オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!

f:id:Lemuridae:20170706220907j:image

回は筆者が厳選した、隠れた名作ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを7本紹介する。なお、これから挙げるタイトルの中には「隠れてなくね?普通に名作だわ!」と、お怒りになるかもしれないタイトルも含まれているが、それは承知の上で、さらに多くの人に遊んでもらいたいと考えているからこそ紹介する(実際有名な作品でも、友人達にタイトルを確認してみると、みんな知らないんだよな〜)。というわけで、始めよう。

 

 

 

1.『セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜』

f:id:Lemuridae:20160602220325j:plain
初に紹介するのは、日本一ソフトウェアから発売されたPSP用ソフト。5年前の事故により、15分しか記憶を保てなくなった少女の「高校時代の記憶」を巡った物語であり、このストーリーとシンクロした珍しいゲームシステムが搭載されていて、これがすごい。

人を選ぶゲームだと思うので万人にはオススメできないが、パッケージから感じられる夏独特の空気や夕焼けの切ない雰囲気に惹かれる人や、考察が好きな人には強くオススメする。ライターさんの提示する物語論が興味深い一本で、ハマる人はとことんハマる隠れた名作だ。

今では中古でPSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。

 

 

  

『極限脱出3部作』

2.『極限脱出 9時間9人9の扉

3.『極限脱出ADV 善人シボウデス

4.『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』

f:id:Lemuridae:20170623105133j:image

限脱出シリーズ(あるいはゼロエスケープシリーズ?)はチュンソフトから発売されているアドベンチャーゲーム。タッチスクリーンを駆使し、謎の施設からの脱出を目指そう。

タイトル通り、オーソドックスな脱出ゲームとしての思考パズル的な楽しさがあるのだが、このシリーズの肝となるのはそこではない。プレイ体験の裏に、恐ろしく巧妙かつ大胆に練られたシナリオが隠されているのだ。

3作品あるため、相当なボリュームをプレイする覚悟はいるが、シナリオの先に待っている結末には必ず満足できるはず。3部作全てが面白いアドベンチャーゲームとしてオススメする。

今では3DSかVITAを持っていれば全作プレイできるため、旧機種は必要ない。1作目と2作目のセットも発売されたので、今から遊ぶならそれがオススメだ。

 

 

 

5.『ルートダブル -Before Crime * After Days-』

f:id:Lemuridae:20160905214230j:plain

?なんだこのクオリティ…? とクリアして唖然としたのがこのゲーム。質というものが人気と売り上げに直結するわけじゃないことは理解しているものの、ルートダブルほどもっと評価されるべきゲームはないと思う。

1つの物語を視点を変えて見せる語り口や、各章の間に挟まれる次回予告など、とにかく“読ませる”文章がプレイヤーの手を止めない。様々なキャラクターの思惑が錯綜するシナリオと魅力的な舞台設定、ゲームシステムと直結したマルチエンディング方式による没入感など、とにかく褒めるところが多すぎる。誰がやってもある程度は満足できる作品に違いない。

今ではなんと、XBOX360PS3Windows・VITA(ダウンロード版のみ)、IOSAndroid(予定)でプレイできる。もはやプレイ環境が整ってない人の方が少ないのではないだろうか。

 

 

 

6.『ダブルキャスト

f:id:Lemuridae:20170623104604j:image
れは「ノベル」ゲームかと言われるともはや違うのかもしれないが、間違いなくアドベンチャーゲームではあるだろう。全編がアニメーション(!)という驚異的なゲームであり、さらにその品質も非常に高い。

丁寧なアニメーションで描かれる女の子との同棲生活を楽しもう。

やるドラシリーズ処女作にして最高傑作でもあり、今プレイしても充分に楽しめるというか、今だからこそプレイしてほしい仕掛けが満載。記憶に残るシーンに満ちた名作である。
今では中古でPS1版 PSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。ん?ドアノブが照れている…⁉︎

 

 

 

7.『デイグラシアの羅針盤

f:id:Lemuridae:20170117215917j:plain
後に紹介するのは同人ゲームの秀作。カタリストさんが手がけた『デイグラシアの羅針盤』だ。個人的に今最も応援しているゲームであり、作り手さんたちに一方的な親近感を感じている。

深海に取り残された主人公達の脱出サスペンスであり、練られたシナリオが秀逸な一本。非商業ゲームゆえの素材の少なさやチープさは感じられるものの、非常に丁寧に作られた作品であり、なんだか好感が持てるのはなぜだろう。筆者はここに同人ゲームの本気を見た。メアリー・セレスト号」「正解のないノベルゲーム」といったワードに反応した人はプレイしてみてほしい。

対応OSはWindows 7 / 8 / 8.1 / 10 。一応XP、VISTAでも動作する可能性があるそうだ。CPUはPentium以降でメモリは256MB以上必要らしい。気になる人は公式サイトで体験版が配布されてるので動作確認してみてほしい。

 

 

 

 

上、厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!でした。一つでも手に取ってくれれば書いた意味があるし、嬉しいなあ…。

では、読んでくれてありがとう。

『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』 シリーズ初心者の感想。みんな、今すぐプレイしよう!

f:id:Lemuridae:20170614150244j:image

今回は当ブログでは初のRPGを紹介する。なんというか、筆者的には「やっとか…」といった感じだ。当初はジャンル差別なくゲーム全般を扱うブログにするつもりだったのだけど、気がつけばノベルゲー専門ブログのようになっていたからなぁ…。

まあそれはさておき、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』をクリアした感想を書くことにしよう。なお、この記事の対象としては、未プレイ者と既プレイ者の両方を想定している。ネタバレは極力しない方針なので、ここまで来てくれた人は読んでいってほしい。

…では始めよう。

最初に感想を端的にいうと、大満足であった。評価の高さから非常に期待が高まっていたのだが、その期待を余裕で超えてきた。なんというか、こんなに面白いゲームだとは思ってなかった。ゲームバランス、デザイン、音楽、ボリューム、パッケージ、その全てに隙がなく完璧で、圧倒されました。というのも、プレイする前まではRPGというジャンル自体が好きではないのに加え、あまりにも評価が高いので「信者の声が大きいでしょ?笑」とか、「なんかあれでしょ? オサレなんでしょ?笑」といった負の先入観で舐めていのだ…。すいませんでした! 反省しています! 今では私も立派な信者の1人です!

 

↓みんなもここからペルソナの世界へ入ってほしい!

f:id:Lemuridae:20170613193039j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

それで実際にプレイした感覚としては、『サクラ大戦』や『ガンパレード・マーチ』に近いと感じた。もちろん舞台や世界観などは全く違うのだが、ゲームシステムは共通点が多いと思う。つまり基本的なゲームスタイルは、日常を過ごすシミュレーションパート(とでも言えば良いのかな?)でスキルを上げ、そのスキルを活かして戦闘パートで敵と戦うというものである。あるいは、日常部分で得た信頼や友情が戦闘に役立つシステムとでも言い換えようか。

主人公は田舎の叔父の家に預けられた高校生で、ゲーム開始時に名前を決めることができる上に、音声もほとんど収録されていない、言わばプレイヤーのアバターである。転校先の高校で主人公(プレイヤー)は仲間たちと友情を育み、共に敵と戦うことになるのだが、筆者が気に入ったのは、子供と大人の中間である高校生達が主人公だというところだ。大人たちに危険なことをするなと釘を刺され、親の目から隠れて事件を追うという少年探偵団的な要素。放課後のフードコートに集まって、事件について話し合うというシチュエーションが、友達と秘密基地を作った少年時代を彷彿させて胸が高まった。なんというか、幼い頃に感じた台風や地震の時などの何とも言えないワクワク感のような、非常時に流れる、ある種の祭的な雰囲気が良い。

 

↓フードコートが特別捜査本部なのだ!

f:id:Lemuridae:20170613192154j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

そしてこのゲームの主題となるのは、そんな彼らが 「自分と向き合うこと」だと思うのだが、このテーマを描くためにこそ主人公たちが高校生なのだろう。「社会が求める自分」と「本当の自分」とのギャップに悩む高校生たちの姿は愛おしく、気がつけば応援している自分がいた。また、そんな彼らが自分と向き合うことで成長していく姿は、筆者のようなモラトリアム人間には特にグッとくる。分かりやすすぎるくらいの王道展開ではあるが、豪華な演出と大ボリュームで展開されるために、この上なく面白いものに仕上がっている。全てのキャラが生き生きとしていて掛け合いが面白く、楽しい時間が過ごせるはずだ。勧善懲悪、こういうのでいいんだよ!

そしてさらに良かったのが、「この時間は二度とやってこない」ということがきちんと描かれているところ。これはもう言ってしまえば、青春ものの肝だと思うのだが、ここでもしっかりと押さえられている。ゲーム内時間が1日過ぎるとカレンダーが表示されるという演出が時の流れをプレイヤーに常に意識させて、林間学校に文化祭といった楽しいイベントがすぎるたびに、「この時間はもう二度とやってこないのだ」と感じさせて切なくさせてくる(それはゲームをクリアしてしまうことに対する寂しさでもある)。確実に進んでいく限りある時間の中で何を選択し、どんな行動をするのかという、機会費用という言葉の意味を痛感させられるほどの自由度の高さが、プレイ体験をかけがえのないものにしているのだ。また主人公は春には東京に戻ってしまうという設定も、今しかない時間を強調する。成長することによる若さと純粋性の喪失…あの時間はもう二度とやってこないんだなあ…。あぁ、切ない…(なんだか高校最後の文化祭を思いだしました)。

 

↓青春だなあ…

f:id:Lemuridae:20170613212543j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

そしてそんなストーリーを盛り上げるのが音楽だ。今作の音楽は素晴らしい。遊び始めてすぐに気に入ったのは音楽だった。オープニングからオシャレでかっこいいし、女性ボーカルによるボーカル曲がフリーロームで流れたりして、常に耳が幸福感に包まれる。戦闘音楽も爽快感があるし、音楽はこのゲームの完成度を2倍以上にしていると思う。筆者は即効でサントラを買ってしまった!

 

↓プレイすると購入不可避!

「ペルソナ4」オリジナル・サウンドトラック

「ペルソナ4」オリジナル・サウンドトラック

 
ペルソナ4 ザ・ゴールデン オリジナル・サウンドトラック

ペルソナ4 ザ・ゴールデン オリジナル・サウンドトラック

 

 

次に戦闘パートの、いわゆるRPGとしてのゲームシステムについて。筆者がRPGが好きではないのは、ターン制によるテンポの悪さやシステム的に敵の攻撃を避けられないといった理不尽さ、それに起因する爽快感のなさが理由なのだが、ペルソナ4はそれらを可能な限り回避している。

f:id:Lemuridae:20170613192740j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

上述した爽快な音楽とテンポの良い演出はプレイヤーにダレ場を与えないし、相手の弱点を突くことで仲間と一斉に攻撃を仕掛けた時の気持ちよさは他では味わえない(他のRPGはあまりやってないけど 笑)。たとえば『サクラ大戦』はシミュレーションパートは楽しいんだけど、戦闘パートはダラダラと爽快感がなくて苦痛だった(いや、好きなゲームではあるのだが…うむ…)。しかし、『ペルソナ4』は全くそんなことはない! 爽快感に加えて難易度も程よく、試行錯誤によって「勝てなかったアイツに勝てた!」という感動を味わえる! この時点でRPGの弱点は回避している! レベルを上げて物理で殴ればいいゲームとは違うぞ!

 

そして全体的なデザインについて。キャラクターデザインはポップさと可愛らしさの中間点として馴染みやすさと芸術性を兼ね合わせてると思うし、悪魔絵師こと金子一馬さんが描くペルソナやシャドウ(スタンドや敵キャラみたいなもの)は正統派ファンタジーに現代的な要素を加えたような感じでカッコいい。音楽ともマッチしている絵柄ということができ、他のゲームにはない独特な世界観を醸し出している。以前は筆者も「なんかあれでしょ? オサレなんでしょ?笑」と小馬鹿にしていたわけだが、実際にセンスが良いのだ。オシャレなのだ。それを誰が否定できるだろうか? というか、否定したくもない。演出や音楽、デザインなどが全て明確に同じ方向に進んでいるから世界観にブレがなく、完成度が高いのだと思う。

 

↓菜々子ちゃんは天使です…

f:id:Lemuridae:20170613212837j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

総じて、ゲームとして楽しく、ジュブナイルものとして楽しく、様々な要素が膨大なボリュームを持ち、オシャレなデザインや音楽が彩る、爽快なバトルシステムが魅力の神ゲーでした。とりあえず一周するだけでも約60時間という恐ろしいボリュームなので、やり込めば200時間くらいは遊べるかもしれない。筆者ももっともっとやり込もうと思っている。食わず嫌いや先入観で舐めてる人は迷わずプレイしてみてほしい、VITAユーザー必携の一本だ。

 

ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation (R) Vita the Best - PS Vita

ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation (R) Vita the Best - PS Vita

 

画像は全て、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン PlayStation®Vita the Best』から引用しました。

 

『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』感想。

f:id:Lemuridae:20170516203710j:plain

この世の果てで恋を唄う少女yu-no』は、アドベンチャーゲーム史に残る傑作として名高い作品である。筆者はノベルゲーム・テキストアドベンチャーゲームに慣れ親しんでいるので、ある意味この作品は一般教養、プレイ必須のものであると認識していたのだが、pc98とセガサターンでしかリリースされていなかった(過去形)ため、今まで触れることができないでいた。しかし2017年3月16日にPSVITAPS4にてリメイク版が発売され、さらには1996年に発売されたPC-9801版が楽しめるDLCカードが初回特典として封入されているとのことで、ようやくオリジナル版をプレイすることができた(リメイク版でも良いんだけど、やっぱりオリジナルからプレイしたいので)。

しかし念願叶ってプレイした『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』ではあったが、筆者にとっては非常に退屈なゲームであった。どれくらい退屈だったかと言うと、普段はどれだけ退屈なゲームでも一応最後までプレイする筆者がクリアする前に投げてしまったほどだ。だからこの記事はクリアすらしていない ゆとりゲーム世代の誹謗である。うーん、さすがに20年前のゲームは古過ぎたか…。

まずこのゲーム、主人公に好感を持てない。目上の人にもタメ口だし、全体的に態度が悪い。悪いやつではないんだけど、割と自分勝手なので、見ていてイライラする。主人公との共感ができなければ楽しめないタイプのシナリオなので、この時点で筆者にとってはかなりのダメージであった。

そしてヒロイン勢にも魅力を感じられず、もとがアダルトゲームということもあるのだが、貞操観念が乱れまくってるキャラは理解不能で、唐突かつ不自然なエロシーンに辟易し、なんだか全部が気持ち悪い。特にライターさんの力が入っていると思われる主人公の義母のキャラに(絵柄が古いということも相乗効果で)全くもって魅力を感じられなかったため、彼女に関するルートは本当に苦痛だった。

 

 

※ここからネタバレあり

 

 

本作を象徴するゲームシステム、並行世界を具現化した「A.D.M.Sシステム」はフローチャート上に任意のタイミングでセーブを行い、他ルートでの記憶を引き継いだまま時間軸、世界軸を自由に行き来するというシステム。このシステムが画期的である(あった)ことは筆者も認めるところで、20年前によくやったものだと感心した。

しかしさすがに荒削りで練られておらず、かなり不便である。画面クリック総当たりという、言ってしまえば面倒なシステムに(分岐がわかりづらい)、フラグ建て必須のこのシステムを追加していることで、ゲームの難易度が非常に高くなっている。何度もセーブとロードを繰り返すこと自体がこのゲームの要であることは理解できるのだが、その面倒さを超えるほどの魅力をシナリオが持っていないため、単純に苦痛でしかないわけである。しかもシナリオ上は記憶を引き継いでいるはずの場面でもゲーム上は何事もなかったように進行してしまうので、没入感は低い。同様の構造を持つものとしては『極限脱出ADV 善人シボウデス』なんかのほうが完成度が高かったように思う。

なんいうか、システムの古さゆえの操作性の悪さとか、全体的な時代感。そういうものを苦手としてしている筆者のようなプレイヤーのためにリメイクされたんだから、そもそもそっちをプレイするべきだったわけである。だがもういいや…疲れたよ…もうゴールして良いよね…?

 

というわけで、久しぶりのレトロゲーにワクワクしたのもつかの間、プレイを断念してしまった『この世の果てで恋を唄う少女yu-no』でありました。同じようなゲームなら『スナッチャー』とか『ポリスノーツ』、『御神楽少女探偵団』なんかのほうが好きだな〜。

 

ちなみに筆者は達成率50%くらいで断念しました。そこまでしかやってないくせに批判するなと言われたら、すいませんとしか言いようがない。