オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

『貞子vs伽椰子』シリーズ初心者の感想を。

『貞子vs伽椰子』見てきました。現在公開中の映画について書くのって初めてなのでどう書こうかと悩んだんだけど、この記事ではネタバレを多分に含んで感想を書かせていただきます。新鮮な気持ちで映画を見たい人は注意してください。

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こういうクロスオーバーものの映画ってそれぞれの作品に対する愛着によって楽しめるかどうかが決まる部分が大きいと思う。そこで先に言おう、筆者は特別に『リング』と『呪怨』が好きなわけでは無い。というかJホラーが好きな友人に今回この映画を勧められてようやく一番初めのVシネマの『呪怨』と一本目の『リング』を生まれて初めてちゃんと視聴したって程度のスタンスなのだ(どっちも面白かったけどね)。だからナンバリングを経てどんどんアイコン化し、お茶目になっていくホラーヒロイン達の流れを知っているわけでもない(それでも子どもの頃からバラエティ番組などで貞子のパロディは見てたけど)。一作目しか見ていない筆者にとっては貞子も伽椰子もまだまだフレッシュな存在なので、正直対決されてもどう反応していいのかわからない状態であった。だってあの2人が戦う様子って笑えばいいのか怖がればいいのかわからないでしょ?(笑)

つまりこの記事はシリーズ初心者の、ただのニワカの感想であるためシリーズファンの方が“わかってね〜な〜コイツ”とお怒りになるのは最もだと思う。だけど広い心で見逃してください。

 

で、実際に映画を観た感想なのだが、筆者としては期待以下の内容だった。つまらなくはないんだけど物足りない感じだ。宣伝の仕方とかからもっと突き抜けたバカ映画を予想してワクワクしてたんだけど、意外にしっかり呪怨とリングでした。もちろんこれは決して悪いことではなく、しっかり本家本元に寄せたホラー映画を作ろうという意気込みが感じられる。だけど呪怨もリングも既に20年近く前の映画なのだ。今の時代に同じことをされても劣化コピーと言わざるをえない。

 

この映画、大部分はリング的な話の展開をする。だからリングパートについての感想をまず書く。そもそも今回劇中でもつっこまざるをえなかったように、2016年現在においてはVHSテープそのものが既に廃れたメディアである。だから呪いのビデオを登場させるだけでも今時ビデオデッキを使用する理由から説明しなければならないわけだ。呪いのビデオを観る際、大型液晶テレビに三色端子でビデオデッキを繋いでいるようでは雰囲気もクソもない。ビデオを観終わった後に掛かってくる電話が固定電話ではなくスマートフォンってだけで集中できなくなり、時代を感じて笑ってしまった。つまり真面目にホラーするにはどうしても無理がある。我が家のビデオデッキだってもう使ってないですもん。

 

そして呪いの家に関するシーン(つまり呪怨パート)だが、こっちはけっこう良くできていたと思う。呪いのビデオという時代に依存したホラーと違って、心中があった家というのは今でも雰囲気抜群で時代など関係なく常にホラースポットたりえる。多少は階段や部屋の間取りが変わっていたような気もするものの、家の前のあの坂道と家の外観が映るだけで呪いの家の存在感は未だに健在だった。登場するだけでニヤニヤしてしまったぞ。だけど申し訳ないが元祖は越えられず。ただ大きな音と不意打ちの出現でビックリさせるだけで、全然じりじりとした怖さがない。そこにいるという恐怖がない。ホラーフラッシュゲーム的な怖さでしかないのだ。その理由はリアリティを感じないからだと思う。今回呪いの家に引き寄せられ、伽倻子の餌食になる女優さんは目が大きくて鼻が高い露骨な美人だ。これがリアリティを削ぐ。つまり映画的な美人すぎるので画面に映るだけでフィクションであることが常に意識されてしまう(悪魔のいけにえはリアル、テキサスチェーンソーは映画…みたいな)。というか前々から思ってたんだけど、どう見ても女子高生の年齢じゃない女優さんに女子高生役とかやらせるのはもうやめにしないか? 萎えます。

いちばん初めの呪怨栗山千明などの有名なキャストがいるにはいるんだけど、みんな垢抜けてないというか美人すぎないというか、つまりどこにでもいそうな人たちだったからこそリアリティがあった。加えて画角4:3で画質の悪いホームビデオのような映像であったからこそ怖さが増したわけだ(顎のCGは酷かったけどね…)。今回は映画的になっているのを見て、やっぱホラーにおいて洗練され過ぎているのは問題なんだなと再認識した。とはいえ劇場ではみんな怖がっていたようで、“これはビビるわ…”と友人と囁きあう中学生くらいの女の子も確認。音響効果などを考えると、最大限に楽しみたいのなら劇場で観るべきだと思う。

 

これらの主張に納得してもらえたかはわからないが、とにかく真面目にホラーしてくれてる割には全然怖くなかった。だって筆者がいちばんビクッとしたとこってネコが出てくるとこだったもん(笑)。にゃ〜んってな。真面目にホラーやって怖くないって、それはつまり退屈だということである。リング的なものや呪怨的なものを観れればそれだけで楽しいって人には良いんだろうけどさ。

まあ何が言いたいのかというとだな…せっかくのクロスオーバー企画なんだしもっとふざけてさ、ホラーするよりももっとはっちゃけようぜ!

 

物語の後半で安藤政信が演じるイケメン霊媒師とレオンの頃のナタリーポートマンのような格好をした少女という胡散臭い2人組が登場する。この2人組を見て筆者は確信した。あ!やっとバカ映画になってくれるのか!(どうでもいいが安藤政信ってキッズ・リターンバトル・ロワイアル以来に見たんだけどいまだにカッコいいじゃん)

 

そこからはやっとこの映画のタイトルらしい内容になっていく。つまりバトルが始まるわけだ。霊媒師2人組は見た目が胡散臭いわりに強力な呪いに立ち向かうことのできる実力の持ち主である。なんか石ころを投げて俊夫くんを撃退したりする (笑)

この霊媒師、呪いを解くには呪い同士をぶつけて中和すれば良いというよくわからないにも程がある謎の理論を提示してくる(笑)。Jホラー史上最もタブーであろう、呪いの家で呪いのビデオを観るという自殺行為にも程がある所業を敢行するぞ! その結果がどうなるのかは自分の目で確認してほしい。貞子と伽椰子、2大スターが相見える瞬間はワクワクしてテンションが上がること必定である。貞子キター!伽倻子もキター!ってな感じだ。前哨戦とばかりに俊夫くんがテレビに引きずり込まれたりして腹抱えて笑えた。そしてラストは予想外の結末を迎える。

 

たださぁ…。肝心の貞子と伽倻子のがあまり戦わないんだよ! 筆者はプロレス並みの肉弾戦というシュールな絵面を期待してたのに対決は控えめなんです。もっとガンガン殴り合って欲しかったぜ…。

まあVS企画で戦わないことってよくあるけどさ…orz

 

 

最後に。

期待していたほど楽しめなかったんだけど、笑える部分もたくさんあってある程度は満足できた。シリーズが好きな人は筆者の倍以上楽しめるだろうし、劇場もまずまずの混み具合で客層も若々しくホラーシーンで声が上がるような良い雰囲気でした。Jホラーが好きなら聖飢魔Ⅱのエンディング曲を聞きながら観て良かったと満足できるはずだ。というわけでJホラーファンはこの祭りを逃さず劇場に行きましょう!

 

もうちょいギャグよりなら大満足でした。『フレディvsジェイソン』みたいにさ…。