひぐらしのなく頃に粋』をクリアしたため、その感想をネタバレしない程度に書こうと思います。なお、当ブログでは以前にも『ひぐらしのなく頃に粋』について書かせていただいたわけでありまして、今回はその続編というか、補足的なものになると思います。前回も未プレイの人への配慮はしたのですが、とはいえやはり多少の先入観を与えてしまうことは必定であるため、本当に新鮮な気持ちでこれから本編に臨みたいという人は、ここでブラウザバックをお願いします

 

↑こっちから読んでもらった方がわかりやすいかも……長いけど

 

では始めよう!……と、その前に、申し訳ないがもう一つだけ前置きをさせてもらいたい。くどいのはわかるのだが、これだけは! と筆者が譲れない、個人的なことを書かせてもらいたい。プレイしている間中、ずっとずーっとこう書こうと思っていた。

このゲーム、長い!長い!長すぎる!

ひぐらしのなく頃に粋』、こやつはなんと、クリアまでに120時間越えというとんでもないボリュームの化け物だった。正直、これを書いている筆者は今、ほんとに疲れ果てている(クリアしたテンションでそのまま書いている)。もはや一本のゲームをクリアしたというより、ちょっとした行事を終えたような気がしている。なんせ上にリンクを貼った前回のページを書いたときですら、「長いな、もう終盤なんだろうな」と思っていたわけであるが、あんなものは序の口だった。あのボリュームですら、全体の中ではやっと折り返したかどうかというくらいの位置でしかなかった。だから前回のページに書いた感想は、このゲームの半分に対する感想でしかなかったわけである。それほど長かった。長かった。長……しんどかったんだよ!

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f:id:Lemuridae:20180529193642j:plain↑はい、挫けそうになりました。でもズルいよな……こんなこと言われたら頑張っちゃうじゃん(笑)

 

 

さて、今度こそ前置きは終わりにして、肝心のクリアした感想というものを言おう。

なんか、愛憎入り混じるというか、好きなとこも嫌いなとこもある。

これに尽きる。筆者はなんかもう、『ひぐらしのなく頃に』が好きなのか嫌いなのかよくわからない。というか、なんども「つまんねえなあ」と思ってたくせに、なんだかんだ最後までプレイしてしまった。……それは面白かった、好きだ、ということなのだろうか? 自分でもわからない。でも、

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この画像が示すよう、十万回ボタンを押してもなお止めなかったところを見ると、やっぱり面白かったんだろうな。好きなんだろうな。終盤はほとんど意地になっていたけど、このゲームに要した時間を無駄だったなんて思わないし。だから僕はひぐらしが好きなはずなんです。本当の話ですよ。

でもでも、印象自体は前回の記事を書いたときよりも悪くなっている。終わりよければすべて良し、という言葉があるが、あれは至言だと思う。筆者はこのゲームの終盤の結末となる展開が苦手というか、ぶっちゃけクソだと思った(ファンの人ごめんなさい)。だからどんどん印象が悪くなっていた。それはもう酷いと思った。中学生が書いた二次創作かと思った。なんだこれ、バカじゃねえのと思った。怒った。呆れた。これで全部台無しじゃんと思った。番外編が途中で挟まれるのがどうとか、ゲームシステムがどうなのかといったことは、前回の記事で書かせてもらったので割愛するが、やっぱり本筋のストーリーに不満が多々あって、このゲームをやっているうちの半分以上は楽しんでいなかったと思う。これが本当に正直な感想だ。

ただ、でも、でもですよ。やっぱりそれでも、筆者は手を止めなかった。最後までプレイした。だから心底嫌いなわけではないんだと思う(これが肝心)。

というか、『ひぐらしのなく頃に』という巨大なタイトルで、それに思春期を捧げた友人がいて、Twitterには優しくいろいろ教えてくれるフォロワーさんがいて、このタイトルについて今もなおいろんな人がああだこうだ言っていて、それに賛同したりそうじゃなかったり、「あそこがどうだ!」とか「あそこがダメだ!」とか、はたまた「あそこが好きだ!」とか、わいわい言える連中がいて、その仲間になれた時点で、このゲームをやってよかったと思う。……なんだ、俺、ひぐらし好きなんじゃん。何度も大笑いしたじゃん。何度もイライラしたじゃん(笑)。

デレたついでに良かったところをバンバン書いちゃうと、出題編と呼ばれる序盤は本当に面白かった。十点満点中十点と言っていいと思う。そして声優さんがみんな素晴らしい演技を見せてくれて、特に筆者は雪野五月ゆきのさつき)さんが大好きなので、その声をたくさん聴けて満足できた。また、後付けラッシュは辟易したけど、さすがにそのかいあって、世界がほんとに広くて、いろんなキャラの思惑が交錯していて、「ひぐらしワールド」が確かにそこにあったと思う。そしてその後付け番外編は、総じてあまり面白くなかったけど、そこで描かれるメッセージは総じて真摯で好感を持てて嫌いになれなかった。なんだかんだでキャラが出てくるとテンションが上がって、「あ、俺はこいつらが好きなんだな」と思えた。前回の記事とかで批判しまくったけど、なんだかんだ南井巴も公由夏美も好きだった。

  

でも、今から他人にこのゲームを勧めるかと言われたら、俺は勧めない! だって苦行だったもん! だって長すぎるんだもん!

ただ相手が十代だったら……十代だったら勧めます(笑)。だからもし今この文章を読んでくれているあなたが十代で、あまりホラーものをやったことがなかったりするのなら、Switchでこの夏に『ひぐらしのなく頃に奉』という、さらにシナリオが増えた完全版が出るらしいので、それを買ってみたらいいと思う。もちろん自己責任ですけどね。

……というかこのゲームって、出会うタイミングがすべてな気がしてきた。中学生の時にやった、筆者のノベルゲー童貞を捧げた『おおかみかくし』は、筆者の思い出の一本だから。

 

 

f:id:Lemuridae:20180529203534j:plain今となっては思い出深いシーンです……

 

…というわけで、好き勝手に書きまくらせてもらったところで、そろそろこのページも終えようと思う。なお、今回のこの文章は、深夜のテンションで書いている(笑)。理由は、ひぐらしにはそんなテンションで書いたんじゃないかって思うようなシーンが多かったから、筆者もそれに倣ったわけだ。

むう……二回もしっかり感想を書いたゲームって初めてだよ。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。筆者のこのゲームへの愛憎が少しでも伝わったなら嬉しい(笑)。

 

実は、あと二つほど未プレイのシナリオが残っているのだが、どう考えても番外編の番外編っぽいので許してくれ!祭囃し編と澪尽し編 表裏はちゃんとクリアしたから!

 

 

ひぐらしのなく頃に粋 - PS Vita

ひぐらしのなく頃に粋 - PS Vita

 
ひぐらしのなく頃に粋 - PS3

ひぐらしのなく頃に粋 - PS3

 

 

 

 

超どうでもいいけど、「田村ゆかり、有名なノベルゲーに大概出てる説」、これ思いついたんだけど、そうじゃない?

『犬神家の一族』まだ観たことない人に贈るDS版の感想

日本で最も有名なミステリーって何だろう? 名探偵コナン金田一少年? 筆者と同じくらいの世代、もしくは現役の高校生などはそう思うかもしれない。だけどおそらく、ある一定以上の年齢の方や、ミステリー小説・映画が好きな人ならこう答えるだろう。

犬神家の一族

これこそが最も有名なミステリー作品であると。知っている人、観たことがある人にはインパクト抜群の大作である。

 

f:id:Lemuridae:20180329141837j:image↑犬神家と言えばコレ。ちなみに脚はお髭のモビルスーツ

 

そして『犬神家の一族』を観たことがない人であったとしても、タイトルくらいは確実に知っているだろうし、湖面から見えるさかさまの脚――あのシーンを知らない人をモグリと言っても許されると思う(スケキヨを知らないなんて日本人じゃない!……は言いすぎかもしれないが真剣にそう思う)。要するに『犬神家の一族』は、日本という国において世代を問わず認知されている、素晴らしい、もはやカルチャーアイコンと化している大傑作なのである。だからみんな一度は作品に触れてもいいんじゃないかと思うのだが……

……上述したように、筆者と同じような世代は、実際に映像化されたものを目にする機会はあまりないし(子供の頃、2006年にリメイク版がやってたのと、五年ほど前に稲垣吾郎がドラマでやってたくらい?)、小説を読んでいる人も多数ではないと思う。筆者の場合は映画を見まくる人だったので、1976年に映画化された市川崑版で触れたわけであるが、普通の人は内容を知らなくてもやむ無しだろう。

 

しかし筆者としてはやっぱり全ての世代に『犬神家の一族』を見てもらいたいし、知ってもらいたいし、そして見るべき価値のある面白い作品であると思っている。だからここまで読んでいただいて

「よし、わかった! じゃあ小説を読んでみるよ! 映画を見てみるよ!」

と思っていただけたなら、もうこの記事からいなくなっていただいて結構なのだが

「えー、そんな古い小説、読む気しないわ~……。古い邦画も苦手」

という人が大多数であると思う(筆者の周りの同世代の反応からこう思いました)。

 

そこで、そこでだ。非常に前置きが長くなってしまったが、そんな人たちに今回オススメするのが、今回紹介する、2009年にフロムソフトウェアから発売された任天堂DS用ソフト『犬神家の一族』なのだ。

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これならゲームだし最近のものだし(といっても十年近く前になってしまったが)、DS用のソフトだから、なんだかんだでみんなプレイしやすいと思う。DS、一つくらいは持ってません? 筆者はライトを持ってます(古い)。持っているならぜひともプレイしてもらいたいと思う。というわけで、以下にこのゲーム版犬神家の魅力・利点を述べていく。長いけど、もうちょっと読んでください!

 

……では。

このゲームは横溝正史原作を忠実にアドベンチャーゲーム化したものであり、そのストーリーの上質さは折り紙付きのもの。読み進めるたびに驚愕の展開が常にプレイヤーを待ち受けていることを保証するし、保証できる最高のものだ(だって最高のミステリー小説まんまだもん)。筆者も改めてこのゲーム版で物語に触れて、本当に良くできた話だなと感心した。日本特有の風俗や戦後の日本という背景、舞台が絶妙に親和していて、「日本のミステリー」という言葉がこれ以上に似合うものはなかなかもう生まれないと思う。

 

そして映像面・グラフィック面も優れていて、表紙に金田一耕助が墨絵タッチで描かれているが、ゲーム画面はすべてこのようなモノクロの墨絵で表現されている(血などの表現のみ色がついているのも、シンシティみたいでカッコいい)。これが『犬神家の一族』という原作と非常によくあっていて、筆者は素晴らしいと思った。横溝正史の雰囲気をそのままにおどろおどろしく重みがあり、しかしヒロインなどはしっかり今風の絵柄にリファインしてあって、たぶん実写版よりも若い人たちに受け付けやすいんじゃないかと思う。金田一耕助も歴代の俳優さんを足して割ったような中間の顔をしていて(強いて言えば鹿賀丈史?)良い。古典を細心のコンテンツにリファインするときにありがちな「これじゃない感」はまるでなく、入門にも最適であると思う。

 

また当然なのだが、アドベンチャーゲームであるために自分のペースで進められること、キャラクター全員にグラフィックが用意してあることも良い。筆者は1976年の市川崑による映画版がとても好きなのだが、あの映画はけっこう難点もある。それは言ってしまえば筆者が悪いだけではあるのだが深刻なもので、映画というものは時間表現のものなので、どんどんぽんぽん話が展開していく。で、ミステリー物は全てそうなのではあるが、『犬神家の一族』という物語は登場人物が非常に多い上に関係性がややこしい(異母兄弟、その子供、従弟、非嫡出子など…)。だからちょっと気を抜くと誰が誰なのかなくなってしまって、話についていけなくなってしまう。

こいつ誰だっけ? えーっと、こいつはコイツの子供で、だからこいつは……ん?

この連続であり、非常に頭が忙しい。初見のゴッドファーザー並みのしんどさがあった。しかしゲーム版ならばそんな心配はない。自分がボタンを押さなければ話はこっちの頭の整理を待ってくれるし、キャラクターのグラフィックはそれぞれ特徴的に差別化が図られており、誰が誰だか理解しやすい。さらには人物相関図や登場人物の説明まで搭載されているため、我々のようなゆとりにも優しい仕様だ。原作を忠実に再現していることもあって、ある意味最も深く物語を理解できるものになっていると思う。だからこのゲーム、『犬神家の一族』を知らない人に強くお勧めする。日本のミステリーは面白い! そう思っていただけること間違いなしだ。

 

 

さて、ここまでやたらと褒めまくったが、このゲーム、いろんなところで感想を見るとなかなか叩かれている。その際挙げられているのは

  • 原作そのままやんけ
  • ゲーム性なさすぎ
  • 最も有名なミステリーをゲーム化してどうするの?

といったところである。これらは全て一理あるわけだが……悲しい。筆者はそう思った。

わからないけど、たぶんこういう感想を書いている人というのは、もともとミステリーが好きな人や『犬神家の一族』リアルタイムの年配の人なんだと思う。だからこういう感想を抱くのは当然のことなのだろう。納得する。だけどたぶん、このゲームを創った人たちはそんなことは重々承知だったんじゃないかって筆者は思う。わかってて作ってるんだと思う。なぜなら筆者くらいの世代の人間は、上述したように『犬神家の一族』を知らない。ガキ使 か にしおかすみこ のネタくらいでしか知らない。だから何が悲しいって、結果的に言うと、このゲーム版犬神家、ターゲットにしている我々世代には売れておらず、もともと犬神家を知ってる人たちしか買っていないんだろう。なぜなら筆者も映画版が好きでなければ関心を持たなかったであろうことは明白だからだ。……ゲーム化した意味ないやん。

 

というわけで、ターゲット層の我々がもっとプレイできるように、2009年のゲームを筆者は今ここで改めて強くお勧めする。たぶん新品中古を問わず2000円以下で帰るので、映画一本見るつもりで……購入してください……。アドベンチャーゲームとはいえ6時間くらいで終わるので、いい意味でテンポがいいですし……。そうすればこのゲームを創った人たちも喜ぶんじゃないかって思う(筆者の立場が謎)。 

 

というわけで任天堂DS用ソフト『犬神家の一族』を紹介しました。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。またお会いしましょう!

 

犬神家の一族

犬神家の一族

 

 

冬目景作品を読め! 好きな漫画家さんの話

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愚か者に幸あれ。
これは筆者が好きな漫画家 冬目景(とうめけい)さんの代表作『イエスタデイをうたって』に登場するセリフである。賢く大人な、現実的な選択肢を捨てて突っ走っていくキャラクターに向けられたこのセリフは、おそらく冬目景さんから読者へと送られたエールなのだろう。いい言葉だなーと筆者は思う。

 

さて、今回は当ブログでも初の試みとして、筆者が好きな漫画家さん、冬目景さん――そしてその作品をいくつかを紹介しようと思う。筆者は漫画をほとんど読まない人間なのだが、そんな筆者がほとんど全ての著作を集めているという、個人的にドンピシャな漫画を描いてくださるのが冬目景さんなのだ。

氏の代表作は最近ようやく完結した『イエスタデイをうたって』と、様々なメディアミックス化がなされた『羊のうた』だろう。油絵のような絵、今に至るまで一貫してアナログな手法で描かれる絵、そしてとにかく遅筆であることが特徴的な漫画家さんだ。イラストレーターとしても活躍されていて、その独特な世界観は他に代役がいないと思うのだけど、知名度はあまり高くないから不思議だ。まあ、好きな層には好まれているタイプの漫画家さんだと思うから、これ以上有名になる必要もないような気もするが、もっと知ってもらいたいからこの記事を書いた。好き嫌いがはっきり分かれそうな感じな漫画ばかりなので、誰にでも勧められるわけではないが、この記事が知るきっかけになればいいなと思う。本屋さんなどで見かけたなら、ちょっと手にとってみてほしい。

 

冬目景さんの漫画の主人公となるキャラクターの大半は、社会不適合者やモラトリアム人間ばかり。それは大人になれない大人だったり、阻害された存在だったり、あるいは文字通りの浪人だったり……彼らの生きる世界はとにかく狭い。冬目景さんは、そんな閉じた世界で生きる はみ出し者 を描き続けている。要するに、リア充な主人公は一人として登場しない(勝手な予想だが、冬目景さん自体がそういう人なんじゃないのかなと、後書きやインタビューなどを見ていると思えてくるから失礼な話だ 笑)。一般的に、処女作にはその作家の全てが表れるという。冬目先生のデビュー作(短編)で描かれたのは、OLが会社を辞め、かつて諦めた夢に向かって進んでいくという物語。まさに「愚か者に幸あれ」なストーリーだった。そしてもちろん、代表作の一つである『イエスタデイをうたって』は、そんな冬目景さんの価値観が詰まった作品。全11巻という、氏の漫画作品としては異例の長編でもある。

 

筆者が冬目景さんの作品と出会ったのは、もう一つの代表作『羊のうた』だった。これは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を日本風にして死ぬほど暗くしたような話で、見ていてとんでもなく疲れる鬱作品である 笑。同意を得れると思うのだけど、思春期や青春期の頃って、どういうわけか鬱作品を見たくならなかっただろうか? 筆者は見たくなるタイプの人間だったので、『羊のうた』を読んで、しばらく鬱になっていた。登場するヒロインに惚れ込んでしまって、その辛すぎる人生に同情しすぎてしまったからだ。この『羊のうた』ももちろんのこと、とにかく冬目景作品は超保守的(右的な意味じゃなく)というか、向上心がなく前向きじゃない人たちばかり出てくるので、筆者はすごく共感できるのです 笑。なんだろうか、あれこれ考えて素直に行動できない人や、自分なんて……って思考を繰り返してしまう人ならハマると思う。見事にその気持ちに名前をつけてくれるので、カッコつけた言い方をすると、生き方を変えるきっかけになる人生の先生なのだ。

 

というわけで、今回は筆者が愛してやまない冬目景さんと、その漫画を紹介しました。現在連載中の『空電ノイズの姫君』がとっても面白いので、続きが気になって仕方がない……。

f:id:Lemuridae:20180226002407j:image↑現在連載中!

 

最後に、冬目景ビギナーに向けて、入門にオススメの作品をリスト化しておく。

  1. イエスタデイをうたって』四巻まで
  2. 『ももんち』
  3. 『マホロミ』
  4. 『空電ノイズの姫君』

このいずれかを手に取ってみてほしい。ハマる人なら……気がつけば部屋の本棚は冬目景作品だらけになっていると思う(笑)。

 

ではでは、読んでくれてありがとう。またお会いしましょう。

『VA-11 Hall-A』サイバーパンクでバーテンダーなゲームを紹介!

Thank you for reading this page!

この記事は飲み物とおつまみを用意してリラックスした状態で読んでください。

準備は出来ましたか? それでは どうぞ楽しんで!

 

f:id:Lemuridae:20180127174855j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

いろんなテキストアドベンチャーゲームを遊んでいると、筆者は時折興味深いアプローチをしているものに出会うことがある。それはオーソドックスな選択肢形式じゃないというだけでなく、ゲームという媒体でしか表現できないものだったり、映像化不可能なものだったりと様々だ。そして筆者はこのたび、それらとはまた違った新しいものを見つけた。

今回紹介するのは、ある意味この手のジャンルに飽きてしまっているような筆者が新鮮味を感じることができた、一風変わったテキストアドベンチャーゲーム『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action(ヴァルハラ サイバーパンク バーテンダー アクション』だ。

 

この一風変わったゲームを開発したのは、なんとベネズエラの人たち。しかも大手の資本の元で製作されたものではないインディーズゲームだというので驚きだ。スケバンゲームスという、名前だけで日本に親しみを持ってくれていることがよくわかる開発元によるもので、海外で反響を呼び、2017年の11月16日にやっと日本に上陸したタイトルなのである。

 

ジャンルはサイバーパンクバーテンダーアクションとされていて、これだけ聞くとピンとこないだろう。実際にプレイした筆者に言わせると、このゲームはアクションゲームではなくテキストアドベンチャーゲームビジュアルノベル・ノベルゲームである。なんだ、じゃあジャンル名は誇大広告じゃないか……と思われるかもしれないが、おっと、ちょっと待ってほしい。たしかにアクションゲームではないが、オーソドックスなノベルゲームとは違う、独特なゲーム的な要素が特徴となっているため、ただのノベルゲームだとあなどってはいけない。サイバーパンクバーテンダーなゲームなのだ。f:id:Lemuridae:20180127181853j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

サイバーパンクバーテンダー……このゲームは2070年代の近未来を舞台にした作品なのだが、やることはバーでお客さんに接客をするだけ。つまりあなた(主人公)はバーテンダーだ。それって面白いの?サイバーパンクな世界なら暴れまわりたいよ! などと思われるかもしれないが、このゲームの魅力は、そういった通常ならアクション物などの題材になる(『ブレードランナー』とか『AKIRA』とか)未来の世界を、その片隅にある場末のバーという非常にミクロな視点から垣間見れるところにある。人間の言葉をしゃべる犬から娼婦のガイノイド、水槽の脳までといった個性的すぎる客を接客しながら、このゲームの世界では当然・普通の会話が特に解説もなく進んで行く。そしてそれらについていちいち詳細が説明されないぶん、かえって読み手の想像力を刺激してきて、魅力的な世界を感じ取れると思う。

f:id:Lemuridae:20180127182858j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

繰り広げられるテキストは、基本的にはバー VA-11 Hall-Aにやってくる常連さんとの他愛のない世間話(下ネタ多め)。その内容に対して、だから何?と言われればそれまでなのかもしれないが、『パルプ・フィクション』的な楽しさがあると言えばいいか、とにかく読んでいて退屈しない(同年代の会話に対してつまらねーこと喋ってんなーと思う筆者が)。また、客に提供するカクテルによって物語展開が変わるという、ほかに類の見ない新鮮なシステムになっていて、バーテンダー体験ができるし没入感も損なわないし、非常に楽しいものだった。世代を問わず懐かしさを感じるドットのグラフィックと音声ではない電子音が良い雰囲気を創りだしていて、プレイヤーが任意に選択してジュークボックスで流せる音楽は最高の出来

だから、めちゃくちゃ面白い!やめ時がない!といった感じのゲームではないが、なんというか、逆に永遠にプレイできる気がする。褒めようと思えばいくらでも褒められるゲームだけど、批判しようと思えばいくらでも批判できるゲームでもあって、要するに万人ウケしそうではないが、ハマる人はハマると思う。ある意味雰囲気ゲーかもしれないが、とりあえず筆者はこのゲームが好きだ。

 

インディーズのゲームだから長くは遊べないけれど、新品でも定価は三千円くらいなので、手軽に手に取ってみてほしい。まだ残っているのかわからないけど、店舗で購入すると初回特典のサントラCDとコースターがついてくるので、早めに購入したほうがいいと思う。ゲームもそうだけど、筆者はこのサントラを非常に気に入っている(欲を言えばもっと収録してほしかったけど)。そして思いがけず百合要素も多い作品となっているので、その手のものが好きな人には強くお勧めする。

 

発売日には購入していたのに記事を書くのが遅れてしまったうえに短めになってしまったが、以上でこのページを終わろうと思う。ヴァルハラは筆者的にはかなりオススメの一本なので、興味を持ってくれた人は買ってみてほしい(まわしもんじゃないよ)。以上、読んでくれてありがとう。

 

VA-11 Hall-A (ヴァルハラ) - PSVita

VA-11 Hall-A (ヴァルハラ) - PSVita

 

 

『誰かがあなたを愛してる』隠れた名作恋愛映画を紹介。

新年明けましておめでとうございます。平成30年、西暦でいうと2018年になりました。このブログも立ち上げてからもうすぐ2年になるんだなと、妙に感慨深い心持ちでおります。

 

…とまあ、このブログをいつも見てくれている人への挨拶は終わりにして、このページの趣旨を説明しよう。わたくし、正月に買いだめしていたDVDを視聴しておりましたところ、まさかまさかの隠れた名作を発見。あまりに面白かったために連続で二回視聴するほど気に入ったので、この映画をもっと広めたいと思い、ここにその魅力を書かせてもらうことにしました。そんなに筆者がハマってしまった映画が-- 

 

誰かがあなたを愛してる デジタル・リマスター版 [DVD]

誰かがあなたを愛してる デジタル・リマスター版 [DVD]

 

 

この映画だ。1987年の香港映画で、香港からきた女優志望の主人公と、ニューヨークの中華街で最底辺の暮らしを送る粗暴な男を軸に進む物語である。この手の映画によくあるように『誰かがあなたを愛してる』というのは日本が独自につけた邦題。原題は『秋天的童話』といい、秋の童話という意味らしい。そしてこの映画は原題が示す通り、秋の雰囲気を満喫できる素敵な恋愛映画なので、邦題の意味がわからん!…となってしまう可能性もあったのだろうが、この手の邦題にしては珍しく、ちゃんと意味があって、これはこれですごくいい。意味不明でダサい邦題がはびこっている中、筆者はこの邦題は素晴らしいものだと思う。

主演は『男たちの挽歌』で筆者を含む世の男たちの頭を、いろんな意味でおかしくしてしまったチョウ・ユンファ。時期的にも挽歌の頃の映画なので、なんといっても若々しい(といっても30越えてるが)。チョウ・ユンファはアジアの大スター俳優として現在も有名だが、個人的に、最盛期はこの映画が制作された、80年代後期から90年代初期にかけてだと思う。バイオレンス映画の印象が強いが、コメディやヒューマンドラマにもよく出ていて、その演技は幅広い。そしてもちろん、その演技力はこの映画でも遺憾無く発揮されていて、それがあまりに素晴らしいものだから、筆者は本作が『男たちの挽歌』と並んで、彼の演技の最高傑作だと思った。この『誰かがあなたを愛してる』、筆者は恋愛映画なんてあまり見ないんだけど、どハマりしてしまったわけだ。

 

さて、何がそんなに良かったのかというと、この映画はとにかく徹頭徹尾丁寧に作られていて、優しくて、切なくて、穏やかな気持ちになれるのだ。この頃の香港映画って、ある種漫画的なところが魅力だと思っていたんだけど、こんなに丁寧で巧みに心理描写が積み重ねられているものもあるんだなと驚かされた。派手な銃撃戦や過激な描写、衝撃のどんでん返しが待っているわけではないのだが、ダメダメだけど実直で、静かな優しさを持っているチョウ・ユンファ演じるキャラクター、サンパンの主人公を見る目が愛おしくて、切ない。彼は金持ちなわけではなく、絶世のイケメンというわけでもない。ギャンブルが癒しだと断言してしまう、女性が結婚相手になんて考えられない男なのだ。しかし落ち込んでいるときは黙って話を聞いてくれて、街に連れ出してくれて、「うまいものを食べて人生を楽しめ」なんて言って、お金もないのにツケで山盛りのチャーハンを頼んでくれる。そして本棚を買うお金がないといえば日曜大工で作ってくれたり、一人にしてほしい時はそっとしておいてくれて、だけど「何かあれば呼んでくれ、とんでいくから」と言ってくれるような、そういった当たり前なようでなかなかできない純真な思いが見ていてすごく、なんていうか、いい。こういうのを純愛っていうんだなって、胸を締め付けられるような思いになった。筆者もこういう男になりたいと、ある意味ステキな男の教科書だと思った。

また香港映画でありながら、その舞台はニューヨークである。全編ニューヨークロケの映像は日本人の筆者が見てもノスタルジーがあって、主題歌を含む音楽もノスタルジックで浸ることができる。秋の紅葉の街での純真な二人の穏やかな関係は、見ていてほっこりするとわかっていただけるだろう。また、そんな二人のすれ違い--お互い言わなくていいことを言ってしまって、一言多くなってしまって--そんなことからくるすれ違いなんかも非常にリアルだ。主人公の女の子にもチョウ・ユンファ演じるサンパンにも、どちらにもこの上なく感情移入できるから、この映画の場面場面を思い出すだけでいろんな感情が込み上げてくる。

男なんて、誰もが安易に夢を語る。それを応援してくれる女の人もいれば、そんなのごめんだっていう人もいると思う。だからこそ、この映画のラストのエモーショナルな展開と、その完成度、その納得度は、筆者の中でこの上なく良いものだった。ラストまで見て、この映画は筆者の中でまさに隠れた名作!の仲間入りをしたのだ。

 

…と、いうわけで、香港映画『誰かがあなたを愛してる』を紹介させていただきました。清々しいほどの絶賛をさせてもらったが、これ、感想とかをネットで調べてもあまり見つからないんだよね。だからもっとみんなに見て欲しいと思う。今なら通販で千円以下で円盤が買えるし、最寄りのレンタルショップにはなかったけど、レンタルビデオでもあるかもしれない。自信を持ってオススメするので、騙されたと思って見てみてほしい。

 

というわけで、読んでくれてありがとう。今年もよろしく!

『ひぐらしのなく頃に粋』ひぐらし初心者向けの感想。

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有名作『ひぐらしのなく頃に』のほぼ全てのシナリオを収録したプレイステーションヴィータ用ソフト『ひぐらしのなく頃に粋』をプレイしたので、その感想を書く。なお、いつもは感想を書く時は、そのゲームのパッケージ版を購入しているのだけど、このソフトは開発メーカーの倒産などの憂き目にあったために、ソフトを新品で手に入れることが困難である(困難というか、中古や新古品しかないので高い割に公式に金が入らない)。だから今回はやむなくダウンロード版を購入。現物主義の筆者としては残念だが、ちゃんと公式さんに金を払っているということはここに書いておきたい。

 

それでは本題に入ろう。『ひぐらしのなく頃に』は、冗談抜きで、最も幅広い世代に認知されている稀有なノベルゲームだと思う。実際に起きてしまった事件などへの影響を取りざたされたことも記憶に新しいし、タイトルを聞いた人の大半が、惨劇を描いた話だと知っているに違いない。そして筆者が実際にプレイした感想としては、この言葉に尽きる。

有名になるだけのことはある!

うん、面白い。特に序盤のホラー感はたいしたもので、横溝正史江戸川乱歩が好きな、言ってしまえばこの手のジャンルに飽きてしまったような筆者でも、緊張感を感じて手に汗握ることができた。怖い。閉鎖的な場所における血なまぐさい因習や、湿気を感じる恐怖。ネットがなく、グーグルアースがなかった頃の地図にない村は雰囲気抜群で、知っているあの人が…!という、スティーブン・キング的なモダンホラーの要素もあり、何度もぞ〜っとさせられる(褒めてます)こと間違いなしだ。想像するだけで嫌になる生理的な要素(そこにそれを入れますか〜)とか、痛覚的に痛さを感じる表現も多くて、だからそういう要素が苦手な人にはオススメできないが、まあ普通にホラー映画が観れる人なら大丈夫だろう。本作はホラーと同時にミステリーでもあり、その謎について書くことはネタバレになるのでしないが、序盤の出題編は特によくできていると書きたい。

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↑これ、起動した瞬間に画面に出るのでネタバレではないです(笑)

 

なのでプレイし始めて30時間くらいは、最高だぜ!…なテンションで大満足だったのだが…この『ひぐらしのなく頃に粋』(ひぐらしのなく頃に』ではなく、「ひぐらしのなく頃に粋』であることに注目)は、筆者のようなひぐらし童貞には注意が必要である。実はこのゲーム、致命的な欠点がたくさんある。本作は様々なメディアに展開した「ひぐらしの完全版」的な位置付けにあるため、言ってしまえば新参向けの配慮がない。100時間を超えると聞く大ボリュームは全てフルボイスで手抜きがなく、人気シリーズの集大成としての役割をきちんと果たしているわけだが、逆に言うと新参者がこの完全版から入ると火傷してしまう可能性も高いのだ。実際、筆者も火傷した…。

 

具体的にいうと、他のルートを読んで世界観などを理解していることが前提のルートに初見で飛ばされてしまったり、またそのルートが追加されたものなのかということもわからなくなっているのだ。事実として筆者も、初見でいきなり「染伝し編」という番外編に飛ばされてしまい、流石に何かおかしいと思ってやり直さなければならなかった。そこでネタバレを恐れつつ調べてみると、どうやら物語を楽しむには、ある程度順を経てルートを選ぶ必要があるとのこと。だから結局、新参者は攻略サイトに頼るはめになる。ボリュームがあまりに多いため、既にアニメや他の媒体でひぐらしに触れている人に向けたショートカット機能があるにはあるのだが、これはもちろん新参者には利用できないので、筆者のような人たちは延々と攻略サイトを見ながら適切な順番で話を読んでいかなければならない。これはゲーム性を付与しようとした結果、めんどくさくしかなっていないということだろう。まあ、筆者は自力で頑張ったのだが(その結果、わりと順番はバラバラに…)。

 

そしてメインのライターさんが書いた本編の他に、その後、他のライターさんが書いた追加シナリオが収録されているのだが、これを読み進めなければ次のメインシナリオが解放されない。この構成がいちばんまいった。番外編の完成度とか面白さを抜きにしても、せめてメインのルートを読み終えてから解放されるシステムにしてほしかったと強く思う。『スター・ウォーズ』で例えるなら、途中でいちいちクローン・ウォーズや反乱者たち、番外編小説を読まさせられる感じだ。 しかもこの追加番外編シナリオが総じてあまり面白くないうえに、もともとは小説や漫画などといった一本道でしかない話を、無理やりノベルゲームにしているために、バッドエンドに繋げるためだけの意味のない選択肢や、ほとんど話が変わらない別ルートを読まなければならなかったりする。『ひぐらしのなく頃に』というお話は面白いんだけど、『ひぐらしのなく頃に粋』という完全版コンシューマーソフトに関しては、ノベルゲームの悪いところが詰まり過ぎている。これは誇張抜きでそうで、立ち絵のバリエーションが少なかったり、まれに音声が再生されなかったり、SEがやたらショボかったり、追加ルートの絵があまりにも既存のそれと違っていたりと粗が多い。

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↑特にこの『宵越し編』はダメなところが詰まっていて、やたらと山場のない話が長くて、絵が独特で意味のない選択肢が多くて、ここでホントに投げ出しそうになった。

 

まとめると『ひぐらしのなく頃に粋』は

  1. ある程度順番にプレイすることが想定されているシナリオなのに、そんなことはお構いなくルート分岐する
  2. ボリュームを増やすために、ほとんど違わないシナリオを複数やらされる
  3. オープニングでネタバレ
  4. 追加イベントCGが従来の絵と全く違う

という、以前このブログで紹介したノベルゲームの悪いところがなかなか多く詰まっているソフトである。だから筆者は初めてひぐらしに触れる人は、まずは原作をやるなりアニメを見るなり漫画を読むなり、とにかく原作者、竜騎士07さんが手掛けたメインのシナリオを楽しむべきで、シリーズすべてを網羅したくなるほどハマったときにこのソフトを買うべきだと思う。

 

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竜騎士07さんが手掛けたシナリオだけなら高得点をあげられるゲームだったと思うんだけど、他のライターさんが手がけた、南井さんが主人公のシナリオとか、正直けっこう退屈でした。それに竜騎士さんが手掛けたシナリオにも、うーん…というところもあって、とあるキャラクターのクズさにイライラしたり、「男のヒステリーはみっともない」とは私の愛するルパン三世の言葉なのだが、主人公がなかなかヒステリックに叫び倒してイライラしたりもした。

ということで実は、65時間プレイしたところでやめてしまいました。根気が続かなかった…。なので、ここまで読んでもらってそれはないと思うのだが、実は今回、筆者はこのゲームをクリアしていない。だけど少なくとも40時間くらいは楽しんだんだから、これはつまらなかったと言っているわけではないのだ。例えるなら、序盤は面白かった漫画みたいな感じで、途中からなんとなく読まなくなったからって、序盤が面白かったということは否定しない。ただ、ちょっと長すぎて休憩が欲しくなったというか、一時的な中断で…クリアしたらまた感想記事を書くかもしれない。…いろいろ残念な作品だ。ま、これ全て、筆者の感想なんですけどね。

 

ここまで、なかなかに批判させてもらったが、筆者は『ひぐらしのなく頃に』が好きです。面白かったです。これは面白かったからこその不満なのです。酷評のつもりじゃあないんだよ…?

 

 

 およそ半年後、クリアした際にも書いたのでよろしければこちらも……

lemuridae.hatenablog.jp