ノベルゲームのもうやめてほしい要素12選!
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今回は唐突に思い立った企画『ノベルゲームのもうやめてほしい要素』ということで、ノベルゲーのストレスが溜まる要素をピックアップしてみようと思う。共感を得られると嬉しいし、関係者がもし見ているのなら、今後の参考にしてほしい(えらそう! 何様!)。それでは早速はじめよう。
1.ある程度順番にプレイすることが想定されているシナリオなのに、そんなことはお構いなくルート分岐する
他のルートを読んで世界観などを理解していることが前提のルートに、初見で飛ばされてしまう。こんな時のやるせなさはなんとも言えない。あー、最初からやり直そう…どこで選択肢間違ったかな…って、自分が悪いような気持ちになるが、どう考えても構成のミスだろう。そしてこれはノベルゲームという媒体における深刻な問題だと思う。ノベルゲームがゲームたるゆえんは、選択肢によって物語を分岐させることができるということに他ならないわけだが、このゲームとしての自由度と、物語としての構成に齟齬があるものが非常に多い。確かに分岐すらないノベルゲームはゲームなのか? という問題が発生するのはわかるが、個人的には最初のルートくらいは固定しても良いと思っている。みなさんはどうお思いだろうか?
2.既読スキップが遅い
個人的には最も許せないのがこれ。前評判でこの要素があると知ったら購入しないレベルである。一度読んだシナリオは二回目までは許せるが、三度も四度も読んでられない。まして分岐が後ろの方にある場合に既読スキップが遅いなら、すなわち最悪なことになる。既読スキップで文章が流れるのをスマホで暇つぶししながら待って、ようやく新たな展開にたどり着いた時には、もうスマホの方への関心の方が高くなっていて、プレイする気が無くなったことが何度かあった。もう許さない。ストレスが溜まる。
3.ボリュームを増やすために、ほとんど違わないシナリオを複数やらされる
共通ルートとほとんど変わらないのに、ボリューム不足に対策するためだけに追加された、水で薄めたスープみたいに味気のないルート。ラスト1枚のヒロインのCGのためだけに読まされる駄文は、共通ルートをコピペしただけのようなほぼ読む所のないような出来であり、だけどちょくちょく異なっていてスキップできず、達成度やトロフィー、シナリオ解放のためには不可避のものだったりする。そういうのは要らん、面白い一本にまとめてくれ!と筆者はもっぱら思っている。
4.テキストとCGに齟齬がある
俺はあいつのメガネをとってキスをした→とっていない…とか、彼は拳銃を構えた→通常の立ち絵…など、明らかな素材不足。作りが甘くて一気に物語に集中できなくなるので、これはなんとかしてほしい。ちゃんと仕事してください。
5.分岐しない、フラグのための選択肢
(C)2014 Key/VisualArt's/PROTOTYPE
牧本のナイフが真里亞に迫る。僕は…
・身を呈して真里亞を庇った
・逃げても誰も文句は言えないだろう ⇦選択
いや、真里亞を見捨てるわけにはいかない!俺は牧本のナイフを…
みたいな選択肢。上の選択肢を選ぶと物語が進むのに対し、この選択肢を選ぶと、主人公の行動は変わらないのにバッドエンドを迎えてしまう。これ、意味ないというか、逃げた結果として物語内でひどい目に会うならまだ納得できるけど、こういった選択肢でペナルティを与えられるのは納得できない。バッドエンドのためだけの選択肢というか、ストレスが溜まるだけなのでもう見たくない。しかもだいたいこの手の選択肢によるバッドエンドは、無理やりゲーム的な要素を付け加えるためのバッドエンドであり、本筋から脇にされて、「はい、バッドエンド、終わり!」という感じで急にストーリーをぶった切るという適当なものでしかない。不要だろ! 昔のノベルゲームによくあった、もうやめてほしい要素である。
6.オープニングでネタバレ
これはノベルゲームのみにとどまらないが、やはりノベルゲームでもよくあるので挙げさせてもらう。特にノベルゲームにおいては、既に発売されているゲームの他機種への移植版などにこのネタバレオープニングは多い。どうみても見せてはいけないCGが使われていたりするのはどういうことなのだろう。新規ユーザー開拓のために移植しているのに、その楽しみを冒頭から奪ってしまっては元も子もないと思うのだが…
7.主人公がDQN
歳上にもタメ語。女の子に対する粗暴な扱い。親に感謝しない。これらの要素がある主人公はゼロ年代の作品でよく見かけるのだが、不快な上に感情移入できないだけで何の魅力もない! 何の魅力もないのに多いんだよなぁ…。筆者は自分さえ良ければオーケー!なやつらの話は問答無用で嫌いだ。何も主人公が聖人である必要はなく、ピカレスク小説も好きなのだが、少なくとも食べ物を粗末する系の主人公は好きになれません。多いよ、ノベルゲーにこういうタイプ! …ん?それはノベルゲーだけの話じゃないって? そうかもしれません。すいませんでした。
8.追加イベントCGが従来の絵と全く違う
(C)HOBIBOX / el dia
過去の名作の移植版に多いが、違和感を感じて物語に集中できなくなるので好きではない。いっそ新たなルートを一本追加して、そのルートのみを一新してくれるのならそっちのほうが良い。もっとも、従来のファンは新たな絵を見れるだけで嬉しいのかもしれないが…
9.志村、後ろ!
プレイヤーはすでに知っている展開を、分身である主人公は知らない。このことに対するイライラやストレスは全ての創作物に共通だろうけど、ノベルゲームは分量が多いのでよりストレスが溜まる。おそらくそういった問題に対応するためにループものが増えたのだろうが、なんといっても難しい問題である。もうやめてほしい要素だけど、やめられない要素でもあるかもしれない。
10.立ち絵が微妙
販促のイラストとかパッケージの絵は良いのに、最もよく使用される立ち絵の出来が微妙…なぜだかこれがよくある。不思議なんだけど、どうして最も力を入れたグラフィックを使用しないのだろう? それともあれが全力なのだろうか? 筆者にとって最大の疑問点かもしれない。
11.CG鑑賞モードで好きな音楽を流せない
これはむしろ「私はCG鑑賞モードで好きな音楽を流せるものが好きだ!」と言った方が早いかもしれないのだが、一応説明させてもらうと、大概のノベルゲームはクリア後に劇中のCGと音楽を鑑賞できるようになっている。で、先に音楽鑑賞モードで好きな音楽を選んでそのままCG鑑賞モードに切り替えた時、選んだ音楽を聴きながらCGを見れるものがあって、筆者はこれが凄く好きなのである。だからこれではなく、CG鑑賞モードに入ったときに固定BGMになる仕様だった日には、ストレスというか、がっかり感を味わってしまう…。筆者だけかな?
12.ゲストシナリオライターが個性出しすぎ
たとえば8ルートあるゲームで、そのうちの一本のみを著名なシナリオライターに任せたとする。短編などならまだいいのだが、筆者が見た限りでは、彼らはだいたい、自分の個性を出しまくったシナリオを書いてしまって、他の7ルートの雰囲気やバランスを潰してしまう。まあ、起用する側に問題があるのだが、筆者はこのパターンは大嫌いである。誰も得しないんじゃないだろうか。
というわけで、個人的には全てあるあるなわけですが、どうでしょう? 共感してもらえると嬉しい、ノベルゲームのもうやめてほしい要素でした。以上、読んでくれてありがとうございます。
『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』感想
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『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』(以下 P4D)をクリアしたのでその感想を書く。2015年発売のゲームなので、今さら感想を書くのもどうかと思ったのだが、最近ペルソナファンになったという、筆者と同じような状況にいる人には参考になると思うので…というか、してほしい。それでは長い前置きも必要ないので、さっそく始めていこう!
P4Dはペルソナ4のその後を描いた新ジャンルPサウンドアクション。要は音ゲーというやつである。実質的にはペルソナ4ファンに向けたファンディスクになっているので、少なくともペルソナ4をプレイしたことがないという人にはオススメできない。キャラクターの魅力ありきのゲームなので、ゲームとしての完成度は決して低くないのだが、そこでアピールしていくゲームではないと言えると思う。
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基本的には非常にオーソドックスな音ゲーであり、流れてくるボタンを押していく、言ってしまえば手拍子スタイルのゲームである。音ゲーをほとんど遊んだことがない筆者にもとっつきやすく、難易度も複数用意されているので、40時間ほどプレイしていると最高難易度でも好成績でクリアできるようになった。このバランスは素晴らしいと思う。
お馴染みのキャラクターの掛け合いやノリを再び見ることができるのは非常に嬉しく、豪華声優陣たちのフルボイスとなっており、ペルソナ4が好きなら確実に楽しめる一本。音ゲーゆえに、当然のようにアレンジ音楽のクオリティは申し分ないのだが、遂にリアル頭身になったキャラクターのモデリングのクオリティも非常に高く、これが嬉しい。ロード時間もほぼないと言っていいほど短く、何度も繰り返しプレイすることになるこの手のジャンルのゲームとしてのストレスのなさは特筆すべきところだろう。このゲームをやっていると、気がつくと時間が経っている。
要するに、ペルソナ4が好きで音ゲーが好きならば必プレイのファンディスクだ。
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…しかし不満もある。これはもう仕方がないことなのだが、ペルソナ4のファンディスクが出れば出るほど、本編ラストの感動は薄れてしまう。「このまま電車乗れば、二度と会えない気がして」というエンディング曲の歌詞が過不足なく伝えてくれた、グッとくる別れのラストが、青春のかけがえのない時間を見事に描いていたのに、あれからも何度も集まっているという続編を作られると、あのラストも興ざめになってしまう。みんな大人になって外見も成長してたのに、またあの頃の姿になる設定なんかも無理矢理感があって、しっくりこなかった。ストーリーも無駄に長い割に、意地悪な言い方をすると普通でしかないので、ノベルゲームとしての魅力はない。言ってしまえば蛇足。だがファンは蛇足でもいいからもう一度会いたい…なんとも深刻なジレンマだ。
というわけで、避けられない不満もありながら、40時間はプレイしてしまう面白いソフトでした。アニメーションの多さとかも特筆すべきほどで、確実に楽しめると思う。以上、読んでくれてありがとう。
ペルソナ4 ダンシング・オールナイト クレイジー・バリューパック (「P4D」フルサントラCD、オリジナルDLCセット 同梱) - PS Vita
- 出版社/メーカー: アトラス
- 発売日: 2015/06/25
- メディア: Video Game
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『ペルソナ5』 ネタバレなしの感想 紹介。
“怒れ! クズみたいな大人を許すな!”
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『ペルソナ4』でシリーズ作品に初めて触れて大満足し、同様の興奮を求めてプレイした『ペルソナ5』は、筆者の予想を大きく裏切る作品だった。しかし前作の多くの要素を覆しながらもこの最新作は、筆者に最高の満足感を与えてくれる大傑作なのだ。
できれば先にこちらを読んでほしい↓
――とにかくスタイリッシュ!!!!――
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本作はとにかく何から何までスタイリッシュ! 洗練されたユーザーインターフェイスや絵作り、異常なまでにセンスを感じさせる演出の完成度は、文字のフォント、ロード画面の演出1つを挙げても非常にクールで、まさに最高という言葉にふさわしい。赤を基調とした世界観に、レンズフレアを多用したバキッとした映像や、ルパン三世テイストのオシャレな音楽に加えて、ハードをプレイステーション4に移行したことによるグラフィックの格段の進化。フィルムノワールのような退廃した空気を持つ世界独特の魅力を存分に味わえる。この完成度は、まさに今世代JRPGの最高峰だろう。
――スケールが増した重厚な物語――
『ペルソナ5』の物語は、高校生と怪盗の二重生活を描いた悪童物語。主人公が率いる“心の怪盗団”は、昼はただの高校生、夜は人々の心を盗む怪盗。このフレーズだけで心惹かれるものを感じないだろうか?
青春ものにしてジュブナイルものだった前作から一変し、ピカレスク小説の趣を感じさせる本作のダークな世界観は、筆者のなかの14歳を歓喜させた。国家を揺るがす陰謀に絡んだ物語は、前作から大幅にスケールアップし、総プレイ時間が80時間を超える大ボリュームをだれることなく完走させるのだ。
実を言うと筆者は、前作の底抜けに明るい物語に魅了された直後に本作をプレイしたので、プレイ当初は本当にびっくりしてしまった。話の導入は非常に暗く、そのダークで重い展開は予想していたものと全く違ったのだ。それは深刻に「これって、本当に楽しくなるのか…?」と不安視せざるを得ないほどだった。
しかし安心してほしい。今作はダークでありながらも本質は前作と変わらず、しばらく物語を進めると「あ、これは間違いなくペルソナそのものだ」と確信できるはずだ。もちろん新規ユーザーもシリーズに通底する楽しさをここで味わえる。
――魅力的なキャラクター造形――
くせ毛で猫背、すらっとした長身に高い頭身。本作の主人公は『蘇る金狼』の松田優作や『カウボーイビバップ』のスパイクを思わせる少し皮肉屋かつ冷静な男(プレーヤー次第ではあるが)で、福山潤のボイスも含めて本作の世界観に見事に適応。そしてそんな主人公(我々プレイヤー)の仲間になる高校生たちはそれぞれが個性的かつしっかりと芯を持ったキャラクターで、抜群の魅力がある。前作の仲間たちにも引けを取らず、筆者は全員が愛おしかった。
交流を深め、キャラクターとの絆を生むことが目標となるこのゲームにおいて、キャラクターの魅力はイコール、ゲームそのものへの魅力に直結する。青春ものというフォーマットにおける人間関係や、レッテルを張らずに主人公たちに接してくれる数少ない大人のキャラクター、その中でも特に、性的魅力満載の成人女性キャラクターの造形なんかは本当に見事というほかない(筆者の趣味かも)。
そしてキャラクターの魅力はいわゆる、味方のキャラだけにとどまらず、悪役側も見事。主人公たち(そしてプレイヤー)が憎まなければならない“クズみたいな大人”の絶妙なクソ野郎っぷりと肉体感は、完璧な憎たらしさを持って表現されている。
――進化したゲーム性――
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ゲーム性において、本作は格段に進化した。フリーロームの探索要素は圧倒的なボリュームに進化し、都会の喧騒のなかを動き回るだけでも非常に楽しい。またRPGダンジョンに、“怪盗”という題材らしいステルス要素が追加され、ゲーム性を格段に向上させることに成功している。例えば、前作のダンジョンでは敵に奇襲を仕掛けるために相手が背後を見せるのをダラダラと待つ必要があったのだが、今回は壁への張り付きや高所からの奇襲など、それを見栄えの良いものに変更。ルパン三世やミッションインポッシブルで慣れ親しんだような怪盗ものらしいギミックがプレイヤーを待ち受けている。また、オートリカバーの追加や戦闘中のパーティの変更など、前作での不満点にもならなかったような些細な欠点を細かく補完していているので、全体としてはさらにプレイしやすくなった。上述したように演出もカッコよくなったので、これぞまさに正当進化だ。シンプルに動かしていて楽しい。
―― CAUTION!!!!――
一応、ここで『ペルソナ5』をプレイするにあたっての注意事項を書いておく。このゲーム、ボリュームが異常に多いので、忙しい人や働いてる人には辛いと思う。筆者のように学生とかじゃないとなかなかクリアできないというか、筆者ですら終わりがなかなか見えなかった。
それから中学生や高校生の諸君に、生意気にも大学生からの忠告。このゲームは中二病的魅力にあふれているので、たぶんそういうお年頃の人がプレイしたら影響されまくるというか、たぶん14歳の筆者がプレイしてたら凄く痛いことになっていたと思われる。ポケットに手を入れて歩いたり、不良ぶったり、自分には特別な能力がある!って勘違いは黒歴史を生むだけだと思うのでやめとこう。カバンに猫を入れて登校するなんてことは言うまでもなくしてはいけない。
――最後に――
『ペルソナ4』にドハマりして、もうこれを超えることはないだろうと思っていたら、次作はテイストを変えながらも、完成度としてはさらなる高みへと至っていた。どちらも目指している方向性が違うので、どっちが好きかは人によって異なると思うが、操作性や演出などはきちんと正当進化しているのが流石というか、素晴らしい。前作が大いに気に入った筆者も、どっちが好きか悩むほどハマった。
5作目にして、筆者にとってはシリーズ2本目にあたるので、もっとさかのぼってシリーズ作品を遊んでいきたいと思う。『ペルソナ5』は前作に引けを取らない、いや、超えているともいえる大傑作でした。
最後に、ペルソナ、恐るべし!!!!