オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

これから『ドキドキ文芸部プラス!』を始める人へ!

ブログを読んでくださっているみなさん、お久しぶりです。はじめましての人は初めまして。思い返せばこのブログを始めてもう5年以上になるんですね。その間にすっかりビジュアルノベルも下火になってしまいましたが、そんな中でも新しいものはリリースされており、今回それを紹介させていただきたいと思います。しかもこちらのタイトルは、もうすぐ最新のゲーム機用にソフト版が発売されるというのだから、今ここで紹介する意義はあるでしょう。どうぞご覧ください、『ドキドキ文芸部プラス!』です。

f:id:Lemuridae:20210825091736p:image(C)2021 Team Salvato & Serenity Forge. All rights reserved.

 

『ドキドキ文芸部プラス!』は2021年7月に発売された恋愛アドベンチャーゲームで、対応機種はPCおよびXBOX系のゲーム機になります。筆者はこのたび1750円でダウンロード購入し、XBOX ONE Xでプレイしました。なお、今リリースされているPCおよびXBOX版はダウンロード販売のみですが、2021年10月7日にPS4、PS5、Switch向けのソフト版が発売されるとのことなので、このページを読んで興味を持った人がいらっしゃったら、ぜひそちらを購入してみてください(XBOX ONE持ってる人なんてほぼいないでしょうからね笑笑)。

の『ドキドキ文芸部プラス!』は、プラス!の名の通り、2017年リリースの『ドキドキ文芸部!』に追加要素をプラスした完全版となっています。もととなった『ドキドキ文芸部!』はアメリカ人たちが生み出したインディーズのフリーゲームなのだというのだから驚きです。外国産の恋愛アドベンチャーゲーム……外国産のビジュアルノベルこそ昨今少しずつ目にするようになってきていますが、恋愛アドベンチャーは珍しいでしょう。なお、今回完全版たる『ドキドキ文芸部プラス!』の発売に向けて原作に追加された要素というのは、具体的にはグラフィックの向上、サイドストーリーの追加、BGMの追加、そして何より日本語への対応ですね。原作もMODを使えば日本語にできるので言語の問題はないのですが、今から遊ぶのであれば、追加要素があるプラス!の方が良いでしょう。筆者もそう思ったのでこのプラス!から始めました。

余談ですが、実は筆者はこのゲームのことは完全版が出る随分前から知っていました。というのも、当ブログに親しんでくださっている読者の方からの推薦の声も大きかったですし、いろんなところで話題になっていましたからです。いわゆるビジュアルノベルを嗜好している人間であればみんな知っているほどの話題作でした。ではなぜその時にプレイしなかったのかというと……基本的に私、フリーゲームは遊ばないんですよね。お金を払っていないものにレビューをしないというスタンスがあったりするのです。しかし今回このゲームがダウンロード販売されていることを知り、購入に至った次第であります。

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て、大変長い前置きになってしまいまして申し訳ありません。ようやくここからがこのゲームに対する私の感想と、ネタバレ抜きでこのゲームの魅力を伝えるための文章となるのですが……このゲーム、実は何を書いてもネタバレになってしまうタイプのゲームなのです。つまり、この情報すらもネタバレですね(笑)。だから本当のことを言えばこのまま何も情報をいれずにゲームを遊んでみてほしいのですが、それでは手に取ってくれる人は少ないでしょう。ゆえにここでは、筆者自身がプレイする前に薄々勘づいていたくらいのほんのーりとした微小なネタバレにも満たないと思うくらいの情報を書きます。それすらも頭に入れたくない人はここでブラウザバックしてください。それが一番良い気もします。

 

は、まず筆者の感想をざっくり述べると、このゲームはビジュアルノベルゲーム史に残る大変興味深い作品だと思います。アメリカ製のフリーゲームがこういう作品を生み出したということ自体が興味深いし、何よりここまで刺激的な体験ができるビジュアルノベルは過去にもそんなに例がありません。そりゃ話題になるよなーと夢中でプレイすることができました。端的に、とても面白いゲームです。

ストーリーは学園もので、共学の高校が舞台となります。幼なじみの女の子に連れられて文芸部に入部した主人公は4人のヒロインと詩を作ることを通じて交流し親交を深めます。この攻略対象の4人のヒロインがイラストのクオリティや性格を含めて日本の萌えを体現しているのが素晴らしいです。絶対普通のギャルゲじゃない、何か仕掛けがあるはずだ!と思いながらも、悔しくもその魅力にやられているボンクラな筆者がいました。意外としっかり個々のヒロインが抱えている思いに共感できます。これはなかなか凄いことだと思いました。ベタベタな恋愛アドベンチャーゲームを外国人が製作しているのだという背景を含めて味わい深いものがあります。

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ステムはオーソドックスな選択肢によるストーリーの分岐だけでなく、文芸部で活動をするというシナリオに則って、プレイヤーが詩を作ることによってストーリーが変化するという少し凝った要素もあったりします。そんなに複雑なものではないのですが、これがなかなか面白い。ゲームとしてしっかり作られているなと感じます。

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んな感じで定番的な恋愛アドベンチャーを進めていると……はい、ここからはお楽しみですね。あっと驚く展開の目白押しです。ever17 のような、serial experiments lainのような、これ以上もっと似ているのものをあげるとネタバレになるので伏せますが、とにかく驚きの連続で非常に記憶に残るゲームになっていました。構造的というかなんとういうか、ゲームという媒体を用いた体験は非常に面白く、過去のこういった作品類に親しんでいなかったであろう海外の人たちは特に驚いたことだろうと思います。恋愛アドベンチャーゲームを過去にプレイしたことがある人は特に楽しみが深まり、またこういったゲームに明るくない人たちも非常に稀有な体験ができるでしょう。筆者はかなり多くのビジュアルノベル作品をプレイしてきたので、今回たまらないほど楽しい時間を過ごせました。いったいなんなんだこのゲームは⁉︎と、先が気になり、本当に久しぶりに寝るのを惜しんでプレイする羽目に(笑)。このような感覚は懐かしく、ビジュアルノベルに没頭していたあの頃の懐かしい日々を思い出させてくれました。これ以上はネタバレになるので書きません。

お、ゲーム内でも繰り返し警告されるように、このゲームは実際非常に刺激的で、そういう要素が苦手な人には大変辛いものになると思うので、なんとなく最近疲れてるような人たちはプレイしない方が良いと思います。

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、いうわけで、面白いから遊んでみてね!というのがここまでの要約となりますが、一応難点も挙げておきます。まず、もとがインディーズのフリーゲームだということがあるので、リッチなゲームではありません。安っぽくは感じませんが、インディーズのゲームだなぁという感じです。ボリュームは少ないですし、立ち絵のバリエーションも少なく、キャラクターボイスもありません。UIも及第点というところでしょう。なのでお金がかかった大作や長く楽しみたいという人にはお勧めできません。どちらかというとアイデア一本勝負タイプのキレキレの作品なので、そういうものだと思ってプレイした方が良いでしょう。というか、それが良いのです。また日本語ローカライズの出来がイマイチだというのがありますが…それすらもこの作品には合っているのかもしれないのでなんとも言えません。うーん、とにかく複雑なゲームです(笑)。

 

にかく、刺激的な体験をしたいという人にはオススメにオススメを重ねるゲームです。私は大好きな作品になりました。メインヒロインはゲーム史にその名を刻むことができるほどのインパクトを持っていると思います。間違いなく名作なので、気になった人はぜひぜひプレイしてみてください!