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オタクノ作る時間

バイトと学校を除くとほぼ引きこもってる学生のブログ。主に映画の感想とノベルゲーの紹介。週一更新から不定期に移行。

『デイグラシアの羅針盤』感想と紹介。

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「どうすれば、彼女たちは生きてあの海を出ることができたのか。
もし、違う選択をすれば、結果は変わっていたのか」

2033年8月1日、
深海遊覧船<sheepⅢ>は水深700mの海底に沈んだ。

一瞬にして失われた50名の生命。
残された者たちは、閉ざされた深海で生存への道を模索する。

だが、その水底には、彼らが予想もしなかった脅威が潜んでいた。

“二人の生存者”の片割れは、
繰り返す記録と記憶の果てに、彼女たちを救うことができるのか。


「生存者を決めるのは、あなたです」

これは正解のないノベルゲーム。

 

(出典: http://catalyst-games.com/#story

 

『デイグラシアの羅針盤』は同人サークル カタリストが製作したWindows専用のSFサスペンスADV。海底に沈没した深海遊覧船 SHEEPIII(しーぷすりー)、そこに取り残された者たちの脱出劇を描いている。この作品は2002年にKIDから発売されたテキストアドベンチャーゲームEver17』にリスペクトとオマージュを捧げたゲームとして一部の界隈で評判になっており、Ever17を愛してやまない筆者もようやくプレイした次第だ。そしておよそ1カ月近くかかってようやくクリア! 最近忙しかったからなあ…。

というわけで、ここに『デイグラシアの羅針盤』の感想と未プレイ者への紹介を書こうと思う。なお、本作は作り手さんたちの『Ever17』への愛が感じられるゲームであり、「クリアした時に、その作者が親友で、電話をかけたいときにはいつでもかけられるようだったらいいな」と、そんな気持ちにさせてくれるゲームだった。ゆえに公平な感想 紹介にならないかもしれないが、なるべくドライに、客観的に評することを心掛けるつもりだ。

『デイグラシアの羅針盤』OP

 

 
Ever17オマージュ作品”という前評判、それはある意味、筆者にとって非常に高いハードルを意味していた。というのも、下手にパクってるだけだと不快になるだろうことは目に見えていたからだ。しかしこの作品は、そのハードルを飛び越えうる魅力を持った名作であった。

まずはパケッージを始めとする作品全体の雰囲気が『Ever17』を筆頭とするinfinityシリーズらしさを出しているところが嬉しいのだが、雰囲気や外観にとどまらず、そのシナリオも負けず劣らずの完成度を誇っている。個性的なキャラクターの紹介から事件に巻き込まれていく導入。時に楽しく、時に恐ろしい閉鎖空間での人間関係と集団心理。おおよそ深海パニックに必要な要素が網羅されていながら、そこにADVならではの丁寧な描写が積み重ねられているのは非常に魅力的だ。そして公式で“正解のないノベルゲーム”と謳うだけのことがあり、クリア後の解釈もプレイヤーそれぞれで異なる造りになっている。こういう作風は好きだな。

また、設定や科学考証がしっかりしている(少なくとも無知な筆者は納得できる)から、普通に勉強になる。よく勉強して作られた作品なんだなと感心した。かっこいいワードが出るたびにメモしてしまい、おかげで良い感じの雑学が身についたりした。

さらには、キャラクターデザインが親しみやすく、キャラクターごとに赤、青、緑、など色が分けてあるのも良い。キャラクター性がビジュアルにそのまま反映されているので、非常にとっつきやすい。音楽も作品世界をうまく表現しており、深海のイメージをプレイヤーに伝えてくれる。またあえて音楽を流さないことで、光の届かない深海の闇と存在感を出す演出なども見事である。

そしてここまで何度も『Ever17』っぽいということを書いたが、実は本作は、全体的な雰囲気や舞台などを除いて考えると、そこまで『Ever17』の構造を真似てはいないから、本質はあまり似ていないようにも感じる。つまりは本作独自の魅力が健在であるということだ。

 

しかし残念ながら同人ゲームゆえのビジュアルの弱さも垣間見える。イベントCGはかなり少なく、また立ち絵のバリエーションも少なくはないのだが、それぞれの立ち絵にあまり変化がない。だからアドベンチャーゲームの利点である、文章と視覚からくるテンポの良いストーリー展開があまり見られない。プレイ中に何度か感じた、テキストだけで進行されてしまう重要なシーンに視覚的な補助があれば、もう少しダレずにプレイできた気がする。ノベルゲームにしては小説的な脳の忙しさが感じられた。

また音に関しても、どうしても普段商業用のゲームをプレイしている筆者は物足りなさを感じてしまう。BGMは阿保剛イズムが感じられて完成度が高いのだが(Never7っぽい)曲数が多いとは言えず、効果音はなかなかによろしくない。特に、我々に最も海を感じさせてくれる波の音くらいは、もう少しこだわって欲しかった。あとこれは仕方ないのだが、同人ゲームゆえにキャラクターボイスが収録されていないので、ドラマ的な盛り上がりに欠けてしまう。やはり役になりきった声優さんの演技が話を盛り上げるんだなと再確認した。 

 

 

少し苦言のようなことも書いたが、非商業作品と考えるならば満点をあげても良い完成度である(筆者は何様なのだろう…)。全てのキャラクターが魅力的であり、久々に心から楽しめるノベルゲームだった。クリア後の余韻も素晴らしい。終盤の展開や演出なんかはほんと、感動しました。カタリストのみなさん、ありがとう。筆者も『Ever17』ファンとして、こんなゲームを創ることができたら良いな~とか思った。

というわけで、読んでくれてありがとう。

 

 

 無いものねだりだけど、音声付きだったら最高だったんだけどなあ…。

[同人PCソフト]デイグラシアの羅針盤

[同人PCソフト]デイグラシアの羅針盤

 

 

 

lemuridae.hatenablog.jp

個人的には『ルートダブル』らしさも感じたので関連として挙げときます↓

lemuridae.hatenablog.jp