『クロスチャンネル』クリア後に感想を。

『クロスチャネル』は歴史に残る名作といわれるテキストアドベンチャーゲームだ。いわゆるノベルゲーのことである。様々な機種に移植されているけれど、もともとは18禁のアダルトゲームだったらしい。筆者がこの度プレイしたのはpsp版で、性描写をカットした全年齢向けのものだ。ぶっちゃけエロシーンが見たかったし（正直！）ノーカット版をプレイしたかったのが本音なのだが、vitaを持っていない筆者にとってはpsp版が最もお手軽なので妥協しました。安いし。で、20時間でエンディングに到達。もっと長いかと思っていたが、ちょうどいい長さの気もする。

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というわけでpsp版『CROSS†CHANNEL 〜To all people〜』の感想を書くこととしよう。いつもの紹介記事とは多少異なり、今回は若干ネタバレを含んだ感想記事にします。ネタバレを嫌う方はここまでで。（このブログを読んでくれている人がどれだけいるんだって話だが）。

話は高校の放送部8人を描いた学園もの。このゲーム、田中ロミオさんという有名なライターさんがシナリオを書いているらしいのだが、この人が書くテキストが非常に独特。このゲームの独自性はこのテキストにある。下ネタとか、わけのわからないシュールな言い回しが多用されていて読んでいて笑ってしまう。また全年齢向けに規制したエロシーンを（もともとパンツが見えるところを見えなくしたところとか）主人公がメタ的にツッコんでいるのも面白い。なぜパンツが見えない…？なぜかすごく健全かつ安全な男に俺はなってしまったようだ など、規制をネタにしちゃうノリの良さ。なかなか笑せてもらった。

そして驚くべきはそんな文章でありながらテーマがものすごく深いこと。人と人との繋がりをテーマにした物語で、心に残る名言が大量に出現する。

人間関係と利害を一緒にするからおかしくなる。ただ好きであればいい。

見返りを求めた瞬間、それは取引になる。

こんなカッコいいこと言えたら良いな～なんて思いながら読んでいったわけだ。田中ロミオさんは人間関係に悩んでいる人に伝えたいことがたくさんあっただろうな。印象としては、他人と自分の境界線の話なんかがエヴァっぽいな～とも思ったりした。

そんな感じで楽しく読み進めたわけだが、一つ思った。数々の称賛を耳にして期待値が上がりすぎていたからか、はたまたpsp版が規制によって改悪されてしまったからなのかは不明だが、残念ながら筆者は神ゲーと呼ばれるほどの魅力を感じることはできなかったというのが正直なところだ。なんせノベルゲー最高傑作とすら聞いていたから……。

上述したように笑えるし深いテーマも味わえるのだけど、ギャグや笑わせるための言い回しが何かにつけてしつこくて煩わしかったり、ライターさんが思っていることをキャラに代弁させているように感じられる説教臭いシーンもあった。またこのゲームは同じ一週間を繰り返すという“ループもの”なのだが、ループ世界の構造とか解決法といった要素に重きを置いておらず、世界の謎解きを期待していた筆者には肩透かしだった。そもそもそういうものを期待するゲームでは無かったわけだ。かってに一人でガッカリしてあまり楽しめなかったのかもしれない。そのあたりが残念だった。あくまで筆者個人の感想だけども。

気に入らないところを書いたけれど、十二分におもしろい良作だと思う。ただ過大評価の気もする。前評判のノベルゲーの最高傑作とまでは思わなかったです。というかギャグが多いのに思ってたより重い暗い話だったのが驚きでした。よく発売できたな～って感じがする。でも物語が重いからこそ、“生きろ”ってメッセージは強く感じたのは確か。作り手の伝えたいことがしっかりと伝わるという意味では本当に良いゲームだ。

引きこもりがちの筆者は人との繋がりをもっと大事にしようと思いました。人が人であるためには他人との繋がりが必要だとこのゲームは教えてくれます。なので、ちょっと友達と遊びに行ってきます（笑）

それから男性陣の声優さん（山崎たくみさん、山口勝平さん）と音楽が筆者的には好みのポイントだった。ヒロインでは曜子ちゃんがマイフェイバリットヒロインです。

ネタバレ要素も書いてしまったけれど、ここまで読んで興味を持っていただいたならプレイしてみてはいかがでしょうか？ psp版は音が悪いのでお勧めしないですが。というか規制なしのバージョンはもっと面白いのかもしれないです。以上、読んでくれてありがとう。