オタクノ作る時間

外に出ることを好まない学生による、映画やノベルゲームの批評を主とした非営利ブログです。

冬目景作品を読め! 好きな漫画家さんの話

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愚か者に幸あれ。
これは筆者が好きな漫画家 冬目景(とうめけい)さんの代表作『イエスタデイをうたって』に登場するセリフである。賢く大人な、現実的な選択肢を捨てて突っ走っていくキャラクターに向けられたこのセリフは、おそらく冬目景さんから読者へと送られたエールなのだろう。いい言葉だなーと筆者は思う。

 

さて、今回は当ブログでも初の試みとして、筆者が好きな漫画家さん、冬目景さん――そしてその作品をいくつかを紹介しようと思う。筆者は漫画をほとんど読まない人間なのだが、そんな筆者がほとんど全ての著作を集めているという、個人的にドンピシャな漫画を描いてくださるのが冬目景さんなのだ。

氏の代表作は最近ようやく完結した『イエスタデイをうたって』と、様々なメディアミックス化がなされた『羊のうた』だろう。油絵のような絵、今に至るまで一貫してアナログな手法で描かれる絵、そしてとにかく遅筆であることが特徴的な漫画家さんだ。イラストレーターとしても活躍されていて、その独特な世界観は他に代役がいないと思うのだけど、知名度はあまり高くないから不思議だ。まあ、好きな層には好まれているタイプの漫画家さんだと思うから、これ以上有名になる必要もないような気もするが、もっと知ってもらいたいからこの記事を書いた。好き嫌いがはっきり分かれそうな感じな漫画ばかりなので、誰にでも勧められるわけではないが、この記事が知るきっかけになればいいなと思う。本屋さんなどで見かけたなら、ちょっと手にとってみてほしい。

 

冬目景さんの漫画の主人公となるキャラクターの大半は、社会不適合者やモラトリアム人間ばかり。それは大人になれない大人だったり、阻害された存在だったり、あるいは文字通りの浪人だったり……彼らの生きる世界はとにかく狭い。冬目景さんは、そんな閉じた世界で生きる はみ出し者 を描き続けている。要するに、リア充な主人公は一人として登場しない(勝手な予想だが、冬目景さん自体がそういう人なんじゃないのかなと、後書きやインタビューなどを見ていると思えてくるから失礼な話だ 笑)。一般的に、処女作にはその作家の全てが表れるという。冬目先生のデビュー作(短編)で描かれたのは、OLが会社を辞め、かつて諦めた夢に向かって進んでいくという物語。まさに「愚か者に幸あれ」なストーリーだった。そしてもちろん、代表作の一つである『イエスタデイをうたって』は、そんな冬目景さんの価値観が詰まった作品。全11巻という、氏の漫画作品としては異例の長編でもある。

 

筆者が冬目景さんの作品と出会ったのは、もう一つの代表作『羊のうた』だった。これは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を日本風にして死ぬほど暗くしたような話で、見ていてとんでもなく疲れる鬱作品である 笑。同意を得れると思うのだけど、思春期や青春期の頃って、どういうわけか鬱作品を見たくならなかっただろうか? 筆者は見たくなるタイプの人間だったので、『羊のうた』を読んで、しばらく鬱になっていた。登場するヒロインに惚れ込んでしまって、その辛すぎる人生に同情しすぎてしまったからだ。この『羊のうた』ももちろんのこと、とにかく冬目景作品は超保守的(右的な意味じゃなく)というか、向上心がなく前向きじゃない人たちばかり出てくるので、筆者はすごく共感できるのです 笑。なんだろうか、あれこれ考えて素直に行動できない人や、自分なんて……って思考を繰り返してしまう人ならハマると思う。見事にその気持ちに名前をつけてくれるので、カッコつけた言い方をすると、生き方を変えるきっかけになる人生の先生なのだ。

 

というわけで、今回は筆者が愛してやまない冬目景さんと、その漫画を紹介しました。現在連載中の『空電ノイズの姫君』がとっても面白いので、続きが気になって仕方がない……。

f:id:Lemuridae:20180226002407j:image↑現在連載中!

 

最後に、冬目景ビギナーに向けて、入門にオススメの作品をリスト化しておく。

  1. イエスタデイをうたって』四巻まで
  2. 『ももんち』
  3. 『マホロミ』
  4. 『空電ノイズの姫君』

このいずれかを手に取ってみてほしい。ハマる人なら……気がつけば部屋の本棚は冬目景作品だらけになっていると思う(笑)。

 

ではでは、読んでくれてありがとう。またお会いしましょう。