オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

『ひぐらしのなく頃に粋』二度目の紹介(今度はクリアしてますよ)!

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みなさんごきげんよう。毎度言っているような気もしますが、久しぶりの更新となりまして、お久しぶりです。当初は週一更新が売りのブログだったのに、気がつけば月一かどうかも怪しくなってきました……

 

さて、こういった挨拶はウザいだけだと思うので、さっそく今回の趣旨をお話ししましょう。今回このページは、筆者が遂に『ひぐらしのなく頃に粋』をクリアしたため、その感想をネタバレしない程度に書こうと思います。なお、当ブログでは以前にも『ひぐらしのなく頃に粋』について書かせていただいたわけでありまして、今回はその続編というか、補足的なものになると思います。前回も未プレイの人への配慮はしたのですが、とはいえやはり多少の先入観を与えてしまうことは必定であるため、本当に新鮮な気持ちでこれから本編に臨みたいという人は、ここでブラウザバックをお願いします

 

↑こっちから読んでもらった方がわかりやすいかも……長いけど

 

では始めよう!……と、その前に、申し訳ないがもう一つだけ前置きをさせてもらいたい。くどいのはわかるのだが、これだけは! と筆者が譲れない、個人的なことを書かせてもらいたい。プレイしている間中、ずっとずーっとこう書こうと思っていた。

このゲーム、長い!長い!長すぎる!

ひぐらしのなく頃に粋』、こやつはなんと、クリアまでに120時間越えというとんでもないボリュームの化け物だった。正直、これを書いている筆者は今、ほんとに疲れ果てている(クリアしたテンションでそのまま書いている)。もはや一本のゲームをクリアしたというより、ちょっとした行事を終えたような気がしている。なんせ上にリンクを貼った前回のページを書いたときですら、「長いな、もう終盤なんだろうな」と思っていたわけであるが、あんなものは序の口だった。あのボリュームですら、全体の中ではやっと折り返したかどうかというくらいの位置でしかなかった。だから前回のページに書いた感想は、このゲームの半分に対する感想でしかなかったわけである。それほど長かった。長かった。長……しんどかったんだよ!

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f:id:Lemuridae:20180529193642j:plain↑はい、挫けそうになりました。でもズルいよな……こんなこと言われたら頑張っちゃうじゃん(笑)

 

 

さて、今度こそ前置きは終わりにして、肝心のクリアした感想というものを言おう。

なんか、愛憎入り混じるというか、好きなとこも嫌いなとこもある。

これに尽きる。筆者はなんかもう、『ひぐらしのなく頃に』が好きなのか嫌いなのかよくわからない。というか、なんども「つまんねえなあ」と思ってたくせに、なんだかんだ最後までプレイしてしまった。……それは面白かった、好きだ、ということなのだろうか? 自分でもわからない。でも、

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この画像が示すよう、十万回ボタンを押してもなお止めなかったところを見ると、やっぱり面白かったんだろうな。好きなんだろうな。終盤はほとんど意地になっていたけど、このゲームに要した時間を無駄だったなんて思わないし。だから僕はひぐらしが好きなはずなんです。本当の話ですよ。

でもでも、印象自体は前回の記事を書いたときよりも悪くなっている。終わりよければすべて良し、という言葉があるが、あれは至言だと思う。筆者はこのゲームの終盤の結末となる展開が苦手というか、ぶっちゃけクソだと思った(ファンの人ごめんなさい)。だからどんどん印象が悪くなっていた。それはもう酷いと思った。中学生が書いた二次創作かと思った。なんだこれ、バカじゃねえのと思った。怒った。呆れた。これで全部台無しじゃんと思った。番外編が途中で挟まれるのがどうとか、ゲームシステムがどうなのかといったことは、前回の記事で書かせてもらったので割愛するが、やっぱり本筋のストーリーに不満が多々あって、このゲームをやっているうちの半分以上は楽しんでいなかったと思う。これが本当に正直な感想だ。

ただ、でも、でもですよ。やっぱりそれでも、筆者は手を止めなかった。最後までプレイした。だから心底嫌いなわけではないんだと思う(これが肝心)。

というか、『ひぐらしのなく頃に』という巨大なタイトルで、それに思春期を捧げた友人がいて、Twitterには優しくいろいろ教えてくれるフォロワーさんがいて、このタイトルについて今もなおいろんな人がああだこうだ言っていて、それに賛同したりそうじゃなかったり、「あそこがどうだ!」とか「あそこがダメだ!」とか、はたまた「あそこが好きだ!」とか、わいわい言える連中がいて、その仲間になれた時点で、このゲームをやってよかったと思う。……なんだ、俺、ひぐらし好きなんじゃん。何度も大笑いしたじゃん。何度もイライラしたじゃん(笑)。

デレたついでに良かったところをバンバン書いちゃうと、出題編と呼ばれる序盤は本当に面白かった。十点満点中十点と言っていいと思う。そして声優さんがみんな素晴らしい演技を見せてくれて、特に筆者は雪野五月ゆきのさつき)さんが大好きなので、その声をたくさん聴けて満足できた。また、後付けラッシュは辟易したけど、さすがにそのかいあって、世界がほんとに広くて、いろんなキャラの思惑が交錯していて、「ひぐらしワールド」が確かにそこにあったと思う。そしてその後付け番外編は、総じてあまり面白くなかったけど、そこで描かれるメッセージは総じて真摯で好感を持てて嫌いになれなかった。なんだかんだでキャラが出てくるとテンションが上がって、「あ、俺はこいつらが好きなんだな」と思えた。前回の記事とかで批判しまくったけど、なんだかんだ南井巴も公由夏美も好きだった。

  

でも、今から他人にこのゲームを勧めるかと言われたら、俺は勧めない! だって苦行だったもん! だって長すぎるんだもん!

ただ相手が十代だったら……十代だったら勧めます(笑)。だからもし今この文章を読んでくれているあなたが十代で、あまりホラーものをやったことがなかったりするのなら、Switchでこの夏に『ひぐらしのなく頃に奉』という、さらにシナリオが増えた完全版が出るらしいので、それを買ってみたらいいと思う。もちろん自己責任ですけどね。

……というかこのゲームって、出会うタイミングがすべてな気がしてきた。中学生の時にやった、筆者のノベルゲー童貞を捧げた『おおかみかくし』は、筆者の思い出の一本だから。

 

 

f:id:Lemuridae:20180529203534j:plain今となっては思い出深いシーンです……

 

…というわけで、好き勝手に書きまくらせてもらったところで、そろそろこのページも終えようと思う。なお、今回のこの文章は、深夜のテンションで書いている(笑)。理由は、ひぐらしにはそんなテンションで書いたんじゃないかって思うようなシーンが多かったから、筆者もそれに倣ったわけだ。

むう……二回もしっかり感想を書いたゲームって初めてだよ。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。筆者のこのゲームへの愛憎が少しでも伝わったなら嬉しい(笑)。

 

実は、あと二つほど未プレイのシナリオが残っているのだが、どう考えても番外編の番外編っぽいので許してくれ!祭囃し編と澪尽し編 表裏はちゃんとクリアしたから!

 

 

ひぐらしのなく頃に粋 - PS Vita

ひぐらしのなく頃に粋 - PS Vita

 
ひぐらしのなく頃に粋 - PS3

ひぐらしのなく頃に粋 - PS3

 

 

 

 

超どうでもいいけど、「田村ゆかり、有名なノベルゲーに大概出てる説」、これ思いついたんだけど、そうじゃない?

『VA-11 Hall-A』オススメのゲーム、ヴァルハラを紹介!

Thank you for reading this page!

この記事は飲み物とおつまみを用意してリラックスした状態で読んでください。

準備は出来ましたか? それでは どうぞ楽しんで!

 

f:id:Lemuridae:20180127174855j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

いろんなテキストアドベンチャーゲームを遊んでいると、筆者は時折興味深いアプローチをしているものに出会うことがある。それはオーソドックスな選択肢形式じゃないというだけでなく、ゲームという媒体でしか表現できないものだったり、映像化不可能なものだったりと様々だ。そして筆者はこのたび、それらとはまた違った新しいものを見つけた。

今回紹介するのは、ある意味この手のジャンルに飽きてしまっているような筆者が新鮮味を感じることができた、一風変わったテキストアドベンチャーゲーム『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action(ヴァルハラ サイバーパンク バーテンダー アクション』だ。

 

この一風変わったゲームを開発したのは、なんとベネズエラの人たち。しかも大手の資本の元で製作されたものではないインディーズゲームだというので驚きだ。スケバンゲームスという、名前だけで日本に親しみを持ってくれていることがよくわかる開発元によるもので、海外で反響を呼び、2017年の11月16日にやっと日本に上陸したタイトルなのである。

 

ジャンルはサイバーパンクバーテンダーアクションとされていて、これだけ聞くとピンとこないだろう。実際にプレイした筆者に言わせると、このゲームはアクションゲームではなくテキストアドベンチャーゲームビジュアルノベル・ノベルゲームである。なんだ、じゃあジャンル名は誇大広告じゃないか……と思われるかもしれないが、おっと、ちょっと待ってほしい。たしかにアクションゲームではないが、オーソドックスなノベルゲームとは違う、独特なゲーム的な要素が特徴となっているため、ただのノベルゲームだとあなどってはいけない。サイバーパンクバーテンダーなゲームなのだ。f:id:Lemuridae:20180127181853j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

サイバーパンクバーテンダー……このゲームは2070年代の近未来を舞台にした作品なのだが、やることはバーでお客さんに接客をするだけ。つまりあなた(主人公)はバーテンダーだ。それって面白いの?サイバーパンクな世界なら暴れまわりたいよ! などと思われるかもしれないが、このゲームの魅力は、そういった通常ならアクション物などの題材になる(『ブレードランナー』とか『AKIRA』とか)未来の世界を、その片隅にある場末のバーという非常にミクロな視点から垣間見れるところにある。人間の言葉をしゃべる犬から娼婦のガイノイド、水槽の脳までといった個性的すぎる客を接客しながら、このゲームの世界では当然・普通の会話が特に解説もなく進んで行く。そしてそれらについていちいち詳細が説明されないぶん、かえって読み手の想像力を刺激してきて、魅力的な世界を感じ取れると思う。

f:id:Lemuridae:20180127182858j:plain(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC

 

繰り広げられるテキストは、基本的にはバー VA-11 Hall-Aにやってくる常連さんとの他愛のない世間話(下ネタ多め)。その内容に対して、だから何?と言われればそれまでなのかもしれないが、『パルプ・フィクション』的な楽しさがあると言えばいいか、とにかく読んでいて退屈しない(同年代の会話に対してつまらねーこと喋ってんなーと思う筆者が)。また、客に提供するカクテルによって物語展開が変わるという、ほかに類の見ない新鮮なシステムになっていて、バーテンダー体験ができるし没入感も損なわないし、非常に楽しいものだった。世代を問わず懐かしさを感じるドットのグラフィックと音声ではない電子音が良い雰囲気を創りだしていて、プレイヤーが任意に選択してジュークボックスで流せる音楽は最高の出来

だから、めちゃくちゃ面白い!やめ時がない!といった感じのゲームではないが、なんというか、逆に永遠にプレイできる気がする。褒めようと思えばいくらでも褒められるゲームだけど、批判しようと思えばいくらでも批判できるゲームでもあって、要するに万人ウケしそうではないが、ハマる人はハマると思う。ある意味雰囲気ゲーかもしれないが、とりあえず筆者はこのゲームが好きだ。

 

インディーズのゲームだから長くは遊べないけれど、新品でも定価は三千円くらいなので、手軽に手に取ってみてほしい。まだ残っているのかわからないけど、店舗で購入すると初回特典のサントラCDとコースターがついてくるので、早めに購入したほうがいいと思う。ゲームもそうだけど、筆者はこのサントラを非常に気に入っている(欲を言えばもっと収録してほしかったけど)。そして思いがけず百合要素も多い作品となっているので、その手のものが好きな人には強くお勧めする。

 

発売日には購入していたのに記事を書くのが遅れてしまったうえに短めになってしまったが、以上でこのページを終わろうと思う。ヴァルハラは筆者的にはかなりオススメの一本なので、興味を持ってくれた人は買ってみてほしい(まわしもんじゃないよ)。以上、読んでくれてありがとう。

 

VA-11 Hall-A (ヴァルハラ) - PSVita

VA-11 Hall-A (ヴァルハラ) - PSVita

 

 

『誰かがあなたを愛してる』隠れた名作恋愛映画を紹介。

新年明けましておめでとうございます。平成30年、西暦でいうと2018年になりました。このブログも立ち上げてからもうすぐ2年になるんだなと、妙に感慨深い心持ちでおります。

 

…とまあ、このブログをいつも見てくれている人への挨拶は終わりにして、このページの趣旨を説明しよう。わたくし、正月に買いだめしていたDVDを視聴しておりましたところ、まさかまさかの隠れた名作を発見。あまりに面白かったために連続で二回視聴するほど気に入ったので、この映画をもっと広めたいと思い、ここにその魅力を書かせてもらうことにしました。そんなに筆者がハマってしまった映画が-- 

 

誰かがあなたを愛してる デジタル・リマスター版 [DVD]

誰かがあなたを愛してる デジタル・リマスター版 [DVD]

 

 

この映画だ。1987年の香港映画で、香港からきた女優志望の主人公と、ニューヨークの中華街で最底辺の暮らしを送る粗暴な男を軸に進む物語である。この手の映画によくあるように『誰かがあなたを愛してる』というのは日本が独自につけた邦題。原題は『秋天的童話』といい、秋の童話という意味らしい。そしてこの映画は原題が示す通り、秋の雰囲気を満喫できる素敵な恋愛映画なので、邦題の意味がわからん!…となってしまう可能性もあったのだろうが、この手の邦題にしては珍しく、ちゃんと意味があって、これはこれですごくいい。意味不明でダサい邦題がはびこっている中、筆者はこの邦題は素晴らしいものだと思う。

主演は『男たちの挽歌』で筆者を含む世の男たちの頭を、いろんな意味でおかしくしてしまったチョウ・ユンファ。時期的にも挽歌の頃の映画なので、なんといっても若々しい(といっても30越えてるが)。チョウ・ユンファはアジアの大スター俳優として現在も有名だが、個人的に、最盛期はこの映画が制作された、80年代後期から90年代初期にかけてだと思う。バイオレンス映画の印象が強いが、コメディやヒューマンドラマにもよく出ていて、その演技は幅広い。そしてもちろん、その演技力はこの映画でも遺憾無く発揮されていて、それがあまりに素晴らしいものだから、筆者は本作が『男たちの挽歌』と並んで、彼の演技の最高傑作だと思った。この『誰かがあなたを愛してる』、筆者は恋愛映画なんてあまり見ないんだけど、どハマりしてしまったわけだ。

 

さて、何がそんなに良かったのかというと、この映画はとにかく徹頭徹尾丁寧に作られていて、優しくて、切なくて、穏やかな気持ちになれるのだ。この頃の香港映画って、ある種漫画的なところが魅力だと思っていたんだけど、こんなに丁寧で巧みに心理描写が積み重ねられているものもあるんだなと驚かされた。派手な銃撃戦や過激な描写、衝撃のどんでん返しが待っているわけではないのだが、ダメダメだけど実直で、静かな優しさを持っているチョウ・ユンファ演じるキャラクター、サンパンの主人公を見る目が愛おしくて、切ない。彼は金持ちなわけではなく、絶世のイケメンというわけでもない。ギャンブルが癒しだと断言してしまう、女性が結婚相手になんて考えられない男なのだ。しかし落ち込んでいるときは黙って話を聞いてくれて、街に連れ出してくれて、「うまいものを食べて人生を楽しめ」なんて言って、お金もないのにツケで山盛りのチャーハンを頼んでくれる。そして本棚を買うお金がないといえば日曜大工で作ってくれたり、一人にしてほしい時はそっとしておいてくれて、だけど「何かあれば呼んでくれ、とんでいくから」と言ってくれるような、そういった当たり前なようでなかなかできない純真な思いが見ていてすごく、なんていうか、いい。こういうのを純愛っていうんだなって、胸を締め付けられるような思いになった。筆者もこういう男になりたいと、ある意味ステキな男の教科書だと思った。

また香港映画でありながら、その舞台はニューヨークである。全編ニューヨークロケの映像は日本人の筆者が見てもノスタルジーがあって、主題歌を含む音楽もノスタルジックで浸ることができる。秋の紅葉の街での純真な二人の穏やかな関係は、見ていてほっこりするとわかっていただけるだろう。また、そんな二人のすれ違い--お互い言わなくていいことを言ってしまって、一言多くなってしまって--そんなことからくるすれ違いなんかも非常にリアルだ。主人公の女の子にもチョウ・ユンファ演じるサンパンにも、どちらにもこの上なく感情移入できるから、この映画の場面場面を思い出すだけでいろんな感情が込み上げてくる。

男なんて、誰もが安易に夢を語る。それを応援してくれる女の人もいれば、そんなのごめんだっていう人もいると思う。だからこそ、この映画のラストのエモーショナルな展開と、その完成度、その納得度は、筆者の中でこの上なく良いものだった。ラストまで見て、この映画は筆者の中でまさに隠れた名作!の仲間入りをしたのだ。

 

…と、いうわけで、香港映画『誰かがあなたを愛してる』を紹介させていただきました。清々しいほどの絶賛をさせてもらったが、これ、感想とかをネットで調べてもあまり見つからないんだよね。だからもっとみんなに見て欲しいと思う。今なら通販で千円以下で円盤が買えるし、最寄りのレンタルショップにはなかったけど、レンタルビデオでもあるかもしれない。自信を持ってオススメするので、騙されたと思って見てみてほしい。

 

というわけで、読んでくれてありがとう。今年もよろしく!