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(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC
いろんなテキストアドベンチャーゲームを遊んでいると、筆者は時折興味深いアプローチをしているものに出会うことがある。それはオーソドックスな選択肢形式じゃないというだけでなく、ゲームという媒体でしか表現できないものだったり、映像化不可能なものだったりと様々だ。そして筆者はこのたび、それらとはまた違った新しいものを見つけた。
今回紹介するのは、ある意味この手のジャンルに飽きてしまっているような筆者が新鮮味を感じることができた、一風変わったテキストアドベンチャーゲーム『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action(ヴァルハラ サイバーパンク バーテンダー アクション』だ。
この一風変わったゲームを開発したのは、なんとベネズエラの人たち。しかも大手の資本の元で製作されたものではないインディーズゲームだというので驚きだ。スケバンゲームスという、名前だけで日本に親しみを持ってくれていることがよくわかる開発元によるもので、海外で反響を呼び、2017年の11月16日にやっと日本に上陸したタイトルなのである。
ジャンルはサイバーパンクバーテンダーアクションとされていて、これだけ聞くとピンとこないだろう。実際にプレイした筆者に言わせると、このゲームはアクションゲームではなくテキストアドベンチャーゲーム・ビジュアルノベル・ノベルゲームである。なんだ、じゃあジャンル名は誇大広告じゃないか……と思われるかもしれないが、おっと、ちょっと待ってほしい。たしかにアクションゲームではないが、オーソドックスなノベルゲームとは違う、独特なゲーム的な要素が特徴となっているため、ただのノベルゲームだとあなどってはいけない。サイバーパンクでバーテンダーなゲームなのだ。(C)2014-2017 SUKEBAN GAMES LLC
サイバーパンクでバーテンダー……このゲームは2070年代の近未来を舞台にした作品なのだが、やることはバーでお客さんに接客をするだけ。つまりあなた(主人公)はバーテンダーだ。それって面白いの?サイバーパンクな世界なら暴れまわりたいよ! などと思われるかもしれないが、このゲームの魅力は、そういった通常ならアクション物などの題材になる(『ブレードランナー』とか『AKIRA』とか)未来の世界を、その片隅にある場末のバーという非常にミクロな視点から垣間見れるところにある。人間の言葉をしゃべる犬から娼婦のガイノイド、水槽の脳までといった個性的すぎる客を接客しながら、このゲームの世界では当然・普通の会話が特に解説もなく進んで行く。そしてそれらについていちいち詳細が説明されないぶん、かえって読み手の想像力を刺激してきて、魅力的な世界を感じ取れると思う。
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繰り広げられるテキストは、基本的にはバー VA-11 Hall-Aにやってくる常連さんとの他愛のない世間話(下ネタ多め)。その内容に対して、だから何?と言われればそれまでなのかもしれないが、『パルプ・フィクション』的な楽しさがあると言えばいいか、とにかく読んでいて退屈しない(同年代の会話に対してつまらねーこと喋ってんなーと思う筆者が)。また、客に提供するカクテルによって物語展開が変わるという、ほかに類の見ない新鮮なシステムになっていて、バーテンダー体験ができるし没入感も損なわないし、非常に楽しいものだった。世代を問わず懐かしさを感じるドットのグラフィックと音声ではない電子音が良い雰囲気を創りだしていて、プレイヤーが任意に選択してジュークボックスで流せる音楽は最高の出来。
だから、めちゃくちゃ面白い!やめ時がない!といった感じのゲームではないが、なんというか、逆に永遠にプレイできる気がする。褒めようと思えばいくらでも褒められるゲームだけど、批判しようと思えばいくらでも批判できるゲームでもあって、要するに万人ウケしそうではないが、ハマる人はハマると思う。ある意味雰囲気ゲーかもしれないが、とりあえず筆者はこのゲームが好きだ。
インディーズのゲームだから長くは遊べないけれど、新品でも定価は三千円くらいなので、手軽に手に取ってみてほしい。まだ残っているのかわからないけど、店舗で購入すると初回特典のサントラCDとコースターがついてくるので、早めに購入したほうがいいと思う。ゲームもそうだけど、筆者はこのサントラを非常に気に入っている(欲を言えばもっと収録してほしかったけど)。そして思いがけず百合要素も多い作品となっているので、その手のものが好きな人には強くお勧めする。
発売日には購入していたのに記事を書くのが遅れてしまったうえに短めになってしまったが、以上でこのページを終わろうと思う。ヴァルハラは筆者的にはかなりオススメの一本なので、興味を持ってくれた人は買ってみてほしい(まわしもんじゃないよ)。以上、読んでくれてありがとう。