『久遠の絆』根強い人気がある隠れた良作ゲームを紹介。
『久遠の絆』というゲームがある。1998年にプレイステーション用に発売されたテキストアドベンチャーゲーム、いわゆるノベルゲーのことだ。筆者はこのゲームを去年プレイしたのだが、なかなか面白いゲームだった。傑作とまでは言えないにしても、丁寧に作られた完成度の高い良作だと思う。問題は、このゲームがあまりにも知られていないこと。まあ自分もノベルゲームにハマるまでは知らなかったわけだが、もっと話題になってしかるべきだと思う。誤解しないでほしいが、評価されていなかったり愛されていないというわけでは決してない。事実として、様々な機種に移植されたりリメイクされたりしていることがそれを証明している、根強い人気のある作品だ。しかし敢えてもう一度言わせてもらいたい。
もっと話題になってしかるべきだ。
そうなのだ。良いゲームなのにあまり語られない。だから、僭越ながら今回は筆者がその魅力を語らせてもらおう。今からネタバレを極力抜きに魅力を語って、読後にあなたが『久遠の絆』をプレイしたくなる記事を目指す！無理かな？笑
まあ初めに簡潔にいってしまうと、話は輪廻転生ものだ。『久遠の絆』ってタイトルもシンプルにそれを表していると思う。千年間変わらない想いを描いている悲恋物語で、永遠に思える永い時を相手を想いながら過ごす話だ。舞台となるのは平安時代・元禄時代・幕末・現代の4つの時代。物語は現代から始まる。平凡な高校生が怪異に巻き込まれていくというラノベとかにありがちな話だが、描写が細かくてストーリーやキャラクターの心情に説得力があるし、キャラクターの魅力だけでなくお話自体でしっかりひっぱてくれる。突然転校してきた謎めいた美少女・幼馴染かつ親友・同居している従姉妹・美人教師・不良のライバルなど馴染みやすいキャラクターなのも話に入りやすくて良い。
実はこのキャラクター達は前世で因縁があるということが次第に分かっていく。主人公は前世の記憶を探っていくわけだ。そしてプレイヤーは千年の時を繰り返される悲劇を目撃することになる。時代の波で境遇が変わり、かつての友達が敵になったり、その逆だったり、それぞれのキャラクターに変わらない気持ちと意地があって、それが相容れない様子が悲しい。
このゲームの核になるのは全ての始まりとなる平安編だろう。ここから久遠の絆が生まれるわけだ。終盤と並んで最も面白い。筆者は受験のために古文を学んだ際に得た程度の知識しかないけれど、平安時代の時代考証がしっかりしている…と思った。乳母の子が権力を得るくだりとか、近親者の間で恋愛が発生しちゃったりとか。夜道を非常に恐れていたりするのも当時の感性だろう。性描写が家庭用ゲーム機のソフトなのに限界まで攻めているのもこの時代だからか？（関係ないかも…笑）
平安時代・元禄時代・幕末と舞台がどんどん変わっていって飽きさせないのも見事だ。時代ごとに春夏秋冬、季節を変えてあるのも上手い。それぞれの時代感が良く出ていて、忠実に大河ドラマクラスの映像化をしてくれたら凄く嬉しいなと思ったり。ありえんけど……。
悲恋物語だと上述したけれど、このゲームは怪奇ものでありジャンプ漫画的なバトル要素もテンコ盛り。これが良い。平安編なんかは特にバトルに次ぐバトルだ。主人公が陰陽師で、法術で妖怪どもを蹴散らしたり、神剣で戦ったりと燃える。そう、燃えるのだ！ 前世の自分が封印した剣を探したり、因縁の敵と再び会いまみえたりととにかく燃える要素に満ち満ちている。王道をしっかりやってくれている。そして、それぞれの時代での因縁が終盤に収束していくのが良い。重い話だがクリア後にシリアスを一切排除したおまけのギャグシナリオを入れてくれているのも気が利いてる。腹抱えて笑えるぞ。
また、言及せざるをえないほど素晴らしいのが音楽。曲数こそ少ないものの印象に残る切ない和風音楽がゲームの完成度に貢献しまくっている。落ち着きたいときに流してしまう名曲なのだ。
まとめ。
まあ、古いゲームだからシステム面が悪かったり、正直いらないミニゲーム的なものもある。絵柄も良いんだけど古さは感じるし……PCで発売されたフルボイス版を除くと声がないのも今では辛いだろう。しかし今でも根強い人気がある良作なので確実に楽しめるハズだ。アーカイブスでも配信されているし機種の選択肢も多い。筆者はpsp版をプレイした（いまだにPSP現役なので 笑）。
ということで、ここまで読んでくれたあなたの購買意欲を掻き立てたかった記事でした。読んでくれてありがとう。
2017/2/19 追記：フルボイス版がIOSとandroidでも遊べるようになりました。お値段も（現在）1400円という映画一本分の良心的なものなので気になった人はぜひ。
