オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』感想

f:id:Lemuridae:20171009230906j:image

(c) ATLUS (c) SEGA All rights reserved.

ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』(以下 P4D)をクリアしたのでその感想を書く。2015年発売のゲームなので、今さら感想を書くのもどうかと思ったのだが、最近ペルソナファンになったという、筆者と同じような状況にいる人には参考になると思うので…というか、してほしい。それでは長い前置きも必要ないので、さっそく始めていこう!

 

P4Dはペルソナ4のその後を描いた新ジャンルPサウンドアクション。要は音ゲーというやつである。実質的にはペルソナ4ファンに向けたファンディスクになっているので、少なくともペルソナ4をプレイしたことがないという人にはオススメできない。キャラクターの魅力ありきのゲームなので、ゲームとしての完成度は決して低くないのだが、そこでアピールしていくゲームではないと言えると思う。

f:id:Lemuridae:20171009230646j:plain

(c) ATLUS (c) SEGA All rights reserved.

 

基本的には非常にオーソドックスな音ゲーであり、流れてくるボタンを押していく、言ってしまえば手拍子スタイルのゲームである。音ゲーをほとんど遊んだことがない筆者にもとっつきやすく、難易度も複数用意されているので、40時間ほどプレイしていると最高難易度でも好成績でクリアできるようになった。このバランスは素晴らしいと思う。

お馴染みのキャラクターの掛け合いやノリを再び見ることができるのは非常に嬉しく、豪華声優陣たちのフルボイスとなっており、ペルソナ4が好きなら確実に楽しめる一本。音ゲーゆえに、当然のようにアレンジ音楽のクオリティは申し分ないのだが、遂にリアル頭身になったキャラクターのモデリングのクオリティも非常に高く、これが嬉しい。ロード時間もほぼないと言っていいほど短く、何度も繰り返しプレイすることになるこの手のジャンルのゲームとしてのストレスのなさは特筆すべきところだろう。このゲームをやっていると、気がつくと時間が経っている。

要するに、ペルソナ4が好きで音ゲーが好きならば必プレイのファンディスクだ。

 

f:id:Lemuridae:20171009231313j:plain

(c) ATLUS (c) SEGA All rights reserved.

 

…しかし不満もある。これはもう仕方がないことなのだが、ペルソナ4のファンディスクが出れば出るほど、本編ラストの感動は薄れてしまう。「このまま電車乗れば、二度と会えない気がして」というエンディング曲の歌詞が過不足なく伝えてくれた、グッとくる別れのラストが、青春のかけがえのない時間を見事に描いていたのに、あれからも何度も集まっているという続編を作られると、あのラストも興ざめになってしまう。みんな大人になって外見も成長してたのに、またあの頃の姿になる設定なんかも無理矢理感があって、しっくりこなかった。ストーリーも無駄に長い割に、意地悪な言い方をすると普通でしかないので、ノベルゲームとしての魅力はない。言ってしまえば蛇足。だがファンは蛇足でもいいからもう一度会いたい…なんとも深刻なジレンマだ。

 

というわけで、避けられない不満もありながら、40時間はプレイしてしまう面白いソフトでした。アニメーションの多さとかも特筆すべきほどで、確実に楽しめると思う。以上、読んでくれてありがとう。

 

 

『ペルソナ5』 ネタバレなしの感想 紹介。

怒れ! クズみたいな大人を許すな!”

f:id:Lemuridae:20170717191711j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 

ペルソナ4』でシリーズ作品に初めて触れて大満足し、同様の興奮を求めてプレイした『ペルソナ5』は、筆者の予想を大きく裏切る作品だった。しかし前作の多くの要素を覆しながらもこの最新作は、筆者に最高の満足感を与えてくれる大傑作なのだ。

 

 できれば先にこちらを読んでほしい↓

 

――とにかくタイリッシュ!!!!――

f:id:Lemuridae:20170718183534j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

本作はとにかく何から何までスタイリッシュ! 洗練されたユーザーインターフェイスや絵作り、異常なまでにセンスを感じさせる演出の完成度は、文字のフォント、ロード画面の演出1つを挙げても非常にクールで、まさに最高という言葉にふさわしい。赤を基調とした世界観に、レンズフレアを多用したバキッとした映像や、ルパン三世テイストのオシャレな音楽に加えて、ハードをプレイステーション4に移行したことによるグラフィックの格段の進化。フィルムノワールのような退廃した空気を持つ世界独特の魅力を存分に味わえる。この完成度は、まさに今世代JRPGの最高峰だろう。

 

 ――スケールが増した重な物語――

ペルソナ5』の物語は、高校生と怪盗の二重生活を描いた悪童物語。主人公が率いる“心の怪盗団”は、昼はただの高校生、夜は人々の心を盗む怪盗。このフレーズだけで心惹かれるものを感じないだろうか?

青春ものにしてジュブナイルものだった前作から一変し、ピカレスク小説の趣を感じさせる本作のダークな世界観は、筆者のなかの14歳を歓喜させた。国家を揺るがす陰謀に絡んだ物語は、前作から大幅にスケールアップし、総プレイ時間が80時間を超える大ボリュームをだれることなく完走させるのだ。

実を言うと筆者は、前作の底抜けに明るい物語に魅了された直後に本作をプレイしたので、プレイ当初は本当にびっくりしてしまった。話の導入は非常に暗く、そのダークで重い展開は予想していたものと全く違ったのだ。それは深刻に「これって、本当に楽しくなるのか…?」と不安視せざるを得ないほどだった。

しかし安心してほしい。今作はダークでありながらも本質は前作と変わらず、しばらく物語を進めると「あ、これは間違いなくペルソナそのものだ」と確信できるはずだ。もちろん新規ユーザーもシリーズに通底する楽しさをここで味わえる。

 

 

――魅力的なキャクター造形――

くせ毛で猫背、すらっとした長身に高い頭身。本作の主人公は『蘇る金狼』の松田優作や『カウボーイビバップ』のスパイクを思わせる少し皮肉屋かつ冷静な男(プレーヤー次第ではあるが)で、福山潤のボイスも含めて本作の世界観に見事に適応。そしてそんな主人公(我々プレイヤー)の仲間になる高校生たちはそれぞれが個性的かつしっかりと芯を持ったキャラクターで、抜群の魅力がある。前作の仲間たちにも引けを取らず、筆者は全員が愛おしかった。

交流を深め、キャラクターとの絆を生むことが目標となるこのゲームにおいて、キャラクターの魅力はイコール、ゲームそのものへの魅力に直結する。青春ものというフォーマットにおける人間関係や、レッテルを張らずに主人公たちに接してくれる数少ない大人のキャラクター、その中でも特に、性的魅力満載の成人女性キャラクターの造形なんかは本当に見事というほかない(筆者の趣味かも)

そしてキャラクターの魅力はいわゆる、味方のキャラだけにとどまらず、悪役側も見事。主人公たち(そしてプレイヤー)が憎まなければならない“クズみたいな大人”の絶妙なクソ野郎っぷりと肉体感は、完璧な憎たらしさを持って表現されている。

 

 

――進したゲーム性――

f:id:Lemuridae:20170718183510j:plain

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

ゲーム性において、本作は格段に進化した。フリーロームの探索要素は圧倒的なボリュームに進化し、都会の喧騒のなかを動き回るだけでも非常に楽しい。またRPGダンジョンに、“怪盗”という題材らしいステルス要素が追加され、ゲーム性を格段に向上させることに成功している。例えば、前作のダンジョンでは敵に奇襲を仕掛けるために相手が背後を見せるのをダラダラと待つ必要があったのだが、今回は壁への張り付きや高所からの奇襲など、それを見栄えの良いものに変更。ルパン三世やミッションインポッシブルで慣れ親しんだような怪盗ものらしいギミックがプレイヤーを待ち受けている。また、オートリカバーの追加や戦闘中のパーティの変更など、前作での不満点にもならなかったような些細な欠点を細かく補完していているので、全体としてはさらにプレイしやすくなった。上述したように演出もカッコよくなったので、これぞまさに正当進化だ。シンプルに動かしていて楽しい。

 

―― CAUTION!!!!――

一応、ここで『ペルソナ5』をプレイするにあたっての注意事項を書いておく。このゲーム、ボリュームが異常に多いので、忙しい人や働いてる人には辛いと思う。筆者のように学生とかじゃないとなかなかクリアできないというか、筆者ですら終わりがなかなか見えなかった。

それから中学生や高校生の諸君に、生意気にも大学生からの忠告。このゲームは中二病的魅力にあふれているので、たぶんそういうお年頃の人がプレイしたら影響されまくるというか、たぶん14歳の筆者がプレイしてたら凄く痛いことになっていたと思われる。ポケットに手を入れて歩いたり、不良ぶったり、自分には特別な能力がある!って勘違いは黒歴史を生むだけだと思うのでやめとこう。カバンに猫を入れて登校するなんてことは言うまでもなくしてはいけない。

 

 

――後に――

ペルソナ4』にドハマりして、もうこれを超えることはないだろうと思っていたら、次作はテイストを変えながらも、完成度としてはさらなる高みへと至っていた。どちらも目指している方向性が違うので、どっちが好きかは人によって異なると思うが、操作性や演出などはきちんと正当進化しているのが流石というか、素晴らしい。前作が大いに気に入った筆者も、どっちが好きか悩むほどハマった。

5作目にして、筆者にとってはシリーズ2本目にあたるので、もっとさかのぼってシリーズ作品を遊んでいきたいと思う。『ペルソナ5』は前作に引けを取らない、いや、超えているともいえる大傑作でした。

最後に、ペルソナ、恐るべし!!!!

 

ペルソナ5 - PS4

ペルソナ5 - PS4

 
『ペルソナ5』オリジナル・サウンドトラック

『ペルソナ5』オリジナル・サウンドトラック

 

 

厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!

f:id:Lemuridae:20170706220907j:image

回は筆者が厳選した、隠れた名作ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを7本紹介する。なお、これから挙げるタイトルの中には「隠れてなくね?普通に名作だわ!」と、お怒りになるかもしれないタイトルも含まれているが、それは承知の上で、さらに多くの人に遊んでもらいたいと考えているからこそ紹介する(実際有名な作品でも、友人達にタイトルを確認してみると、みんな知らないんだよな〜)。というわけで、始めよう。

 

 

 

1.『セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜』

f:id:Lemuridae:20160602220325j:plain
初に紹介するのは、日本一ソフトウェアから発売されたPSP用ソフト。5年前の事故により、15分しか記憶を保てなくなった少女の「高校時代の記憶」を巡った物語であり、このストーリーとシンクロした珍しいゲームシステムが搭載されていて、これがすごい。

人を選ぶゲームだと思うので万人にはオススメできないが、パッケージから感じられる夏独特の空気や夕焼けの切ない雰囲気に惹かれる人や、考察が好きな人には強くオススメする。ライターさんの提示する物語論が興味深い一本で、ハマる人はとことんハマる隠れた名作だ。

今では中古でPSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。

 

 

  

『極限脱出3部作』

2.『極限脱出 9時間9人9の扉

3.『極限脱出ADV 善人シボウデス

4.『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』

f:id:Lemuridae:20170623105133j:image

限脱出シリーズ(あるいはゼロエスケープシリーズ?)はチュンソフトから発売されているアドベンチャーゲーム。タッチスクリーンを駆使し、謎の施設からの脱出を目指そう。

タイトル通り、オーソドックスな脱出ゲームとしての思考パズル的な楽しさがあるのだが、このシリーズの肝となるのはそこではない。プレイ体験の裏に、恐ろしく巧妙かつ大胆に練られたシナリオが隠されているのだ。

3作品あるため、相当なボリュームをプレイする覚悟はいるが、シナリオの先に待っている結末には必ず満足できるはず。3部作全てが面白いアドベンチャーゲームとしてオススメする。

今では3DSかVITAを持っていれば全作プレイできるため、旧機種は必要ない。1作目と2作目のセットも発売されたので、今から遊ぶならそれがオススメだ。

 

 

 

5.『ルートダブル -Before Crime * After Days-』

f:id:Lemuridae:20160905214230j:plain

?なんだこのクオリティ…? とクリアして唖然としたのがこのゲーム。質というものが人気と売り上げに直結するわけじゃないことは理解しているものの、ルートダブルほどもっと評価されるべきゲームはないと思う。

1つの物語を視点を変えて見せる語り口や、各章の間に挟まれる次回予告など、とにかく“読ませる”文章がプレイヤーの手を止めない。様々なキャラクターの思惑が錯綜するシナリオと魅力的な舞台設定、ゲームシステムと直結したマルチエンディング方式による没入感など、とにかく褒めるところが多すぎる。誰がやってもある程度は満足できる作品に違いない。

今ではなんと、XBOX360PS3Windows・VITA(ダウンロード版のみ)、IOSAndroid(予定)でプレイできる。もはやプレイ環境が整ってない人の方が少ないのではないだろうか。

 

 

 

6.『ダブルキャスト

f:id:Lemuridae:20170623104604j:image
れは「ノベル」ゲームかと言われるともはや違うのかもしれないが、間違いなくアドベンチャーゲームではあるだろう。全編がアニメーション(!)という驚異的なゲームであり、さらにその品質も非常に高い。

丁寧なアニメーションで描かれる女の子との同棲生活を楽しもう。

やるドラシリーズ処女作にして最高傑作でもあり、今プレイしても充分に楽しめるというか、今だからこそプレイしてほしい仕掛けが満載。記憶に残るシーンに満ちた名作である。
今では中古でPS1版 PSP版を手に入れるか、VITAでダウンロード版を購入することができる。ん?ドアノブが照れている…⁉︎

 

 

 

7.『デイグラシアの羅針盤

f:id:Lemuridae:20170117215917j:plain
後に紹介するのは同人ゲームの秀作。カタリストさんが手がけた『デイグラシアの羅針盤』だ。個人的に今最も応援しているゲームであり、作り手さんたちに一方的な親近感を感じている。

深海に取り残された主人公達の脱出サスペンスであり、練られたシナリオが秀逸な一本。非商業ゲームゆえの素材の少なさやチープさは感じられるものの、非常に丁寧に作られた作品であり、なんだか好感が持てるのはなぜだろう。筆者はここに同人ゲームの本気を見た。メアリー・セレスト号」「正解のないノベルゲーム」といったワードに反応した人はプレイしてみてほしい。

対応OSはWindows 7 / 8 / 8.1 / 10 。一応XP、VISTAでも動作する可能性があるそうだ。CPUはPentium以降でメモリは256MB以上必要らしい。気になる人は公式サイトで体験版が配布されてるので動作確認してみてほしい。

 

 

 

 

上、厳選 隠れた名作ノベルゲーム 7選!でした。一つでも手に取ってくれれば書いた意味があるし、嬉しいなあ…。

では、読んでくれてありがとう。