オタクノ作る時間

主にノベルゲームについて取り上げてきた元学生のブログ

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』クリアしたので感想を。

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『ルートダブル -Before Crime * After Days-』をクリアしたので感想を書く(終わってしまって寂しいなあ…)。この記事ではできるだけネタバレは控えるけれど、その魅力を伝えるために少しだけネタバレをする。それが嫌な人はここまでで。

 

『ルートダブル -Before Crime * After Days-(るーとだぶる びふぉーくらいむ あふたーでいず)』は、火災事故が発生し、外界と隔絶された極限状態の原子力発電所に取り残された登場人物たちの脱出劇を描いたSFサスペンスアドベンチャーゲームだ。

まず初めに書いておこう。このゲーム、非常に面白い。総プレイ50時間以上の大ボリュームに加え、それを彩る豪華な演出、美麗なイベントCG、クオリティの高いムービーや音楽、フルボイスの声優陣の演技など、相当に丁寧に作られている大作である。かなりお金がかかっているんじゃないかな。なんとノベルゲームにしてインストール容量が5.8GBだ!

この面白さとクオリティなのに、どうしてこんなに知名度が低いのだろうと疑問を抱かざるを得ない

 

プレイヤーは記憶を失ったレスキュー隊の隊長、または事故に巻き込まれた男子高校生のどちらかを主人公に選び、原子力発電所からの脱出劇を見届けることになる。最初に選べるルートは2つ。火災事故発生後の極限状態を描いたルートアフターと、火災事故発生前の日常に異変が現れ始める様子を描いたルートビフォーだ。この2つのルートは趣がまったく異なるものになっている。前者はパニックサスペンスとして手に汗握る緊迫感のあるシナリオで、後者は いわゆるギャルゲー然とした青春ものだ。どちらから始めるかでこのゲームに対する印象が大きく変わると思う。

 

巨大な原子力発電所にて事故、発生。隔壁が下され、地下に閉じ込められた9人は、刻一刻と死が蝕んでいく世界を抜け出す術を探す。頻発する不可思議な現象。多くの謎。そして…閉鎖空間の中で発生した猟奇的な大量殺人。この極限状態から抜け出す鍵(ルート)は2つーーー。果たして生還の道はあるのか?

 

このあらすじでピンときた人は楽しめると思う。筆者はサスペンス要素の強いルートアフターからプレイしたのだが、序盤から引き込まれる素晴らしいシナリオで、これはひょっとするととんでもない傑作なのでは…?と冒頭からワクワクさせてもらった。そして終盤までダレることなく物語は加速し続け、膨大なテキストに全てのキャラクターの人生が描かれ、それらが交錯し、最終的に大団円を迎える。端的に言って素晴らしいね。

クリアして思い出に残る好きなゲームになったのだけど、実は筆者個人としてはこのゲームのキャラクターデザインはあまり好きではない(それでもクオリティの高い絵であるとは思ったけど)。しかし絵柄が好みでなくともキャラクター達はみんな魅力的だった。筆者は気が短くて、ギャルゲー的なものをプレイしていると、狙いすぎたアザとい喋り方をするキャラクターや恋愛脳のキャラクターにイライラすることが少なくない人間なんだけど、このゲームには嫌いなキャラクターが1人もいなかった。筆者の気が短い性格に加え、絵柄が好みでないことも考えると、これは凄いことである(笑)。本当にキャラクター達が魅力的だ。ドラマCDとかがほしくなるね。

 

このように、圧倒的なボリュームに張り巡らされた伏線が見事に回収される先が読めないシナリオと魅力のあるキャラクターは見事なのだが、残念ながら完璧とは言えない。このゲーム、まともに推理サスペンスとして読み進めていると、作品独自のSF設定やトンデモ理論によってありえない展開が訪れるのだ。もちろんそういう展開はこの手のジャンルでもよくあることであるし、そもそもこのゲームはSFサスペンスアドベンチャーゲームである。筆者としてもそれはわかっていたんだけど、それでもこのゲームは物語の根幹を動かす部分において、作品独自の設定を多用しすぎていると思った。この作品の設定やルールのもとでの伏線の回収やトリックが破綻していないので、完成度的な意味での難点にならないんだけど、もう少しSF的な展開を抑えてほしかったかな。こういう魔法や超能力がありますってルールをもう少し早い段階から事前に説明してくれていたら、テキストアドベンチャーゲーム史に残る神ゲーになれたと思う。ああ…もったいない。

 

というわけで、『ルートダブル -Before Crime * After Days-』の感想でした。 とっても面白かったし、もっと話題になるべきゲームである。というかこれだけのものを作ってこの知名度って、作り手さんはへこんだだろうな…。

XBOX360WindowsPS3PSvita(ダウンロードのみ)とたくさんのハードで発売されているので、ぜひお手持ちのハードでプレイしてほしい。クリア後にタイトルの意味が分かって鳥肌が立つよ! 

というわけで、読んでくれてありがとう。

 

ルートダブル~Before Crime After Days~Xtend edition (通常版)

ルートダブル~Before Crime After Days~Xtend edition (通常版)

 
ルートダブル Before Crime After Days(通常版)

ルートダブル Before Crime After Days(通常版)

 

 

 

 

『Ever17』 これからエバーセブンティーンを始める人へ。

これからEver17を遊んでみたいと思っているエバーセブンティーン初心者のあなた、ようこそ! Ever17ファン、Ever17の先輩として、これからEver17についていろいろ教えさせてもらいたい。だから読んで行っていただけたらありがたい限りである。

 

 

筆者がテキストアドベンチャーゲームにハマるキッカケになったゲームが本作、『Ever17 the out of infinity』だ。このゲームは今は亡きKIDから発売されたinfinityシリーズの第2段。『Never7』や『Remember11』、『12riven』といった同シリーズおよび姉妹シリーズの作品等と世界観を共有している(『Code_18』?そんなものは知らん)

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最初に言っておこう。このゲームはネタバレをしてしまうと魅力が激減する。プレイ前にWikipediaでこのゲームのページを見るのは御法度だし、それどころかEver17と検索することすら危険をともなう。筆者が大好きなゲームをより多くの人にプレイしてほしいと思うので、今回はネタバレをせず、このゲームの魅力を紹介し、未プレイの人の背中を押すことのできる記事を目指すことにする。できればこのページ以外に前情報を入れずに本編に臨んでほしい

 

 

そもそもどんなゲームなの?

このゲームは永遠に同じ時間を繰り返す、ループ世界をテーマにしたテキストアドベンチャーゲーム(2002年発売)だ。プレイヤーは事故により孤立してしまった海洋テーマパーク LeMUに取り残された“大学生の倉成武”、または“記憶を失った1人の少年”のどちらかを主人公に選び、生き残った者たちの脱出劇を見届けることになる(倉成武ルートから始めるとベター)。

システム自体は選択肢によって物語が分岐する一般的なテキストアドベンチャーゲームである。

 

 

 このゲームの魅力は?

このゲームの魅力はそのシナリオにある。SFやオカルト、伝説を基にしたシナリオは練りこまれていてクオリティが高い。

上述したようにプレイヤーは2人の主人公のどちらかを選ぶことができる。それぞれ主人公1人につき2名のヒロインのルートが用意されていて、最初から4つのルートを選ぶことができるわけだ。この4つのルートのそれぞれが単体として楽しむことができるのだが、シナリオの肝は4つのルートをクリアした後に開放される最終ルートにある。それまでのプレイ時間、約30時間に張られた伏線が、たった数時間という怒涛の勢いで回収されていくこのルートは、端的に言って死ぬほど面白い。寝る間も惜しんでプレイしてしまうこと間違いないというか、筆者は徹夜した(笑)。だから絶対に最後までプレイしてほしい

ここで注意しておきたいことがある。このゲーム、パッケージ裏や公式の宣伝では、“極限状態でのサバイバル”といった要素が強調されているんだけど、実際にはサバイバル物にありがちな窮地がほとんど描かれない。だからそういった要素を期待しているとガッカリさせられると思う。

窮地というよりも、むしろこのゲームで描かれるのはループものにおける鉄板、“衣食住を保証されたサバイバル”だ。非常事態の名の下に売店の食べ物を豪快に無銭飲食したり、誰もいないテーマパークで人目をはばからず缶蹴りをしたり、誰もが一度は妄想するアナーキーな楽しさがある。こういった非日常下での日常描写が面白い。

そんな感じで、基本的には個性的なキャラクター達が和気あいあいとしている。しかし舞台は無人の海洋テーマパーク。ふと自分達が外界から隔絶されている事実に目を向けると、静けさと閑散とした空間にハッとさせられる。普段、人が溢れている場所が静けさに包まれている様子。そこにはなんとも言えない不気味さがあって、和気あいあいとしているシーンとの温度差がたまらない。それを阿保剛の音楽がさらに盛り上げてくれる。

 

 

どのバージョンをプレイすればいいの?

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Ever17』は最初、プレイステーション2ドリームキャストマルチプラットフォームで発売された。これが最初のバージョン、いわば“無印”である。そしてその後、PCに移植される際にCGや立ち絵が追加された。そちらが改良版、Premium Editionだ。このPC版 Premium Editionはプレイステーション2、ドリームキャストに逆移植され、それから後に発売されたものは全てPremium Editionになっている。

追加要素があるため、これからプレイするなら無印ではなくPremium Editionがオススメ。もちろん2009年に移植されたプレイステーションポータブル版もPremium Editionである。

XBOX360版は2011年にリメイクされたものなので上記のものとは大きく異なる。こちらはオリジナル版で冗長に感じられた部分をスピーディーな展開に推敲してあり、テンポよく読み進めることができるようになった。またその他にも、物語上の矛盾点を解消してあったり、オリジナル版では語られなかった空白部分を描いたシナリオが追加されていたりとリメイク版ならではの魅力がある。特に追加シナリオは素晴らしい出来なのだが、リメイクの際に大幅に再構成されたシナリオはオリジナル版の名言や名シーンがカットされている上、総プレイ時間が約20時間と大幅に減った。そして致命的なのが新たに作り直された立ち絵。リメイク版では立ち絵が3Dポリゴンに変更されたのだが、このポリゴンがあまり良いとは言えない。生気が感じられないというかなんというか…。

 

PS2版・PSP版・PC版・XBOX360版をプレイした筆者個人の視点から言わせてもらうと、この手のジャンルのゲームと携帯機との相性の良さもあり、プレイステーションポータブル版がオススメプレイステーションポータブル版のみ、用語集や新規OP、EDが追加されてもいるのもオススメの理由である。

あまり時間がないという人や、少しでも矛盾点が残るのが嫌な人はXBOX版をプレイしてほしい。

 

 

他のシリーズ作品はプレイすべき?

シリーズ第2段だと上述したけれど、本作から始めても何の問題も無い。しかし、もしあなたがこのゲームを105パーセント楽しみたいのであれば、前作であるシリーズ第1段『Never7』をプレイしておくことで5パーセントぶん上乗せでニヤニヤすることができると思う。

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また本作にハマったのであれば、他作品をプレイする価値は大いにある。特にinfinityシリーズ第3段『Remember11』は個人的にオススメである。ただし『Code_18』という作品は時間の無駄になるので決してプレイしてはならない(こいつについて語ると永くなるので省略)。

 

 

最後に。

これからエバーセブンティーンを始める人へ、ということで『Ever17』を紹介させていただきました。この記事を読んでくれたことがきっかけで、『Ever17』を楽しんでくれたら嬉しいなあ。

この記事を書くにあたって、もう一度PC版をプレイし、また本体を購入してXBOX360版もプレイした。最低でも三周はプレイしてから書いてるわけだから、ここに書いてあることは信用してほしい(笑)。

というわけで、読んでくれてありがとう!

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 画像は全てWindows用ソフト Ever17 -the out of infinity- より。

 

 

Ever17 -the out of infinity-(通常版) Premium Edition

Ever17 -the out of infinity-(通常版) Premium Edition

 
Ever17 (通常版)

Ever17 (通常版)

 

 

Ever17リスペクト作↓

lemuridae.hatenablog.jp

 

私的な文句・愚痴vol.3 XBOX360

この記事は筆者の個人的な文句というか愚痴を書かせてもらいます。そんなの聞きたくないって人は戻ってください(笑)。

このたび、XBOX360を購入しました。筆者は昔からプレイステーションと一緒に育ってきた人間なので、XBOXとは縁がなかった。しかしこの世の中にはXBOXでしかプレイできないゲームもある(間違えて360版を買ってしまったゲームも積んでるし 笑)。そこで出費を覚悟して本体を購入したのだ。

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中古の本体にプレイしたかったディスクを挿入。オープニングが流れ始めて、筆者のテンションは最高潮。遂にXBOXを買ったんだな~という感慨に浸っている時、ふと思った。

今、本体を縦に置いてるけど、横置きのほうが良いかな? 上にリモコンとか置けるし。

そこで向きを横にしようと本体を傾けると…

 

ガリガリガリガリ!

氷を削っているような、嫌な音が部屋中に響き渡った。

異音を耳にするなり、慌ててXBOXを縦置きに戻す。しかし音は止まらない。急いでディスクを取り出すべく(救出すべく)、ディスクドライブを開放。しかし中を見るとディスクが固定されておらず、あるべき場所から落下し、詰まっている。それを何とか取り出してディスク面を見たら…

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ギャアァァァァ━━━━━━(゚Д゚|||)━━━━━━!!!!!!

 どえらい傷ついとんがな!!!!!

 

ちょっと傾けただけでディスクが傷だらけになっちまった。この傷の深さは研磨しても治らねえ…。震える手でコントローラを操作し、ゲームをインストールしようとした。

1%…5%…12%…ディスクを読み込めません。柔らかい布でディスクを拭いてください。

 

完全に壊れとる…(TдT)

柔らかい布でディスクを拭いてください、じゃねえよ!

 

というわけでいきなりディスクをぶっ壊されました。本体の電源を入れてから、わずか5分の出来事である。

筆者は決めた、これからはXBOX360のことを糞箱と呼ぶ。ググってみたら、俺と同じ被害にあった人は後を絶たないようだ。

本体を少し傾けただけでディスクが傷だらけになるとか、欠陥にもほどがあるだろ!!!

 

…そういうわけで数日前に買ったゲームを再びAmazonにて注文。PSならこんなことは絶対に起きねえよ! 同じゲームを二度買う羽目になるとは…金返せ。

 

XBOX360を買おうと思ってる人たちに忠告。本体は横置きにして触るな。