オタクノ作る時間

外に出ることを好まない学生による、映画やノベルゲームの批評を主とした非営利ブログです。

『誰かがあなたを愛してる』隠れた名作恋愛映画を紹介。

新年明けましておめでとうございます。平成30年、西暦でいうと2018年になりました。このブログも立ち上げてからもうすぐ2年になるんだなと、妙に感慨深い心持ちでおります。

 

…とまあ、このブログをいつも見てくれている人への挨拶は終わりにして、このページの趣旨を説明しよう。わたくし、正月に買いだめしていたDVDを視聴しておりましたところ、まさかまさかの隠れた名作を発見。あまりに面白かったために連続で二回視聴するほど気に入ったので、この映画をもっと広めたいと思い、ここにその魅力を書かせてもらうことにしました。そんなに筆者がハマってしまった映画が-- 

 

誰かがあなたを愛してる デジタル・リマスター版 [DVD]

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この映画だ。1987年の香港映画で、香港からきた女優志望の主人公と、ニューヨークの中華街で最底辺の暮らしを送る粗暴な男を軸に進む物語である。この手の映画によくあるように『誰かがあなたを愛してる』というのは日本が独自につけた邦題。原題は『秋天的童話』といい、秋の童話という意味らしい。そしてこの映画は原題が示す通り、秋の雰囲気を満喫できる素敵な恋愛映画なので、邦題の意味がわからん!…となってしまう可能性もあったのだろうが、この手の邦題にしては珍しく、ちゃんと意味があって、これはこれですごくいい。意味不明でダサい邦題がはびこっている中、筆者はこの邦題は素晴らしいものだと思う。

主演は『男たちの挽歌』で筆者を含む世の男たちの頭を、いろんな意味でおかしくしてしまったチョウ・ユンファ。時期的にも挽歌の頃の映画なので、なんといっても若々しい(といっても30越えてるが)。チョウ・ユンファはアジアの大スター俳優として現在も有名だが、個人的に、最盛期はこの映画が制作された、80年代後期から90年代初期にかけてだと思う。バイオレンス映画の印象が強いが、コメディやヒューマンドラマにもよく出ていて、その演技は幅広い。そしてもちろん、その演技力はこの映画でも遺憾無く発揮されていて、それがあまりに素晴らしいものだから、筆者は本作が『男たちの挽歌』と並んで、彼の演技の最高傑作だと思った。この『誰かがあなたを愛してる』、筆者は恋愛映画なんてあまり見ないんだけど、どハマりしてしまったわけだ。

 

さて、何がそんなに良かったのかというと、この映画はとにかく徹頭徹尾丁寧に作られていて、優しくて、切なくて、穏やかな気持ちになれるのだ。この頃の香港映画って、ある種漫画的なところが魅力だと思っていたんだけど、こんなに丁寧で巧みに心理描写が積み重ねられているものもあるんだなと驚かされた。派手な銃撃戦や過激な描写、衝撃のどんでん返しが待っているわけではないのだが、ダメダメだけど実直で、静かな優しさを持っているチョウ・ユンファ演じるキャラクター、サンパンの主人公を見る目が愛おしくて、切ない。彼は金持ちなわけではなく、絶世のイケメンというわけでもない。ギャンブルが癒しだと断言してしまう、女性が結婚相手になんて考えられない男なのだ。しかし落ち込んでいるときは黙って話を聞いてくれて、街に連れ出してくれて、「うまいものを食べて人生を楽しめ」なんて言って、お金もないのにツケで山盛りのチャーハンを頼んでくれる。そして本棚を買うお金がないといえば日曜大工で作ってくれたり、一人にしてほしい時はそっとしておいてくれて、だけど「何かあれば呼んでくれ、とんでいくから」と言ってくれるような、そういった当たり前なようでなかなかできない純真な思いが見ていてすごく、なんていうか、いい。こういうのを純愛っていうんだなって、胸を締め付けられるような思いになった。筆者もこういう男になりたいと、ある意味ステキな男の教科書だと思った。

また香港映画でありながら、その舞台はニューヨークである。全編ニューヨークロケの映像は日本人の筆者が見てもノスタルジーがあって、主題歌を含む音楽もノスタルジックで浸ることができる。秋の紅葉の街での純真な二人の穏やかな関係は、見ていてほっこりするとわかっていただけるだろう。また、そんな二人のすれ違い--お互い言わなくていいことを言ってしまって、一言多くなってしまって--そんなことからくるすれ違いなんかも非常にリアルだ。主人公の女の子にもチョウ・ユンファ演じるサンパンにも、どちらにもこの上なく感情移入できるから、この映画の場面場面を思い出すだけでいろんな感情が込み上げてくる。

男なんて、誰もが安易に夢を語る。それを応援してくれる女の人もいれば、そんなのごめんだっていう人もいると思う。だからこそ、この映画のラストのエモーショナルな展開と、その完成度、その納得度は、筆者の中でこの上なく良いものだった。ラストまで見て、この映画は筆者の中でまさに隠れた名作!の仲間入りをしたのだ。

 

…と、いうわけで、香港映画『誰かがあなたを愛してる』を紹介させていただきました。清々しいほどの絶賛をさせてもらったが、これ、感想とかをネットで調べてもあまり見つからないんだよね。だからもっとみんなに見て欲しいと思う。今なら通販で千円以下で円盤が買えるし、最寄りのレンタルショップにはなかったけど、レンタルビデオでもあるかもしれない。自信を持ってオススメするので、騙されたと思って見てみてほしい。

 

というわけで、読んでくれてありがとう。今年もよろしく!