オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』史上最凶のゴジラ映画を紹介。

毎年ゴジラ映画を劇場まで観に行くのが恒例化していた筆者は、2001年にこの映画を観た(たしかハム太郎と同時上映で“ゴジハムくん”なる指人形か何かをもらったはず)。子どもながらに当時大興奮したのを覚えている。そして個人的に思い入れが深く、劇場公開から15年たった今でもこの映画が大好きだ。

  本作はゴジラシリーズ25作目の映画だが、初代ゴジラの直接の続編であり、他のゴジラ作品との繋がりはない(ゴジラ映画あるあるだな)。そして映画の冒頭から、黒歴史となった1998年のハリウッド版ゴジラを、“アメリカ人はゴジラだと騒いでいたが日本の学者はゴジラとは認めていない”というセリフで‟なかったこと”にしてゴジラファンを笑わせてくれる。

怪獣映画ファンとして注目すべきは、監督が平成ガメラシリーズを手掛けた金子修介だということ。金子監督は漫画の実写映画化の成功例として挙げられる実写版デスノートや、名作『1999年の夏休み』なども撮っている名監督である。

 

ガメラについてはこちらを参照 ↓

lemuridae.hatenablog.jp

 

 この映画でのゴジラは他のシリーズ作品と一線を画する設定だった。従来と同じく水爆実験で巨大化した恐竜でありながらも、太平洋戦争で無念のまま死没したすべての人たちの怨念が憑依した霊体なのだ。なんとまあ斬新な設定なことか…。戦死者たちの無念の叫びを忘れた日本人に怒ったゴジラが日本を襲撃するのである。そしてクニを護るためにバラゴン・モスラキングギドラ 三体の守護怪獣がゴジラと対決するというのがこの映画のストーリーだ。金子監督らしいオカルト的な解釈が入ったゴジラだな。怨念が憑依したゴジラ黒目がない真っ白な瞳を持ち、一切の感情移入を許さない凶悪なルックスだ。他のゴジラに比べて圧倒的に凶暴でもある。幼少期の筆者は、いったいゴジラはどうしたんだ?と思ったものだ。怪獣映画ではあやふやにされがちな一般市民への被害が明確に描かれておりゴジラが絶対不可侵の恐怖の対象として描かれている。とにかくこのゴジラは尋常じゃなく強く、完全に制御不可能なのが観ていて痛快ですらある。

 

筆者がゴジラ映画の中でも特別この映画が好きな理由は、人間が怪獣を見上げるアングルの絵作りがされていて怪獣の巨大感が凄まじいからだ。怪獣の存在感が半端じゃない。逃げ惑う人々や被害にあう人々の姿が克明に、執拗に描かれることで災害のような怪獣の実在感がある(さすがに2014年ハリウッド版には負けるけど)。

海面が盛り上がってゴジラが姿を現したり、山の向こう側からゴジラの頭が見えるという初代リスペクトのシーン、ゴジラを見上げる人々と見上げる人々をアリのような小さなものとして見下すゴジラの視点!でかい!って感じるシーンのオンパレードだ。怪獣映画としての素晴らしさに満ちているぞ

護国聖獣として描かれるバラゴン・モスラキングギドラゴジラの戦いは大谷幸の神秘的な音楽もあいまって、神話的な戦いに見える。伊福部昭氏の誰もが知っているあのゴジラのテーマも良いが、『ワンダと巨像』や『灰羽連盟』が好きな筆者的には大谷幸の音楽が非常にうれしい。

 

 残念なのはCGがチープなこととキングギドラが他作品の個体と比べて貧弱なことか。CGに関しては時代と予算を考慮すると仕方ないとは思うが(それでもガメラ3の空中戦みたいに上手い魅せ方をしてほしかった)、ギドラはもっと頑張ってほしかった。昭和ギドラとかめちゃめちゃ首が長くて動きまくるんだぜ(あの操演はロストテクノロジーなのか…)。それからバラゴン戦以降は単純な怪獣バトルになってしまっているかな。怪獣の巨大感は日中のシーンのほうが良かった。というか暗くなってからはあまり巨大に見えない。あとこれを言うのは酷だが演出にちょっとあざとすぎる面があるかも。

 

 ということで夏の庵野秀明監督の新作ゴジラに備えてゴジラ映画を観るなら、初代と本作がおすすめです。新作ゴジラのトレーラーを見る限り、明らかに本作や初代ゴジラ路線の恐怖映画を目指していると思われるので。新作ゴジラが白目ゴジラを超える凶暴さを見せてくれることを楽しみにしています。以上、読んでくれてありがとう。